大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)

今回は大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)を取り上げます。教養試験は国家公務員や一部の地方公務員では基礎能力試験と言いますが、試験内容は同じです。

教養試験は、区分(職種)ごとに異なる試験内容を課す専門試験と違って、どの区分でも共通の試験内容が一般的です。

このためこの記事も、行政系・事務系、理系(技術系)、福祉系・心理系、資格免許職など、大卒程度の公務員試験ならどの試験区分・職種にも対応します。

今回の記事では、地方上級(都道府県、政令指定都市、東京都特別区)、市役所、国家一般職大卒、国立大学法人、国家総合職、裁事、国税/財務/労基/航空管制官、経験者採用試験、防専/外専、衆・参事務局/国立国会図書館、文教団体職員のあらゆる区分・職種の教養試験(基礎能力試験)に対応します。

(※都道府県・政令指定都市・東京都特別区を除く一般的な市役所では、平成30年度(2018年度)以降、新たな教養試験が導入されています。この試験内容・試験対策・参考書は、市役所の新教養試験対策/大卒・短大卒・高卒とも対象で一括してまとめていますので、一般的な市役所の方は、こちらを参考になさってください)

(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)

数的処理(判断推理、数的推理)

数的処理(判断推理、数的推理)は、教養試験(基礎能力試験)の出題数の3~4割を占め、単純な暗記だけでは通用しないことから、試験勉強の初めから真っ先に取り組むべき最重要分野です。

数的処理の参考書(入門書・導入本)

まず、数的処理をやってみたが、さっぱりわからない、解説を読んでも問題が解けないという方には、後述するメイン教材(過去問集)に取り組む前の入門書(導入本)として、「解法の玉手箱 実務教育出版」シリーズがおすすめできます。

「解法の玉手箱」は、「数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」および「判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」の2冊が出ています。

このうち「数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」は、足し算・引き算から始めて、整数・小数・分数、さまざまな数式や図形、数列や確率といった、公務員試験に必要な知識や解法だけを、過不足無く、順序立てて習得することができます。

判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」のほうも、暗号を解読する問題、位置を決める問題、真偽を確かめる問題、対応表、カード、集合、消去法、空間・立体図形など、判断推理で要求される「基礎学力」が、自然に身につく構成になっています。

解法の玉手箱 実務教育出版」は、小学校高学年~高校(大学受験)レベルの算数・数学を、受験算数・受験数学ということではなく、公務員試験に必要な事柄だけを抽出して、学習しやすいテーマ順に整理し直しているため、無理なく勉強することができます。

本書は過去問を掲載しているとはいえ、あくまでも基礎知識の定着を目的に編集された参考書(入門書・導入本)です。実際の公務員試験で「解く力」をつけるには、本書をこなした後に、後で詳しく説明する、「過去問集」と言われる教材を使った、本試験レベルの問題演習が必ず必要です。

公務員試験は毎年一定の人材を確保することが目的ですから、年度ごとに難易度が大きく変わることは無く、安定した水準の問題を解く能力が要求されます。これをクリアするには、過去問集で本格的な試験勉強を欠かさないでください。

その意味では、入門書(導入本)である「解法の玉手箱 実務教育出版」は、全受験生に必須の参考書ではありません。大学入試までの算数・数学が得意だった方は、いきなり過去問集から始めても全く問題ありませんし、過去問集を難しく感じる方はさほど多くないと思います。

その一方、中学~高校の間で、算数や数学が苦手だった、あるいは、数学の受験勉強の経験がほとんど無い方は、まず過去問集を5~6問ほどランダムにやってみて、それぞれの解説を読んでもさっぱり理解できない場合は、先に「玉手箱」をクリアしてから過去問集に進むことをおすすめします。

いずれにせよ、入門書をやる・やらないに関係なく、後で紹介する「過去問集」の徹底攻略が最終的には必須だという点に留意しましょう。最初はどれだけきつくても、過去問集を乗り切らないと、本番の公務員試験が解けないのは変わらないことに留意してください。

なお、「解法の玉手箱 実務教育出版」も、一般的な公務員試験の教材に見られる、典型問題の例題でそのテーマの感触を掴み、解説をよく読んだ上で、練習問題で習得を目指す構成です。これをクリアしたら、過去問集の本格演習にも、スムーズに入りやすいと思います。

