理系公務員の難易度を考える

今回は、理系公務員(技術職)の難易度を取り上げます。

理系公務員の難易度に関して、先に結論を言うと、大学などで学んできた専門分野と同じ職種・区分で受験する限りは、特に難しいということは無いと思います。ただし、中央省庁の幹部候補(キャリア官僚)を採用する国家総合職だけは、やはり別格です。

理系公務員は専門外の受験が難しい

ネット上の情報を見ても、理系公務員は難しいという方もいれば、さほど難しくないという方もおられます。これは、何を基準に難易度を判断するかで、変わってくると思います。

例えば、建築系区分の公務員試験で、受験資格に建築系学科の卒業を求めることは、ほとんどありません。公務員試験は、大学で学んだ分野に関係なく、どの区分・職種でも受験できるのが一般的です(もちろん、専門分野の卒業要件を求める公務員試験もあります)。

実際には、理系の方でも、行政系・事務系の区分を受験する方がたくさんおられます。その一方、理系(技術系)公務員では、他の専門分野を受験する、特に文系出身者が技術系区分を受験するということは、ほとんどありません。

とりわけ専門試験において、行政系・事務系は、憲法、経済学、政治学など、どの学部出身者でも独学しやすい科目ばかりです。その一方、技術系区分の専門試験は、各分野の専門性が高いため、どの学部学科の方でも受験しやすいとはいえません。

採用試験の倍率をみても、行政系・事務系に比べると、技術系区分の倍率は明らかに低い傾向が見られます。理系公務員が難しいと言われるのは、専門外の区分の受験は敷居が高く、実質的に不可能に近いからともいえます。

専門分野=簡単とは限らない

その一方、先ほどの例でいうと、建築学科出身の方にとって、公務員試験を建築職で受験するのは、簡単かというと、そうとは限りません。試験問題自体の難易度もそうですが、公務員試験独特の出題傾向に合った試験対策が必要だと思います。

理系公務員の専門試験では、各区分の領域の専門科目を幅広く課すことが一般的です。また、いわゆる工学系の区分を中心に、「工学の基礎」(数学、物理)を課すことも一般的です。

これらの試験科目そのものが、決して難しい問題とは限りませんが、公務員試験特有の「癖」=出題傾向に慣れることが必要です。こうした点は、理系公務員(技術職)の試験科目でも説明しています。

理系公務員と行政系・事務系の難易度は別物

理系公務員が難しいと言われるのは、行政系・事務系のイメージから来ていることもあると思います。先述通り、行政系・事務系は独学がしやすく、幅広い学部学科出身の方が受験します。

このため、行政系・事務系は、倍率が高くなり、合格ラインは6~7割という傾向があります。行政系・事務系は、試験勉強がしやすいのと裏返しで、それなりの点数を取る必要があり、試験問題自体というより、合格を得るのが難しい採用試験といえます。

これに比べると、確かに理系(技術系)区分は、5割取れなくても合格することが、普通に珍しくない採用試験です。試験問題自体は、専門外の方には相当厳しいですが、自分が学んだ学部学科に近い区分で受験する限りは、そう難しくない試験といえます。

一般に理系公務員は、専攻以外の方が受けることはあまり無いため、倍率は低い傾向がありますが、大学などで学んだ科目だけで通用する試験では無いので、合格ラインは行政系・事務系よりも低くなりがちです。

理系公務員に必要な試験対策は

では、理系公務員で必要な試験対策とは何かといえば、出題される試験科目を漏らすことなく、できる限り全科目を学習すること、その代わり、難問奇問に手を出さず、過去問を軸にして、何度も出ている頻出項目を効率よくこなせば十分です。

当サイトでも、理系公務員の参考書で、こうした理系公務員の独学に最適な市販教材を幅広く取り上げています。

公務員試験は、毎年一定の人材を確保するのが目的です。その結果、採用試験の問題も、毎年度安定しており、年によって難易度や頻出項目が大きく変わることは、ほとんど無いといえます。

このため、何度も出ている頻出分野を各科目まんべんなくこなすことで、全ての科目の全範囲をこなす必要はなく、比較的短期間で効率よく過去問を中心に勉強すれば、理系公務員でも十分に合格できます。