SPIとは「Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)」の略で、リクルートマネジメントソリューションズが開発・提供している、個人の性格と能力を測定する適性検査です。
SPIは、バージョンアップを重ねてきており、現在は、「SPI3」が利用されています。
SPIは、民間企業の入社試験において、幅広く利用されています。この検査を採用する企業数に関しては、2020年代には、1万社を超えています。
もともとは、民間の採用活動で導入が広まったSPIですが、近年は公務員試験においても、導入する動きが増えています。
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SPIの実施形式
SPIの実施形式は、大きく分けて、以下の4つがあります。
- ペーパーテスティング(ペーパーテスト):
- 採用側が用意した会場で、紙媒体の試験(マークシート形式)を受ける。
- テストセンター
- リクルートマネジメントソリューションズが用意する、専用の会場(オンライン会場の場合もある)で、パソコンを使う。
- WEBテスティング
- 自宅や学校のパソコンなどを使う。
- CBT(インハウスCBT)
- 採用側の用意した会場で、設置されたパソコンで受ける。
- CBT形式で実施する企業は少なく、主流ではありません。
なお、WEBテスティングは、自宅や学校で受けるため、不正防止のため、その後の選考過程で、再度確認テストを実施するケースが多いです。
上記の通り、SPIは、紙媒体によるマークシート形式の試験と、パソコンを用いる試験に分かれます。パソコン(PC)で受ける場合は、以下のスキルが要求される点に、注意が必要です。
- SPIをPCで受ける場合は、基本的なパソコンの操作に慣れておくことが必要です。
- SPIをPCで受ける場合は、1問ごとに回答時間の制限があります。問題を解くスピードは、ペーパーテスト以上に求められます。
公務員試験に出るSPIとは?
SPIは、知的能力を測る「能力検査」と、考え方や性格を調べる「性格検査」の2種類で構成されます。
能力検査とは
能力検査は、言語分野(国語系の問題)と非言語分野(算数・数学系や論理的思考力を問う問題)、英語検査、構造的把握力検査に分かれます。
言語分野と非言語分野は、SPIでは必ず課されます。この2分野、あるいは、2分野+英語検査を、「基礎能力検査」と言います。英語検査は一部の試験で課されますが、構造的把握力検査を課す試験は多くありません。
このため、能力検査自体を、基礎能力検査と言うことがあります。
実際の公務員試験では、受験先によって、SPIの検査内容・試験範囲が変わってきます。それぞれの志望先の受験案内(募集要項)で、しっかり確認しましょう。
言語分野とは
「言語分野」では、大きく分けて次の3つが問われます。
- 語句関連(二語関係など)
- 文章整序(文章の並び替え)
- 長文読解
このうち、語句関連の知識では、同意語・類義語、反意語・反対語、二語関係(包含関係など)、語句の意味・用法、熟語、ことわざ・慣用句などが出題されます。
言語系は、ざっくりいうと、「言葉」(語彙)の問題と、「読解力」の問題が出ます。非言語系に比べて、問われる範囲が狭く、勉強しやすい分野です。
非言語分野とは
「非言語分野」は次の2つが問われます。
- 中学~高校レベルの数学の問題
- 論理的思考力の問題
中高レベルの数学では、比・割合、損益算、濃度、速さ(速度算)、通過算、料金の割引、代金の精算、仕事算、整数、集合・ベン図、場合の数、確率、2次関数、グラフと方程式、図形、順列・組み合わせなどが出ます。
ほとんどの問題は、中学レベルの文章題が中心で、高校レベルは出題が少なく、出たとしても、基本問題が中心で、特に難しい難問はありません。
論理的思考力の問題では、命題、推論、位置関係、集合、資料の読み取りなどが出題されます。こちらは、中には手間取る問題も出てきます。
英語検査とは
英語検査は、ペーパーテストやテストセンターでは実施するところが多いですが、WEBテストやCBTでは実施されません。
「英語」では、大きく分けて次の3つが問われます。