数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」および「判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」は、算数・数学をすっかり忘れていたり、全くの知識ゼロという方であれば、非常によく噛み砕いた解説で、過去問集に取り組む前の導入本(入門書)として、十分おすすめの良書です。

数的処理のメイン教材(過去問集)

数的処理のメイン教材としては、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 数的推理」「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 判断推理」をおすすめします。参考書部分(要点整理部分)と過去問演習が一体となった「過去問集」と呼ばれるタイプのメイン教材です。

過去問集とは、公務員試験の試験範囲をテーマ別にまとめ、テーマごとに代表的な典型問題→解説→演習問題という構成になっている参考書兼問題集型の教材です。参考書部分(要点整理のポイント)と過去問演習が一体となっており、これ1冊で公務員試験を乗り切ることができます。

過去問集は、全くの初学者でも試験勉強の初歩から本試験問題を解く力まで身につけることができる完結型教材です。入門書抜きで、いきなり過去問集から着手しても構いません。

過去問集は、1回目はきつくて時間もかかるかもしれませんが、試験勉強の開始から本試験まで、何度も何度も繰り返すうちに、公務員試験の問題を解くのに必要な解法や知識が身につく定番教材です。

本試験レベルの問題が解けなければ、公務員試験に通らないのは同じことです。試験勉強の中心は過去問集と位置づけ、過去問集を徹底的に攻略することをメインに考えましょう。

過去問集は、1冊で基礎から本試験レベルまで習得することを想定したオールラウンド型の教材です。過去問集1冊に絞って、5回でも6回でも徹底して繰り返すことで、本試験に備えることが可能です。

文章理解、資料解釈

文章理解も教養試験(基礎能力試験)では出題数の1~2割を占める重要分野です。ただし、古文は0~1問であり、学習効果も低いことから、無理に学習する必要の無い科目です。英文と現代文に絞って学習すれば十分です。

資料解釈は、国総で2問、国家一般職/外専、国税/財務/労基/航空管制官/防専で3問、東京都、東京都特別区で4問出るため、これらの方は学習すべき科目と言えます。東京都や特別区以外の地方上級、市役所、国立大学法人、裁事では1問であり、無理に学習する必要はありません。

文章理解の入門書(単語集)

文章理解は、まずは過去問集の「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 文章理解・資料解釈」を買っておいて、現代文と英文の必修問題だけをいくつか解いてみましょう。

過去問集とは、公務員試験の要点整理(ポイント)と過去問演習が一体となった完結型教材です。過去問集だけで、全くの初歩から本試験で通用する実力を鍛えることができます。

このうち文章理解の場合、まずは過去問集で典型的な試験問題に相当する「必修問題」から、現代文と英文を適当に5~6問ずつ選んで解いてみましょう。

ここで、英文を読むのが遅かったり、分からない英単語が多いと感じたら、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。

本書は、比較的長めの英文を豊富に掲載し、英文の速読と単語力の向上が両立できる良書です。コンパクトなサイズですし、スキマ時間を活用しながら、何度も読み込んで練習するのが賢い使い方だといえます。

ここで英単語集をおすすめするのは、文章理解を解くのに必要な単語力や速読の基礎固めが必要な方です。必修問題を解くのに不安を感じた方は、単語集を追加して公務員試験に必要な単語と速読の練習を併行しましょう。

文章理解、資料解釈のメイン教材(過去問集)

その一方、英単語や速読に自信がある方なら、単語集は絶対に必要ではありません。過去問を解けない方が本試験で通用することはありませんので、単語集を併用するかしないかに関わらず、過去問集は絶対に取り組むべきメイン教材といえます。

文章理解自体は、暗記的な要素が皆無といえます。「習うより慣れる」ことを通じて、問題を解き続ける中で、問題を解くコツを身に付けていくことができる科目です。このため、いきなり過去問集から取り組んで構いません。

文章理解は出題数が多い重要分野ですが、問題を解くコツは忘れやすいため、あまり早くから取り組む必要はありません。とはいえ、本試験まで半年~3ヶ月を過ぎている方は、必ず着手すべきでしょう。

また、資料解釈も、暗記すべき事柄が皆無に近く、問題を解く中で実力が付くという意味で、文章理解ととても良く似た性格の科目です。学習効果が高い科目でもあり、問題練習を続ければ比較的容易に点が取りやすい科目でもあります。

文章理解や資料解釈の過去問集にも「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 文章理解・資料解釈」をおすすめします。文章理解・資料解釈は初学者でもいきなり過去問集から始めてかまいませんし、問題を解く中で出題形式に応じた解き方のコツに慣れていくことが必須といえます。

