高卒公務員・教養試験(基礎能力試験)の参考書

今回の記事は、全ての高卒程度公務員を対象に、教養試験(基礎能力試験)で「何を」「どれだけ」勉強すればよいかについて、使用教材を具体的に取り上げながら一括して説明します。

今回の記事は、行政系・事務系(国家一般職高卒、都道府県・政令指定都市、東京都特別区、市役所高卒)、警察官、消防官、理系(技術系)、福祉系・心理系、資格免許職など、教養試験(基礎能力試験)が課される高卒程度公務員試験に幅広く対応しています。

教養試験(基礎能力試験)の試験内容は、どの区分(職種)でも共通の試験内容であることが一般的です。このため、行政系・事務系、警察官、消防官、理系(技術系)、福祉系・心理系、資格免許職など、どの区分・職種でも、同じ試験対策で対応できるのが一般的です。

教養試験(基礎能力試験)とは

教養試験は、国家公務員や一部の地方公務員では基礎能力試験とも言います。

教養試験(基礎能力試験)は、一般知能(知能分野)と一般知識(知識分野)があります。知能は、数的処理(判断推理または課題処理と、数的推理または数的処理)、文章理解、資料解釈があり、知識は社会科学、人文科学、自然科学に分かれます。

以下、高卒程度公務員試験の教養試験(基礎能力試験)に対応できる参考書を、順次取り上げていきます。

(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)

判断推理/課題処理、数的推理/数的処理

高卒程度の公務員試験において、判断推理、数的処理は、国家公務員(国家一般職高卒など)や一部の地方公務員では、課題処理、数的処理と呼ばれます。

なお、判断推理(課題処理)、数的推理(数的処理)の2科目を合わせて、「数的処理」と呼ばれることもあります。

数的処理(判断推理、数的推理)は、高卒程度の公務員試験ならどの試験でも、教養試験(基礎能力試験)の出題数の3割前後を占め、短期間の暗記が通用しない科目です。時間をかけて解法を習得する必要がある、最重要科目といえます。

数的処理のメイン教材(過去問集)

数的処理のメイン教材としては、「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 数的推理」および「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 判断推理」をおすすめします。

本書は、「過去問集」と呼ばれる、参考書部分(要点整理部分)と過去問演習が一体となった教材です。過去問集は、全くの初学者でも、公務員試験の初歩から本物の試験問題を解けるまで、1冊で完結することを想定したメイン教材です。

とはいえ、過去問集でも1回目は時間がかかり、難しいと感じるでしょう。しかし、試験勉強を始めてから本番直前まで、何度も徹底して繰り返すうちに、公務員試験に要求される解法や知識が身につく定番教材です。

公務員試験は、入門書抜きで、いきなり過去問集から着手しても構いません。むしろ早い段階で、過去問集から始めるべきです。いつだろうと、本試験レベルが解けなければ、公務員試験には通りません。

過去問集を公務員試験のメインに位置づけ、早期から一貫して過去問集1冊に絞って繰り返すだけでも、本試験に備えることが可能です。過去問集は、1冊で公務員試験の基礎から本試験レベルまで習得できる、オールラウンド型の教材です。

本書は、「初級スー過去」または高卒程度版のスー過去と言われる定番教材です。本試験までに4回でも5回でも繰り返すことで、本書だけでも合格に必要な実力が確実に身につきます。

文章理解、資料解釈

文章理解も、高卒程度の公務員試験なら、教養試験(基礎能力試験)の2割近くを占める重要分野です。ただし、そのほとんどが現代文で、次に英文が出題されます。古文は国家公務員で1問、地方公務員で出ることはほとんど無く、英文と現代文に絞って学習すれば十分です。

資料解釈は、東京都、特別区、市役所、消防官では4~5問です。これらを志望する方は、しっかり学習すべき科目です。国一高卒、道府県・政令指定都市、警視庁3類や警察官では2問です。優先度は高くありませんが、取りこぼすことの無いように学習すべきですし、捨て科目にすべきではありません。

