児童自立支援施設とは

児童自立支援施設とは、非行行為(犯罪、触法、不良または虞犯)や、そのおそれがある児童、または、家庭環境(被虐待など)などの理由で、生活指導を必要とする児童を入所または通所させ、適切な指導を通じて自立を支援する施設です。

実際の入所は、児童相談所の(入所)措置という決定による場合がほとんどです。その一方、家庭裁判所の決定に基づき、児童自立支援施設に入所するケースも、少なくはありません。

児童自立支援施設はどんな所?

児童自立支援施設では、児童1人1人に対して、個別の自立支援計画を策定します。小規模な集団生活の中で、学習・生活・職業指導、清掃、園芸、農業などの集団作業、クラブ活動、スポーツ、施設内の行事などを通じた、児童の自立支援を行います。

また、本人への支援のほか、家庭環境の調整や、親子関係の再構築などを図ります。また、関係機関との連絡・調整や、退所後を見据えた進路相談も、重要な仕事です。退所後の児童に対しても、必要な場合は、相談に応じたり、援助を行います。

児童自立支援施設は、男女共用の施設もあれば、男女どちらかを受け入れる施設もあります。どちらにせよ、児童の生活スペース(居室)は、男女で分けられています。

一般的な施設内の環境としては、寝起きをする生活の場である寮舎のほか、学校(校舎)、運動場、体育館、農場、厨房などが備わっています。

また、多くの場合、児童自立支援施設は、出ようと思えば外に出ることができる施設(開放施設)であり、原則として施錠された部屋に入れられることはなく、夏休みや正月などの時期には、親元に一時帰宅することもできます。

どんな児童が入所するのか

児童自立支援施設の児童は、小学校高学年から中学生が中心です。18歳まで入所が可能ですが、施設内の指導は義務教育相当です。このため、義務教育終了時が、入所期限とする施設も多いです。

退所する方の6割は家庭に戻り、高校に入学したり、就職しています。児童養護施設に入所先を変更する例もあります。その一方、敷地外の学校(高校や専門学校など)への通学を認める施設がありますし、そうした例が増えています。

従来から、児童自立支援施設では、暴力行為、飲酒、万引き、バイクの2人乗りなど、補導を繰り返す児童が、多くみられました。これに対し、かつては、児童自立支援施設では、愛情を持って接しつつ、厳格な規律と厳しい指導のイメージが強かったように感じます。

その一方、現在の入所児童は、非行行為とは限らず、かなりの割合の子供が、両親の離婚や、虐待を受けた(被虐待)経験があります。心の問題を抱えた児童も多く、いまの施設は、児童に寄り添う「共生共育」のもと、厳しくも温かい「育ち直し」という性格が強くなっているといえます。

児童自立支援施設の職員

児童自立支援施設では、施設長、児童自立支援専門員、児童生活支援員、教員、栄養士、調理員、医師(または嘱託医)、職業指導員、事務職員などが勤務します。

多くの施設では、男女一組の児童自立支援専門員と児童生活支援員が、寮長・寮母として、児童と寝食を共にして、24時間の住み込み勤務を行います。その一方、複数の職員が寝泊り勤務を交代して行う交代制が、多くの施設で、採用されるようになっています。

児童自立支援専門員と児童生活支援員は、児童自立支援施設においてさまざまな指導や自立支援にあたる中心的な職員です。詳しい職務内容や任用要件、両者の違いについては、児童自立支援専門員・児童生活支援員で説明していますので、参考になさってください。

また、心理療法(カウンセリングなど)が必要な児童が10人以上認められる場合は、心理療法担当職員を配置することができます。

児童自立支援施設では、虐待などで心に傷を負った子どもや、精神科への通院歴がある児童も少なくないため、心理職や医療職が配属され、メンタルを中心にした医療的ケアを備えた施設も、数多くあります。

旧・教護院について

かつては、児童自立支援施設、児童自立支援専門員、児童生活支援員は、それぞれ、「教護院」「教護」「教母」と呼ばれました。その後、児童福祉法の1997年改正(1998年施行)により、名称の変更と同時に、児童生活支援員に定められた性別要件も撤廃されています。

それとともに、施設内に、近隣の小・中学校の分校が併設され、教員が呼ばれて、学習指導要領を準用する形で、義務教育に相当する、基礎学力中心の学習指導・学科指導が行われています。

児童自立支援施設の勤務形態・支援体制

児童自立支援施設では、「小舎夫婦制」という、実夫婦とその家族が施設に住み込み、夫婦が職員として支援を行う形態が採用されてきました。

小舎夫婦制は、家庭的な雰囲気で、一貫した変わらぬ支援というメリットがある一方、夫婦の負担が大きかったり、「我が寮」意識による恣意的な運営や、施設の閉鎖性といった懸念も指摘されています。

近年は、夫婦の人材確保が困難という事情もあり、寮長・寮母は維持しつつ、小舎夫婦制だけで運営している施設は、そう多くありません。

現在では、小舎夫婦制、交代制、並立制、通勤制などを併用し、何人かの職員で負担を分け合い、多角的な視点による支援という利点を生かした、複数の勤務形態・支援体制を採用する施設が、一般的になりつつあるといえます。

児童自立支援施設と少年院の違い

児童自立支援施設と少年院は、どちらも非行行為の少年を対象に、今までとは異なる環境の中で、教育を受ける施設ですが、明かな違いが見られます。

多くの場合、児童自立支援施設は、小学校高学年から中学生の児童が入所しています。その一方、高校生以上では、児童相談所の措置により入所する子が多く、家裁の決定による児童自立支援施設への送致は、稀なケースです。

児童自立支援施設は、非行少年に限らず、家庭環境や心の問題を抱えた児童を受け入れます。家庭的で落ち着いた環境の中で、健全な成長と自立を促し、厳しくも温かい、教育的な指導に力を入れた施設といえます。

その一方、重い犯罪や、非行の度合いが深刻な場合、児童自立支援施設ではなく、少年院への送致が一般的です。少年院は、非行行為に対する矯正施設であり、勝手な行動や外出は許されず、一定の規律と教育のもとに、規則正しい生活を送ります。

児童自立支援施設で働くには?

児童自立支援施設で働くには、国公立の施設の場合は、施設の運営主体(国や各自治体)ごとに、採用試験を実施しています。その自治体の福祉職という形もあれば、児童自立支援専門員や児童生活支援員など、具体的な職種ごとに採用枠を設けている所もあります。

児童自立支援施設の職員において、中心となるのは、児童自立支援専門員や児童生活支援員です。どちらの場合も、施設で働くには、児童自立支援専門員・児童生活支援員が参考になるため、お読みになることをおすすめします。

児童自立支援施設は、国、都道府県、政令指定都市(政令市)が設置を認められた、児童福祉法に基づく、児童福祉施設です。国立のほか、全ての都道府県と一部の政令市が設置しています。一部の都道府県は、複数の施設を設置しています。
なお、児童自立支援施設には、私立の施設もあります。