文章理解は現代文と英文を毎日1~2問づつ、資料解釈も毎日1~2問づつ取り組みます。本試験まで勉強しない日を作らず、問題を解く勘が身についたら、それを失わないように解き続けましょう。

文章理解は、1日あたりの勉強量は少なくても構いませんが、勉強しない日を作らず、毎日コツコツと解き進めて問題を解く勘を鈍らせないようにしましょう。資料解釈は国家公務員、東京都、東京都特別区、警察官、東京消防庁の方は捨て科目にせず、文章理解と同じ要領で過去問集に取り組みます。

なお、文章理解や資料解釈に早期から取り組んで、スー過去をクリアした方は、同種の過去問集である「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり! 文章理解」および「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり! 数的推理・資料解釈」の資料解釈の部分、または過去問演習書で知られる「過去問500」シリーズから志望先に応じたものに入って構いません。

これらの2冊めの問題集に着手する方も、進め方はやはり同じです。文章理解も資料解釈も、知識や解法を暗記すれば解ける科目ではありませんが、試験勉強の初めから本試験までの間に途切れること無く、毎日少しづつでも解き続けることで、十分な得点源となれる科目といえます。

一般知識(知識分野)

一般知識(知識分野)は地方公務員(道府県、政令指定都市、市役所)や国立大学法人なら一般知能(知能分野)とほぼ同じ出題比率であり、知能と知識をバランス良く学習する必要があります。

国家公務員や東京都では知能が6~7割、知識が3~4割の出題数であり、一般知識は頻出度や重要度が高い問題に絞って効率よく学習すべきです。特別区はそれよりも知識の比率が低く、知識科目は選択解答制になっています。

一般知識(知識分野)の入門書

公務員試験の一般知識(知識分野)は、高校の教科書~共通テストレベル相当の知識が問われる分野です。そこで、大学受験の入門レベルの参考書を公務員試験の入門書と位置づけます。

入門書は、何度かサッと通読して各科目のアウトラインを掴んだり、過去問演習の解説を読んでもわからなかった箇所を参照して基礎知識の補強に活用する使い方がおすすめです。

人文科学の入門書は、「もういちど読む山川日本史」、「もういちど読む山川世界史」がおすすめです。

「もういちど読む」は、山川出版社の歴史教科書を社会人向けに再編集した大人向けの教科書といえます。公務員試験においては、過去問の解説を読んでもわからない事柄が出たときに、随時参照して知識の補充を行う用途におすすめできます。

入門書はスキマ時間などを活用して繰り返し通読し、ざっくりと各科目の概要を頭に入れる導入本としておすすめです。また、過去問の解説を読んでもわからないというレベルの方が、基礎知識の補充を行う使い方もおすすめです。

ただし、こうした入門書は、もともとはあくまでも大学受験向けの参考書です。公務員試験にとって、入門書は必ず必要な教材というわけではありません。

入門書だけでは公務員試験の問題を解くレベルには到達しません。本試験の傾向や難易度に見合った本格的な学習となると、後述どおり公務員試験に特化したメイン教材を中心にすべきでしょう。

一般知識(知識分野)のメイン教材(過去問集)

一般知識(知識分野)のメイン教材には、過去問集である「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり! 社会科学」、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり! 人文科学」(1~2の2分冊)、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり! 自然科学」(1~2の2分冊)をおすすめします。

ただし、「解きまくり」シリーズの人文科学や自然科学は、それぞれ2分冊です。これらを1冊づつ効率よく、少ない時間で済ませたい方には、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 人文科学」「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 自然科学」をおすすめします。

「解きまくり」「スー過去」とも、定番の過去問集です。当サイトでも甲乙つけがたいメイン教材としておすすめできます。両者を比較すると、「スー過去」は掲載問題の精度が高く無駄がありませんし、「解きまくり」は解説が丁寧で見やすい構成だといえます。

当サイトでは、専門科目や一般知能では幅広い網羅性で優る「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」、一般知識では標準的な内容を重視した「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」をおすすめすることが多いのですが、これにこだわる必要はありません。

まずは受験生各自の皆さんの感覚で構いませんので、どちらか一方をやってみて、合わなかったら他方に乗り換えて構いません。ただし、「最終的にはどちらか一方を、必ずしっかりやり遂げる」ことのほうが重要です。