文章理解は現代文と英文を毎日1~2問づつ、資料解釈も毎日1~2問づつ取り組みます。どちらの科目も、問題を解くコツは身につきやすく忘れやすい科目です。このため、あまり早いうちから取り組まなくても良いですが、本試験まで半年~3ヶ月切っている方は、必ず着手すべきです。

どちらの科目も勉強を開始したら、本試験まで勉強しない日を作らず、問題を解く勘を失わないように、繰り返し解き続けましょう。1日あたりの勉強量は少なくて構いませんが、毎日コツコツと解き進めて問題を解く勘を鈍らせないことが肝要です。

文章理解のメイン教材(過去問集)

文章理解は、まずは過去問集の「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 文章理解・資料解釈」を購入し、現代文と英文の重要問題だけをいくつか解いてみましょう。

本書は、実務教育出版の定番「スー過去」のうち、高卒程度の公務員試験バージョンです。要点整理(ポイント)と過去問演習が一体となった「過去問集」と呼ばれる教材であり、全くの初学者が基礎から本試験レベルまで、一貫して使える完結型のメイン教材です。

文章理解の場合は、まず本書で典型的な試験問題に相当する「重要問題」から、現代文と英文を適当に5~6問ずつ選んで解いてみましょう。ここで、英単語や速読に自信が持てる場合は、単語集は絶対に必要ではありません。

いきなり過去問集に取り組んで、1回目は時間もかかるし難しいと感じるでしょう。しかし、これを本試験までに何度も繰り返し我慢強く取り組むことで、必ず本試験で通用する力が身につきます。

高卒程度の公務員試験は、一般的な勉強期間が1年~数ヶ月程度の短期決戦です。過去問を解けない方が本試験で通用することは絶対にありません。単語集を併用するかどうかは別として、過去問集は早いうちから取り組むべき必須のメイン教材です。

文章理解自体は、暗記力が要求されることがほとんど無い科目です。問題を繰り返し解き続ける中で、問題を解くコツを身に付けていくことができる科目です。「習うより慣れる」ことが最も重要であり、いきなり過去問集から取り組んで構いません。

資料解釈のメイン教材(過去問集)

資料解釈も、暗記力はほとんど必要ない一方、この科目特有の「問題を解くコツ」を付ける必要がある科目ですし、文章理解ととても良く似た科目です。いわゆるコスパが高い科目ですし、過去問演習を繰り返せば、割と点が取りやすい科目でもあります。

資料解釈の過去問集にも「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 文章理解・資料解釈」をおすすめします。資料解釈も、いきなり過去問集から始めてかまいません。

過去問集は最初はしんどくても、資料解釈独特の出題形式に応じた解き方に慣れることが必要です。過去問集は、短期決戦である公務員試験に適切な構成で、過去問集1冊で公務員試験を乗り切ることが可能です。

一般知識(知識分野)

一般知識(知識分野)は、以下の出題傾向(問題数)が見られます。社会科学は政治、経済、社会、人文科学は日本史、世界史、地理、自然科学は物理、化学、生物、地学を含みます。

  • 国一高卒:社会科学5、人文科学8(国語2、倫理1含む)、自然科学5(数学1含む)、英語2
  • 道府県・政令指定都市:社会科学8、人文科学10(国語3含む、倫理0)、自然科学7(数学1含む)、英語0
  • 東京都:社会科学4、人文科学6(国語、倫理は0)、自然科学4(数学0)、英語0
  • 東京都特別区:社会科学5、人文科学10(国語3、倫理1、文学・芸術1含む)、自然科学7(数学0)、英語0
  • 市役所:社会科学9(時事5含む)、人文科学5(国語、倫理は0)、自然科学6(数学1含む)、英語0
  • 消防官:市役所と同じ。
  • 警視庁3類:社会科学9、人文科学10(国語2、倫理1、文学・芸術1含む)、自然科学4(数学が0)、英語4
  • 警察官高卒(一般的なケース):社会科学9(時事4、社会0)、人文科学9(国語3含む)、自然科学7(数学1含む)、英語0

