精神保健福祉センターとは

精神保健福祉センターとは、精神保健福祉法に定められた、精神障害者の福祉に関する専門機関です。都道府県と政令指定都市(政令市)に設置することが規定されています。

この機関の名称に関しては、精神保健福祉センター以外に、精神医療センター、こころの健康センター、こころのセンター、総合福祉相談所など、異なる自治体もあります。

精神保健福祉センターの業務内容

精神保健福祉センターの業務内容は、以下の通りです。

  • こころの問題を抱えている方へ、精神保健福祉に関する相談、指導、援助
  • 広報やイベントなどを通じた、精神保健福祉に関する普及・啓発活動
  • 市区町村や地域の福祉機関(保健所など)、関係機関との連携・協力、技術的な援助、職員研修などの実施
  • 精神保健福祉に関する調査研究や情報提供
  • 精神保健福祉に関する、さまざまな団体の組織育成や助言
  • 自立支援医療費(精神通院)の支給認定や、精神障害者保健福祉手帳の等級判定に関する事務
  • 精神医療審査会の事務

精神保健福祉センターと保健所の違い

精神保健福祉センターと保健所は、明らかな違いがあります。

精神保健福祉センターは、都道府県や政令指定都市に設置される、精神保健福祉に特化した専門機関です。具体的なケースに応じた相談、指導、援助活動を行い、市町村、保健所、関係機関との連絡・調整、研修や技術的援助を担います。

また、精神保健福祉に関する調査研究や情報提供、精神保健福祉に関する普及・啓発活動、自立支援医療費(精神通院)の支給認定、精神障害者保健福祉手帳の等級判定は、精神保健福祉センターに認められた業務です。

一方、保健所は、地域保健法に基づき、都道府県、政令指定都市、中核市、その他指定された市(保健所政令市)、東京都特別区(東京23区)に設置され、健康と衛生に関して幅広く取り扱う公的機関です。

保健所は、地域住民に身近な機関であり、精神保健福祉に限らず、災害医療、感染症、食品衛生、環境衛生、動物愛護、医事・薬事衛生など、保健分野を幅広く受け持ちます。また、営業許可、立ち入り検査、違反施設に対する営業停止などの権限を有します。

精神保健に関しては、保健所は、さまざまな相談を受け付けたり、措置入院に関する申請・受理・入院決定、医療保護入院や応急入院についての精神科病院からの届出受理を行います。

精神保健福祉センターの専門職(相談員)になるには?

精神保健福祉センターは、都道府県や政令指定都市における精神保健福祉の専門機関です。ここで、相談員として働くには、各自治体の職員(地方公務員)として、それぞれの自治体が実施する採用試験に合格する必要があります。

センターの職員のうち、精神保健福祉の専門職(ケースワーカー)として、相談、援助、指導などに従事する職員は、「精神保健福祉相談員」として任用されることが、一般的です。

このほか、精神保健福祉センターの中には、ひきこもり、依存症、こころの電話相談など、特定の相談員を募集する自治体もあります。センターの職員は、全て正職員とは限らず、会計年度任用職員や、事務補助の職員を募集する自治体もあります。

多くの自治体は、精神保健福祉相談員の受験資格を、精神保健福祉士の有資格者としています。その一方、社会福祉士、臨床心理士、公認心理師、保健師などの受験を認める自治体も、少なくありません。

基本的に、正職員の場合は、精神保健福祉センターに専属とは限らず、各自治体の職員として、保健所、児童相談所、教育委員会(教育庁)、病院、本庁勤務など、さまざまな部署や機関への配属・転勤があります。

また、公務員として、精神保健福祉の専門業務以外にも、各種研修、出前講座などのイベントを通じた広報・啓発活動、関係機関との連絡・調整、一般的な事務処理などに従事することがあります。

当サイト「公務員試験ガイド」では、精神保健福祉相談員の採用試験や試験対策については、精神保健福祉相談員とはで取り上げていますので、参考になさってください。