過去問集とは、公務員試験に必要な要点整理(ポイント)と過去問演習が一体となった完結型教材です。これを何度も繰り返すことで、初めて学ぶ科目でも全くの初歩から本試験の問題が解けるレベルまで到達できます。

特に自然科学は、定型的な典型問題が頻出です。暗記問題が中心で出題数が少なく、計算問題が出るとしても、基本的な法則や公式さえ覚えていれば解ける非常に単純な出題が中心です。

このため、自然科学では、テーマ(項目)ごと、あるいは、問題ごとの表示に従って、志望先の重要度が最も高いテーマ(項目)または問題に絞っても構いません(市役所の方は「地上」に準じても構いません)。

過去問集は、1回目は1問解くのにも時間がかかってしんどいかと思います。しかし、2回め、3回め、、、と何度でも繰り返すうちに、公務員試験に必要な知識や解法が定着し、本試験問題が解ける力が身につきます。

公務員試験は、過去問集だけでも乗り切れます。初めて取り組む科目でも、試験勉強の初めから我慢強く徹底的に繰り返すことで、本試験の問題を解くのに必要な知識や解法が自然に身につきます。

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」のどちらも、教養科目・専門科目を一通り揃えることができる定番の過去問集シリーズです。大事なことは、どっちつかずにならず、科目別・分野別に違うもので良いので、科目・分野ごとに「これ」と決めたどちらか一方をしっかりとクリアすることが重要です。

過去問演習書(過去問500/350)

メイン教材で試験勉強をしっかりこなした後は、「過去問演習書」と呼ばれる、直近の年度別・科目別に厳選され、公務員試験別に出版された問題集で、最新傾向や難易度を把握するとともに、「早く正確に」解く力を鍛える問題演習に取り組みましょう。

過去問演習書には、実務教育出版の「過去問500」(大卒程度)/「過去問350」(高卒程度/警察官と消防官は大卒程度もこちら)シリーズをおすすめします。当サイト内の「過去問500/過去問350(過去問演習書)」という記事でも、本書の賢い活用法や注意点など、特に詳しく説明しています。

時事対策

大卒程度の公務員試験の教養試験(基礎能力試験)では、時事という科目で国総、国一/外専、国税/財務/労基/航空管制官/防専で3問、社会事情という科目で東京都で6問、東京都特別区で4問出ています。

東京都や特別区を除く地方上級、市役所、国立大学法人、裁事では、社会科学を中心に時事的な出題が目立ちます。自治体によっては東京都や特別区のように時事科目を設ける試験もあります。

公務員試験の時事対策は教養試験にとどまらず、論文(作文)試験、面接試験、専門試験の対策にもつながります。行政系・事務系に限らず、理系(技術系)/福祉系・心理系/資格免許職といった専門職種(区分)でも、時事的な出題はとても多く見られます。

時事対策の参考書

時事対策の参考書には、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」をおすすめします。最新年度版が毎年出ており、受験生に幅広く使われてきた定番教材です。公務員試験の出題傾向に特化した優れた時事対策参考書といえます。

本書は政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題をカバーしており、受験生が専門外とする各分野の時事対策もしっかり取り組むことができます。

なお、「速攻の時事」には併用教材として「公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編」もあります。こちらは掲載問題の難易度にバラつきがあるのが難点ですが、時事を題材にした問題集として非常に貴重です。このため、問題の出来不出来は参考程度にとどめ、出題可能性が高い分野を知る参考材料として活用すれば大いに役立ちます。

また、トレーニング編は重要な時事用語を約400語スマートにわかりやすく解説しており、時事用語集としても優れています。「速攻の時事」に取り組んでいる方には、知識を補強する併用教材としておすすめできます。

その一方、「直前対策ブック 実務教育出版」もおすすめします。こちらは、速攻の時事ではまとめきれない情報をカバーする補強用参考書として最適です。

直前対策ブックは、白書や各種統計・データ、法改正や重要判例、審議会の答申などから重要な事柄をわかりやすくまとめています。過去の出題頻度から出題可能性が高い情報を凝縮しており、公務員試験にはよく出るのに受験生が見過ごしがちな情報を補強する参考書としておすすめします。

時事対策には「いつ始めるか」ということはありません。教養試験に限らず公務員試験では重要ですし、気づいたときにはその時に参考書を読み込んだり新聞やニュースに接するといった習慣を受験生活のなかに組み込んでいきましょう。

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公務員試験ガイド