一般知識(知識分野)は一般知能と同じく、全問必須回答が一般的ですが、特別区は一般知識を22問中17問選択解答となっています(一般知能は全問必須)。

高卒程度公務員試験の場合、道府県・政令指定都市、市役所、消防官、国一高卒なら、一般知識(知識分野)と一般知能(知能分野)はほぼ同じ出題比率であり、両者をバランス良く学習する必要があります。

ただし東京都は、一般知識(知識分野):一般知能(知能分野)=1:2と、圧倒的に知能の問題比率が高く、特別区も知識は22問中17問の選択解答、知能は28問の全問必須解答です。これらの試験では、知識は優先度が高くなくても、取りこぼしが許されません。

警視庁3類(50問)は一般知識(知識分野):一般知能(知能分野)=27:23で知識を重視すべきですが、一般的な警察官高卒(50問)では知能と知識が25問づつ課されるため、バランス良く勉強すべきです。

社会科学、人文科学のメイン教材(過去問集)

高卒程度公務員試験の場合、知識は社会科学と人文科学を固めることが最優先といえます。メインの教材として、過去問集である「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 社会科学」および「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 人文科学」をおすすめします。

このうち、社会科学は政治、経済、社会、人文科学は日本史、世界史、地理、倫理、文学・芸術、国語をカバーしています。時事問題は別途対策が必要ですが(この記事で後述します)、この2冊だけで、あらゆる高卒程度公務員試験の社会科学・人文科学をカバーできます。

過去問集は、要点整理(ポイント)と過去問演習が一体となり、初めて学ぶ科目でも全くの基礎から試験本番まで1冊で一貫して使える完結型教材です。過去問集1冊だけで、公務員試験を乗り切ることが出来ます。

とはいえ、1回目は時間がかかり難しく感じるでしょう。しかし、早いうちから我慢強く、2回目、3回目、、、、としっかり繰り返すことで、本試験の問題を解くのに必要な知識や解法が自然に身につきます。

自然科学のメイン教材(過去問集)

高卒程度公務員試験の自然科学は、科目別の問題数がとても少ない分野です。国一の場合、数学、物理、化学、生物、地学がすべて1問づつ、市役所高卒および消防官は生物が2問で他科目が1問づつ、東京都は数学がゼロで他科目が1問づつです。

その一方、特別区は物理、化学、生物が2問づつで地学1、数学0ですし、道府県・政令指定都市は化学と生物が2問づつ、数学、物理、地学が1問づつです。特別区の知識が選択解答制なのを考慮しても、これらの自治体の受験生は、自然科学にも試験勉強を一定程度配分すべきです。

警視庁3類では数学が0で物理、化学、生物、地学が1問づつなのに対して、一般的な警察官高卒では、化学と生物が2問づつ、数学、物理、地学が1問づつと、少し多めのペース配分で勉強すべきです。

自然科学の場合も、「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 自然科学」をおすすめします。本書は物理、化学、生物、地学、数学をカバーしており、あらゆる高卒程度公務員試験の自然科学に対応します。要点整理(ポイント)部分と過去問演習が一体となって、全くの初歩から本試験まで使えるメイン教材です。

この教材もいわゆる「過去問集」です。初見の科目が多い自然科学なら、1回目は1問解くのもしんどいと思います。しかし、2回め、3回め、、、と何度でも繰り返すうちに、公務員試験に必要な知識や解法が定着し、問題を解く力が身につきます。

特に自然科学は、どの公務員試験でも、パターンが決まった基本問題が頻出です。出題数が少ないだけでなく、単純な暗記だけで解ける問題や、計算問題が出ても、ごく基本の法則や公式さえ覚えていれば解ける、ごくごく典型的な問題が中心です。

このため、自然科学は、優先度は高くなくても、本書を見て、志望先の重要度が最も高いテーマ(項目)や、「重要問題」に絞ってやっておくという戦略でも良いので、全くの捨て科目にするのはもったいないと思います。

