地方上級

今回は、地方上級(地上)を取り上げます。この記事は、一般事務・行政系が対象ですが、共通問題を課すことが一般的に多く見られる教養試験(基礎能力試験)に関しては、理系(技術系)、福祉系・心理系など、他の職種・区分の方も、ぜひ参考になさってください。

ここでは、「そもそも地方上級とは何?」という方を対象に、出題タイプの説明と、志望先の出題タイプを知る方法、各タイプの科目別出題数まで取り上げます。

地方上級・市役所大卒・国家一般職大卒の参考書を知りたい方は、当サイトでは地方上級・市役所大卒・国家一般職大卒の参考書で一括して取り上げていますので、手っ取り早く知りたい方は、そちらの記事を先に是非参考になさってください。

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地方上級とは

地方上級(地上)とは、都道府県と政令指定都市(政令市)の大卒程度の採用試験を指します。なお、地方上級は、東京都特別区(東京23区)を含む場合が一般的ですし、当サイトでも東京都特別区を含んで説明します。

(政令指定都市は、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の20市です)

なお、「地方上級」という場合、主に一般事務・行政系を指す場合が一般的です。ただし、職種・区分ごとに異なる専門試験とは異なり、一部の例外を除き、教養試験(基礎能力試験)は職種・区分を問わず、共通問題であることが多く見られます。

地方上級は、1次試験が統一実施日(例年通りなら6月)に行われます。ただし、過去の実施実績では、東京都、東京都特別区、大阪府、北海道、愛知県は、統一日とは異なる日程で1次試験を行っています。

地方上級は、教養試験、専門試験、面接試験、論文(作文)試験を1次と2次試験に分けて実施する自治体が一般的です。ただし、自治体や職種・区分によっては、この通りとは限らない場合もあります。

地方上級の出題タイプ

地方上級の自治体は、教養試験・専門試験のそれぞれにおいて、共通の出題内容が見られる出題タイプに分類できます。教養試験では、全国型、関東型、中部北陸型、その他の出題タイプ、独自型があり、専門試験ではこれらに加えて、法律専門タイプ、経済専門タイプがあります。

このうち、独自型は他のタイプとは異なり、各自治体がそれぞれ全く独自の試験を行います。過去の実施実績では、東京都1類Bの教養試験、東京都特別区の教養試験および専門試験は独自型ですし、北海道、大阪府、大阪市は、他の公務員試験とは全く異なる試験を課しています。

その一方、独自型を除けば、同じ出題タイプの間では、いくつかの自治体で独自の問題や科目を加えたり、選択解答制を採用している自治体もありますが、多くは出題構成や出題内容がほぼ同じで、ほとんどが共通問題となっています。

志望先の自治体がどの出題タイプに該当するかは、実務教育出版が毎年6月に最新年度版を刊行している「公務員試験 学習スタートブック 実務教育出版」で確認しましょう。全国の都道府県・政令指定都市・東京都特別区について、試験内容をまとめた表を掲載しています。

地方上級の難易度

地方上級の問題自体の難易度は、どの自治体も、ほぼ同じです。大卒程度公務員試験の1つの目安といえる、標準的なレベルです。地上対策を行えば、他の公務員試験、特に国一大卒や一般的な市役所も併願しやすいといえます。

もちろん、併願する場合、互いに重ならない試験種目や科目があったり、試験形式が異なる(記述式が課されるなど)の場合は、それぞれの志望先に応じた試験勉強が必要な点には注意しましょう。

地方上級の科目別出題数

ここで、地方上級の科目別出題数を取り上げます。これは、各タイプのベースとなる、一般的な共通問題です。ほとんどの自治体が、この科目別出題数に該当します。

なかには、独自の問題や科目を加えて(除いて)、出題数を増減させる自治体や、全国型の中にも選択解答制を導入している自治体があります。その場合でも、試験問題の大部分は、ベースとなる共通問題を使っています。

地方上級の科目別出題数(教養試験)

