地方公務員の技術系区分(大卒)

技術系区分(大卒)は、国家一般職大卒、地方上級(都道府県、政令指定都市、東京都特別区)、市役所(大卒)の間では、標準的な試験内容が一般的です。参考書を一通り知りたい方は、まずは理系公務員の参考書をおすすめします。

ここでは、地方上級(都道府県、政令指定都市、東京都特別区)、および、政令指定都市以外の一般的な市役所における理系(技術系)区分の採用試験を取り上げます。

技術系区分の専門試験は、地方上級の場合、択一式で40問・全問解答制が最も一般的な基本形です。市役所の場合も、40問・全問解答制が一般的で、地方上級に準じた試験傾向を示します。

その一方、自治体の中には、総問題数や解答数を増やしたり、選択解答制を導入している自治体もあります。また、技術系区分では、専門試験で記述式を課す自治体も少なくありません。なかには択一式が30問という自治体もあります。

技術系区分の場合も、同日実施の自治体どうしでは、全国的に共通問題が幅広く出題されています。

地方上級は国家一般職大卒とともに、標準的な大卒公務員試験の出題内容です。市役所は、地方上級と同等かやや易しい問題だといえます。技術系区分は、毎年似たような問題が頻繁に使われており、大学での知識を前提にすれば、過去問メインの学習で十分対応できます。

ここで、地方公務員の主要な技術系区分と、択一式の場合の専門試験の一般的な基本形を取り上げます(40問・全問解答制の場合)。実際に採用される区分、各区分の分類の仕方、区分の名称などは、自治体によって異なります。以下の一覧は、各科目の重要度のひとつの目安として参考になります。

  • 土木→数学・物理10、応用力学6、水理学6、土質工学4、測量2、都市計画2、土木計画6、材料・施工4
  • 農業土木→数学3、応用力学3、水理学4、測量2、土壌物理2、農業水利・土地改良・農村環境整備14、農業土木構造物5、材料・施工2、農業機械2、農学一般3
  • 土木関係は、総合土木区分などの名称で、土木と農業土木を一括した区分として募集する自治体もあります(その場合は、選択解答制を導入する自治体が多く見られます)。
  • 建築→数学・物理10、構造力学5、材料学2、環境原論4、建築史2、建築構造4、建築計画5、都市計画3、建築設備2、建築施工3
  • 電気、電気・電子工学→数学・物理10、電磁気学・電気回路10、電気計測・制御4、電気機器・電力工学6、電子工学6、情報・通信工学4
  • 機械→数学・物理10、材料力学4、流体力学4、熱力学4、電気工学2、機械力学・制御4、機械設計6、機械材料3、機械工作3
  • 電気または電気・電子工学区分、機械区分については、設備区分という名称を用いる自治体もあります。
  • 化学、総合化学→数学・物理7、物理化学9、分析化学3、無機化学・無機工業化学6、有機化学・有機工業化学9、化学工学6
  • 農芸化学→物理化学5、分析化学2、無機化学3、有機化学5、生物化学7、土壌学・植物栄養学6、食品科学6、応用微生物学6
  • 農学、農業→栽培学汎論5、作物学5、園芸学5、育種遺伝学5、植物病理学4、昆虫学4、土壌肥料学4、植物生理学4、畜産一般2、農業経済一般2
  • 畜産→家畜育種学5、家畜繁殖学4、家畜生理学4、家畜飼養学4、家畜栄養学4、飼料学3、家畜管理学6、畜産物利用学5、畜産経営一般5
  • 林学、林業→森林政策・森林経営学13、造林学(森林生態学、森林保護学を含む)12、林業工学4、林産一般5、砂防工学6
  • 水産→水産事情・水産経済・水産法規8、水産環境科学5、水産生物学5、水産資源学4、漁業学4、増養殖学4、水産化学5、水産利用学5
  • 環境→物理5、化学5、環境概論5、廃棄物・資源循環工学5、大気・地球環境学5、水・土壌環境学5、環境生物・生態学5、環境衛生学5

技術系区分では、各区分の専門科目以外に、数学や物理が課せられます。これを「工学の基礎」と呼び、国家公務員では「工学に関する基礎」ともいいます。区分によっては化学も課されます。

工学の基礎とは、数学や物理(区分によっては化学も)の高校~大学教養レベルの問題です。工学の基礎は土木、電気(設備)、機械(設備)、建築では40問中10問、化学区分では7問という重要科目です。

その一方、農学(農業)、林学(林業)、水産では、工学の基礎が課されることはほとんどありません。

その一方、教養試験は択一式が一般的で、一部の自治体や区分を除き、区分を問わず共通の試験内容が課される試験です。このため、どの区分の方も、同じような試験勉強で対応することができます。

大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。

このほか、地方公務員の場合、技術系区分でも論文(作文)試験や面接試験が課されることが少なくありません。