自然科学は、他の分野を犠牲にしてまで取り組むべき分野ではありません。ただし、各科目の重要度が高い問題に絞り込んで、一通りまんべんなく取り組んでおくと、取りこぼすことが少ない分野だといえます。

参考書

公務員試験は、過去問集をメイン教材と位置づけ、これを各科目こなすだけで、必要な実力は十分身につきます。ただし、過去問集だけでは分からないという科目・分野や、解説を何度読んでも過去問が解けないという科目・分野の場合には、参考書を使った知識や解法の補充を検討すべきです。

参考書は絶対必要とは言いません。まずは過去問集である「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ」を科目別に取り組んで、それだけでも多くの場合、公務員試験の合格が可能です。ただし、科目によっては参考書を併用し、基礎・重要事項の補強を行うという選択肢も考慮しておくことがおすすめです。

よくわかる数的推理/判断推理

数的推理や判断推理は、単純な暗記が通用せず、要求される解き方のパターンが一定の範囲から課される科目です。ただし中には、数字を見ただけで苦手意識を持つ方や、数的・論理的解法に慣れないという方も少なくありません。

数的推理も判断推理も、まずは過去問集をやってみて、自力で進められそうなら、それだけで本試験には十分です。その一方、算数や数学の知識が抜けていたり、何度過去問を解いてもできないという方には、入門書として実務教育出版の「初級公務員試験 よくわかる数的推理」「初級公務員試験 よくわかる判断推理」がおすすめです。

この2冊は非常に手堅く、堅実な正攻法を重視した真面目な入門書です。先に過去問集をやってみて問題が解ける受験生には必要ありませんが、数的推理や判断推理で必要な解き方のノウハウを類型化しており、典型的な基本~標準問題を使ってあらゆる解法を使いこなせるようになる良書です。

もちろん、実際の本試験問題は、定型的な問題だけではなく、派生的な問題や複数の解法の駆使が必要な問題も多くあります。また、「よくわかる数的推理/判断推理」は、長い間改訂されておらず、内容的にはやや古い参考書です。

このため本試験対策や最近の傾向を踏まえると、「初級公務員試験 よくわかる数的推理」「初級公務員試験 よくわかる判断推理」は基本的な解法を理解する入門書としては最適ですが、この参考書を使う場合でも、必ず過去問集である「公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ」をメイン教材と位置づけて取り組むことをおすすめします。

過去問演習書(過去問500/350)

メイン教材で試験勉強をしっかりこなした後は、「過去問演習書」と呼ばれる、直近の年度別・科目別に厳選され、公務員試験別に出版された問題集で、最新傾向や難易度を把握するとともに、「早く正確に」解く力を鍛える問題演習に取り組みましょう。

過去問演習書には、実務教育出版の「過去問500」(大卒程度)/「過去問350」(高卒程度/警察官と消防官は大卒程度もこちら)シリーズをおすすめします。当サイト内の「過去問500/過去問350(過去問演習書)」という記事でも、本書の賢い活用法や注意点など、特に詳しく説明しています。

時事対策/総チェックの参考書

時事対策は公務員試験では絶対に必要ですし、普段からウェブサイトやテレビ、新聞などに目を通すことはもちろん、参考書としては「高卒程度公務員 直前必勝ゼミ」をおすすめします。

本書は毎年最新版が出版され、試験直前期の総チェックの定番として知られる参考書です。また、時事対策は政治(国際/国内)、経済、厚生・労働、環境、科学、社会の各分野を網羅しており、短時間で一通りのまとめが可能です。

また、この参考書は作文と面接の対策に関しても、毎年よくまとまっていてわかりやすい良書です。余談ですが、すぐ上で紹介した「過去問350」と同じく、試験勉強を行ってこなかった受験生が直前期に最低限の学習を行うのによく使われる参考書でもあります。

高卒程度公務員 直前必勝ゼミ」は教養試験(基礎能力試験)の項目別チェックや直前予想問題もありますし、試験直前期に一通り学習してきたことの再確認、総チェック、時事対策に最適な参考書として十分おすすめできます。