今回の記事は、公務員試験の程度と区分(試験区分、職種)について説明した上で、志望先や併願戦略を考える上でのポイントを説明します。
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公務員試験の「程度」とは
公務員試験の「程度」とは、試験内容の目安を表すものです。大卒程度なら大卒レベル、高卒程度なら高卒レベルの試験を課す、ということを意味します。つまり「程度」とは、試験内容によって、異なる試験を実施する区分ともいえます。
公務員試験の中には、大卒程度、短大卒程度、高卒程度など、「程度」によって採用試験を分けて実施する試験があります。さらに、多くはありませんが、国家総合職や裁判所総合職など、院卒者の程度も実施する試験があります。
程度によって採用枠を分ける公務員試験の場合、程度の名称は、「大卒、短大卒、高卒」ではなく、「上級、中級、初級」「1種、2種、3種」「1類、2類、3類」など、試験によって異なります。
その一方、採用試験を程度で分けず、全ての受験生が一括して同じ試験を受ける試験があります。この場合も、どの程度の試験を課すかは、必ず確認しておきましょう。
公務員試験の程度と併願
全国的には、短大卒程度を実施する公務員試験は、そう多くありません。多くの公務員試験では、大卒程度と高卒程度が一般的です。また、院卒者程度を実施する公務員試験も、ごく一部ですが存在します。
例えば、高卒程度の公務員試験しか受験しない方が、大卒程度の試験勉強をするのは、オーバーワークですし、大卒程度の公務員試験しか受験しない方は、高卒程度の試験勉強では全く通用しません。ここは必ず、志望先の程度を確認しましょう。
一般的には、程度が同じ試験どうしや、大卒程度の試験勉強で、短大卒や高卒程度を併願する場合は、併願がしやすいといえます。もちろん、試験科目、試験形式、難易度など、それぞれの試験の違いに応じた試験勉強が必要な点は、留意してください。
程度と受験資格は別物
公務員試験の程度と受験資格は、別物です。程度とは、公務員試験の試験内容の目安を表したもの(試験内容によって採用枠を分ける区分)であり、受験資格を意味するものではありません。
例えば、大卒程度の公務員試験には、受験資格を大卒に限る試験がある一方、大卒以外の方の受験を認める試験があります。また、高卒程度の公務員試験の中にも、高卒に限る試験がある一方で、高卒以外の方でも受験できる試験があります。
公務員志望の方は、志望先・併願先の受験案内(募集要項)などを確認して、自分がどの程度で試験勉強を進めるべきか、しっかり判断しましょう。
大卒程度の参考書で高卒程度の受験勉強して良いか?
公務員試験では、高卒程度の公務員試験だけを受験する場合は、大卒程度の参考書を使うのは、負担が大きすぎますし、やり過ぎです。この場合は、高卒程度の参考書で十分です。
その一方、大卒程度の公務員試験だけを受験する場合は、大卒程度の参考書を使いましょう。この場合、高卒程度の参考書では、通用しないと思います。
最も問題なのは、大卒・高卒の公務員試験を併願する場合です。これについては、公務員試験:大卒程度の参考書で高卒程度の受験勉強してよいかで取り上げています。
公務員試験の「区分」とは
公務員試験では、採用試験の内容と、採用後の職務内容ごとに、採用枠を区分(試験区分、職種)に分けて実施することが一般的です。
公務員の区分をおおまかに分類すると、行政系・事務系(一般事務系)、理系(技術系)、福祉系・心理系(人間科学系)、その他の専門職や資格免許職などが挙げられます。
行政系・事務系区分は、行政、事務、一般行政、一般事務、法律、経済、国際などの名称で、幅広く事務をつかさどる区分だといえます。
理系(技術系)区分は、土木、建築、電気、電子、情報(デジタル)、物理、化学、農業、農業土木、造園、林業、水産などの区分に分かれ、それぞれの専門的な観点から、公務に関わる区分といえます。
福祉系・心理系は、福祉、心理、人間科学などの名称で、福祉職や心理職を採用する区分です。
このほか、国家専門職(国税専門官や財務専門官など)、警察官、消防官など、専門性の高い職種、および、教員採用試験や保育士採用試験など、資格や免許を要する職種(資格免許職)は、それぞれの職種別に採用試験が行われます。
公務員試験の区分は、試験によって名称が異なります。また、全ての区分で採用試験が行われるわけではなく、年度によっては採用の無い区分もあります。
ご自身がどの区分で受験すべきか、および、その区分の実施状況や試験内容について、志望先の公式サイトや受験案内(募集要項)などで、早いうちからこまめにチェックしましょう。