今回は、理系公務員(技術職)の試験科目を取り上げます。特に今回の記事では、職種や区分ごとに試験内容が異なる、専門試験の試験科目に関して、専門分野だからといって油断すべきでは無い点を取り上げます。
なお、教養試験(基礎能力試験)に関しては、理系公務員の場合も、行政系・事務系や福祉系・心理系など、他の職種・区分と共通の試験内容が課され、どの職種・区分で受ける場合も、同じ試験勉強で対応できることが一般的です。
教養試験(基礎能力試験)の試験科目と試験対策に関しては、大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)を参考になさってください。
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理系公務員の専門試験の科目に注意
理系公務員の試験科目のうち、専門試験は、受験する区分(職種)によって試験内容が異なります。理系(技術系)の区分は、土木、建築、情報(デジタル)、電気、電子、機械、化学、農業・農学などに分けられます。
理系公務員の専門科目で注意すべき点は、「工学に関する基礎」が出る点と、それぞれの区分に属する試験科目を一通り学ぶ必要がある点です。この2点に関して、順番に説明します。
「工学の基礎」という専門科目がある
「工学に関する基礎」とは、専門試験で数学や物理が出る科目です。高校から大学教養レベルの数学や物理が出題されます。公務員試験ごとに、「工学に関する基礎」、あるいは、「数学」「物理」と明記されます。また、「工学の基礎」と呼ばれることが一般的です。
工学の基礎は、いわゆる工学系の区分(デジタル・電気・電子、機械、土木、建築)において、国家一般職大卒で20問、地方公務員の地方上級で10問出ます。その一方、東京都や東京都特別区のように、全く出ない自治体もあります。
その一方、農業土木や化学の区分では、工学系ほどでは無いものの、数問程度の出題があります(国家一般職大卒の化学で9問)。なお、農業・農学や林学などの区分では、出題されません。
工学の基礎も、公務員試験特有の癖というか、頻出分野や難易度に一定の傾向が見られます。甘く見ることなく、後述通り工学の基礎に特化した問題集が市販されているため、しっかり勉強しておくことが必要です。
各区分に属する試験科目が課される
理系公務員の試験科目で重要な点は、各区分に属する試験科目を一通り学ぶ必要があることです。土木職なら土木、建築職なら建築に属する、各領域の専門科目が一通り出題され、大学で学んだ事柄だけで対応できるとは限らないことに留意しましょう。
例えば、東京都と東京都特別区を除く地方上級(道府県と政令市)の建築系の区分では、択一式・40問必須解答で、数学・物理10、構造力学5、材料学2、建築構造4、建築史2、建築計画5、都市計画3、環境原論4、建築設備2、建築施工3というのが、最も一般的な出題パターンです。
これらの試験科目を、建築学科出身の方が、大学で全てまんべんなく学んだという方は、少ないと思います。公務員試験では、相当の難問が出ることはありませんが、受験案内(募集要項)で試験科目を確認して、各科目を広く勉強する必要があります。
公務員試験は毎年一定の人材を安定して採用するのが目的ですから、どの試験科目も頻出項目や難易度が年度によって大きくブレることはありません。その意味では、勉強すべき科目は多いですが、過去問を軸に深入りせずに学習すれば十分対応できます。
今回の記事で説明した専門試験の参考書や問題集については、理系公務員の参考書で一括して説明しているため、ぜひとも参考になさってください。