- 語句関連の知識(同意語・反意語、空欄補充、英英辞典)
- 空欄補充
- 長文読解
SPIの英語検査はENGと呼ばれ、民間企業の採用試験では、外資系企業、総合商社・メーカーなど、ビジネスで英語を使用する一部の企業で実施されます。難易度的には、高校レベルといえます。
SPIの英語検査も、言葉(語彙)の問題と、読解力の問題に分かれます。ただし、英語の語彙問題は、同意語・反意語、空欄補充、英英辞典など、変わった出題形式が多く、それぞれに応じた対策が必要です。
公務員試験のSPIでは、英語検査を課さない試験も多いです。志望先の受験案内(募集要項)で試験範囲に含まれてない場合は、対策する必要はありません。
その一方、SPIで英語問題が課される場合は、独特の出題形式に慣れるためにも、英語が特に得意科目でもない限り、一通り勉強しておくことを、おすすめします。
【参考】構造的把握力検査
構造的把握力検査は、例えば、選択肢として提示された複数の文章や会話の要点から、共通性や関連性を導く問題が課されます。複雑な言い回しから、文章構造を整理・分類する能力を要します。
構造的把握力検査は、テストセンターのみで実施される検査です。
構造的把握力検査は、SPIのオプション検査であり、コンサルティング業界、総合商社、広告業界、デベロッパー系不動産など、一部の企業で導入されています。
構造的把握力検査は、公務員試験のSPIでは、受験案内(募集要項)の試験範囲で明記されない限り、特に対策する必要はありません。公務員試験では、ほとんどの場合、課されることの無い検査です。
性格検査とは
性格検査は、個人の特性を「職務適応性」「組織適応性」「性格特徴」などの項目に分けて、受験者の人物像、人との接し方、仕事への取り組み方、目標の持ち方、合っている仕事や組織・職場などを測るものです。
「性格検査」は、日常行動や物事に対する考え方について質問をされ、自分の考えに近いものを回答します。変に裏読みせず、自分の思うとおりに、素直に回答すれば問題の無い検査です。
SPIの試験時間と問題数は?
SPIは、実施形式によって試験時間や問題数が変わります。
ペーパーテストでは、基礎能力検査が70分で、このうち非言語が40分/30問、言語が30分/40問です。性格検査は、30~40分で約300問です。英語検査を課す場合は、30分/約40問という場合が多くみられます。
PCによる実施形式(Webテストやテストセンターなど)では、基礎能力検査は非言語系・言語系合わせて35分、性格検査は30分、英語検査が課されれば20~30分という場合が多くみられます。
また、PCによる実施形式では、問題数が受験者によって違います。1問ごとに制限時間があり、どんどん進めず、解けなかった場合でも、自動的に次の問題に進みます。また、正答率が高いほど、問題の難易度が上がります。
SPIを導入している公務員試験では、受験先ごとに、実施形式、試験時間、問題数などが異なる場合もあります。志望先の受験案内(募集要項)などで、これらの点をしっかり確認しましょう。
SPIは実施形式ごとに解答形式も異なる
SPIは、実施形式によって、解答形式も異なります。
ペーパーテストでは、検査ごとに、試験時間が区切られています。例えば、先に言語検査が実施され、言語検査の試験時間が終了した場合、次の検査(非言語など)の試験時間中に、言語問題に戻って解くことはできません。
ただし、それぞれの検査中なら、順番に解答する必要はありません。このため、一通り全ての問題をザっと見て、簡単そうな問題から解くことができます。
その一方、テストセンターでは、1画面に1問だけ表示され、次に進むと後戻りができません。また、1問ごとに制限時間があり、解けなければ、自動的に次の問題に進みます。
テストセンターでは、1問あたり平均で約1分です。SPIは、問題の難易度は公務員試験より易しいですが、問題を解く時間はかなり少なく、どんどん進めるために、「早く解く」スキルが最重要になってきます。
ここまで、SPIとは何なのか?について説明しました。公務員試験とSPIの試験内容・共通点・違いでは、公務員試験とSPIを比較して、どこが同じでどこが違うのかについて、詳しく説明しています。