地方上級の教養試験の科目別出題数は、以下の通りです。

全国型は、50問全問解答です。社会科学12(政治1、法律3、経済3、社会・社会事情5)、人文科学6(日本史2、世界史2、地理2)、自然科学7(化学2、生物2、数学1、物理1、地学1)、文章理解8(英文5、現代文3)、判断推理9、数的推理7、資料解釈1となっています。

関東型は、50問中40問の選択解答です。知能分野(一般知能)は20問必須解答で、知識分野(一般知識)が30問中20問選択解答制という自治体が一般的です。社会科学14(政治1、法律3、経済4、社会・社会事情6)、人文科学9(日本史3、世界史3、地理3)、自然科学7(化学2、生物2、数学1、物理1、地学1)、文章理解8(英文5、現代文3)、判断推理7、数的推理4、資料解釈1となっています。

中部北陸型は、50問全問解答です。社会科学10(政治1、法律2、経済3、社会・社会事情4)、人文科学8(日本史2、世界史3、地理3)、自然科学7(化学2、生物2、数学1、物理1、地学1)、文章理解8(英文5、現代文3)、判断推理9、数的推理7、資料解釈1となっています。

東京都1類B(一般方式)は40問必須解答で、独自型です。社会科学3(法律1、政治1、経済1)、社会事情5、人文科学4(歴史2、地理1、文化1)、自然科学4(化学1、生物1、物理1、地学1)、文章理解8(英文4、現代文4)、判断推理5、数的推理7、資料解釈4となっています。

(東京都1類B・一般方式の空間概念は、判断推理に含みます)

東京都特別区1類は、48問中40問の選択解答で独自型です。知能分野(一般知能)は28問必須解答で、知識分野(一般知識)が20問中12問選択解答です。社会科学4(法律2、政治1、経済1)、社会事情4、人文科学4(倫理・哲学1、歴史2、地理1)、自然科学8(化学2、生物2、物理2、地学2)、文章理解9(英文4、現代文5)、判断推理9、数的推理6、資料解釈4となっています。

(東京都特別区1類の空間把握は、判断推理に含みます)

地方上級の科目別出題数(専門試験)

地方上級の専門試験の科目別出題数は、以下の通りです。

全国型は、40問全問解答です。政治学2、行政学2、社会政策3、社会学0、国際関係2、憲法4、行政法5、民法4、刑法2、労働法2、経済原論(経済学)9、財政学3、経済史0、経済政策0、経済事情0、経営学2が出ています。

関東型は、50問中40問の選択解答です。政治学2、行政学2、社会政策3、社会学0、国際関係3、憲法4、行政法5、民法6、刑法2、労働法2、経済原論(経済学)12、財政学3、経済史1、経済政策3、経済事情0、経営学2が出ています。

中部北陸型は、50問中40問の選択解答です。政治学2、行政学2、社会政策2、社会学2、国際関係2、憲法5、行政法8、民法7、刑法2、労働法2、経済原論(経済学)8、財政学2、経済史0、経済政策3、経済事情3、経営学0が出ています。

法律専門タイプは、40問全問解答です。憲法7、行政法10、民法9、刑法3、労働法3、経済原論(経済学)5、その他不明3が出ています。

経済専門タイプは、40問全問解答です。憲法・行政法・民法・刑法・労働法から5、経済原論(経済学)18、財政学5、経済史2、経済政策4、経済事情4、統計学2が出ています。

東京都1類B(一般方式・行政区分)は、独自型試験です。択一式試験は課されず、記述式試験が課されます。10題中3題の選択解答で、出題される10題は、憲法、民法、行政法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学が各1題となっています。

東京都特別区1類は、55問中40問の選択解答で、独自型です。政治学5、行政学5、社会学5、憲法5、行政法5、民法10、経済原論(経済学のこと)10、財政学5、経営学5が出ています。

地方上級の参考書について

先に述べた通り、地方上級は市役所大卒や国一大卒と併願しやすく、公務員試験では定番の併願パターンです。
当サイトでは、一般的な地方上級・市役所大卒・国一大卒の参考書について、地方上級・市役所大卒・国家一般職大卒の参考書でまとめて取り上げています。是非参考になさってください。