市役所(大卒)

今回は、市役所(大卒)の採用試験を取り上げます。今回の記事は、大卒程度であれば、町村役場の採用試験にも参考になります。なお、今回の記事は、主に一般事務・行政系の職種・区分を対象にしています。

ここでいう市役所は、政令指定都市(政令市)を除く市役所です。政令市や東京都特別区(23区)の方は、都道府県と同じ地方上級をご覧ください。

(政令指定都市は、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の20市です)

市役所の程度と受験資格

市役所では、大卒程度、高卒程度など、「程度」によって採用試験を分けて実施する市役所と、大卒・短大卒・高卒などの「程度」で分けずに、同じ採用試験を同時に課す市役所があります。

この「程度」は、自治体によっては、大卒、短大卒、高卒ではなく、1類、2類、3類、あるいは、上級、中級、初級など、独自の名称で分類する市役所もあります。

その一方、受験生を「程度」で分けずに、同じ採用試験を同時に受験する市役所の場合も、その試験内容の目安として、「程度」を明示することが一般的です。

公務員試験における「程度」とは、試験内容の目安や難易度を示すものです。志望先が大卒程度の市役所なら大卒程度の、高卒程度の市役所なら高卒程度の公務員試験に見合った試験勉強を行いましょう。

一般的には、大卒程度の市役所なら、地方上級や国家一般職大卒などと同じく、大卒程度公務員試験の試験勉強で十分通用します。高卒程度の市役所も、地方初級や国家一般職高卒などと同じく、高卒程度公務員試験の試験勉強で通用します。

公務員試験でいう「程度」は、「試験内容」を指すことが一般的であり、受験資格とは別物です。例えば、「大卒程度の公務員試験」といっても、大卒であることが必要な公務員試験もあれば、大卒以外の方でも受験できる公務員試験もあります。

市役所の採用試験における「程度」と「受験資格」は、受験案内(募集要項)に明記されることが一般的です。必ず確認しましょう。

「程度」を知ることで、自分がどの程度に該当する試験勉強を行えば良いかわかりますし、受験資格によって、学歴要件や年齢要件の有無など、その市役所を受験できるかどうかがわかります。

ここから先は、大卒程度の市役所の採用試験を説明します。高卒程度の市役所に関しては、市役所(高卒)を参考になさってください。

市役所の採用試験

市役所の採用試験は、択一式(多肢選択式)の教養試験と専門試験、面接試験、論文(作文)試験が一般的です。これとは別に、適性試験や適性検査を実施する市役所もあります。

教養試験は職種・区分を問わず、共通の試験内容が一般的であり、どの職種・区分の方も、同じ試験勉強で対応できます。専門試験は、職種や区分ごとに異なる試験内容が一般的であり、各区分・職種に合った試験勉強が必要です。

論文(作文)試験は、特定の課題に対して論述する試験です。面接試験は、個別面接が一般的ですが、市役所によっては、集団面接、集団討論など、他の形式を導入している自治体もあります。

市役所の採用試験は、これらの試験種目を、1次試験と2次試験に分けて行い、1次試験の合格者だけが2次試験に進み、2次試験の合格者=最終合格者が採用というケースが一般的です。

ただし、市役所の採用試験は、自治体や職種・区分によって、違いがあります。

行政系・事務系を中心に、専門試験を課さない(択一式は教養試験のみ)市役所が数多くあります。技術系区分では、専門試験を課す市役所が多くみられます。

大半の市役所は、教養試験・専門試験とも択一式です。なお、非常に特異な例として、教養試験を記述式で課す市役所も、ごく稀に存在します。また、専門試験で記述式で課す市役所も、ゼロではありませんが、どちらかといえば珍しいほうだと思います。

さらに、全国的には非常に少ないケースですが、3次試験まで行う市役所も、中にはあります。このように、市役所の採用試験は、自治体によって異なるため、志望先の受験案内(募集要項)で確認しましょう。

なお、一般的な市役所の場合、毎年全ての自治体が採用試験を行うとは限らず、年度によっては、職種や区分にもよりますが、採用試験を行わない市役所もある点に留意が必要です。

市役所(大卒)の試験日程

市役所(大卒)の試験日程(1次試験の実施日)は、全国的にA日程、B日程、C日程と呼ばれる集中実施日が見られます。ほとんどの市役所では、A~C日程で1次試験を行っています。この他、10月にも実施する市役所がいくつか見られ、D日程と呼ばれます。

市役所(大卒)のA~D日程は、例年通りなら、以下の実施日となります。なお、A日程は、地方上級(都道府県、政令指定都市の大卒程度採用試験)の集中実施日と同日なのが通例です。

  • A日程:6月第3日曜日
  • B日程:7月第2日曜日
  • C日程:9月第3日曜日
  • D日程:10月第3日曜日

一般的な傾向としては、県庁所在地や中核市など、規模の大きな市では、A~B日程など、早い日程で実施する傾向があります。その一方、全国的に最も多くの市役所が集中するのがC日程です。D日程は、他の日程に比べて、さほど多くありません。

公務員試験は、日程が重なった所どうしの併願はできませんが、異なる試験日程なら、いくつでも併願受験できます。受験案内(募集要項)を通じて、志望先や併願先のスケジュールを必ず確認しましょう。

市役所によっては、例年通りとはならない場合もありますし、集中実施日以外に実施する市役所もあります。中には、10月以降に実施する市役所もあります。受験の際は、必ず各自治体の受験案内をご確認ください。

市役所(大卒)の教養試験

教養試験の出題科目や科目別出題数に関しては、教養試験の科目別出題数(大卒)を参考になさってください。

大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。

市役所(大卒)の科目別出題数(専門試験)

市役所(大卒)の専門試験の科目別出題数は、以下の通りです。専門試験は、日程が違えば問題は違いますが、同一日程の市役所どうしでは、全国的に同じ問題が見られます。

専門試験の科目別出題数は、どの日程でも、政治学2、行政学2、社会政策3、国際関係4、憲法5、行政法6、民法5、経済学(または経済原論)10、財政学3です。これは、択一式・40問全問必須解答の市役所の場合です。

なお、市役所(大卒)のB~C日程の中には、「政治学・行政学」「社会政策」「社会学・教育学」「国際関係」「憲法」「行政法」「民法」「経済理論」「経済政策・経済事情」「財政学・金融論」の10分野(1分野5問づつ・合計50問)から、6分野30問を選択解答する市役所もあります。

この場合は、分野ごとの選択制であって、例えば「ある分野から3問、別の分野から1問、、、」などという選択はできません。5問づつの10分野から6分野(5問×6分野=30問)を選択しなければなりません。

志望先の市役所で専門試験が必須解答か選択解答かどうかも、受験案内(募集要項)で確認しましょう。一般的には、総出題数、解答すべき問題数、出題分野・科目などが明記されるため、こうした出題内容を確認するとよいでしょう。

市役所(大卒)の専門試験は、全国的には択一式・40問で必須解答制という市役所が一般的です。また、そもそも専門試験を課さない(教養試験だけでよい)市役所も、数多く存在します。

当サイトでは、一般的な大卒程度公務員試験(択一式)の試験勉強で対応できる、地方上級・市役所大卒・国一大卒の参考書について、地方上級・市役所大卒・国家一般職大卒の参考書でまとめて取り上げています。是非参考になさってください。