今回は、公務員試験とSPIの試験内容を取り上げ、両者の共通点と違いを比較します。
なお、今回の記事では、公務員試験とSPIに関して、主に以下の検査(試験)を想定します。
- 公務員試験に関しては、教養試験(択一式)
- SPIに関しては、言語分野、非言語分野、性格検査の3つの検査(試験)
(そもそもSPIとは何か?知りたい方は、公務員試験のSPIとは?を参考になさってください)
この記事(ページ)の目次です。
公務員試験の試験内容(教養試験)
公務員試験には、教養試験(択一式。基礎能力試験ともいいます)、専門試験(択一式)、専門試験(記述式)、論文(作文)試験などがありますが、SPIに最も近いのは、教養試験です。
教養試験は、択一式で課されることが一般的で、教養択一ともいわれます。教養択一は、知能分野(一般知能)と知識分野(一般知識)に分かれ、それぞれ以下の科目が課されます。
- 知能分野(一般知能)
- 数的推理
- 判断推理
- 文章理解(現代文、英文、古文)
- 資料解釈
- 知識分野(一般知識)
- 社会科学(政治、社会、法律、経済、時事)
- 人文科学(日本史、世界史、地理、思想・倫理、文学・芸術)
- 自然科学(物理、化学、生物、地学、数学)
なお、知能分野のうち、数的推理、判断推理、資料解釈をまとめて、「数的処理」と呼ぶことがあります。数的処理では、場合の数、確率、速さ、図形などの算数・数学の問題や、論理的思考力を問う問題が課されます。
教養試験は、職種(区分)を問わず、共通の試験内容が課されることが一般的です。その一方、公務員試験では、職種ごとに異なる試験内容を課す、専門試験もあります。
教養試験はほとんどの公務員試験で課されますが、専門試験は課されない試験も多いです。教養・専門それぞれ十数科目課されることが一般的で、両方課される試験では、30科目前後を勉強する必要があります。
SPIの試験内容
SPIは、基礎能力検査(言語分野、非言語分野)、英語検査、構造的把握力検査に分かれる「能力検査」と、考え方や性格を調べる「性格検査」という、2種類の検査に分かれます。
ただし、公務員試験のSPIでは、能力検査において、言語分野と非言語分野だけを課す試験が多いです。
その一方、性格検査は、ほとんどの公務員試験で課されます。一般的な公務員試験のSPIは、言語、非言語、性格検査を課すものといえます。
(民間企業のSPIにおいても、英語検査や構造的把握力検査を課すのは、特定の業界や一部の企業にとどまります。一般的に、SPIという場合は、言語・非言語・性格検査だといえます)
公務員試験で課されるSPIの試験内容は、以下の通りです。
- 言語分野
- ※国語系の問題
- 語句関連…同意語・類義語、反意語・反対語、二語関係(包含関係など)、語句の意味・用法、熟語、ことわざ・慣用句、文法など
- 文章整序…文章の並べ替え
- 長文読解
- 非言語分野
- ※算数・数学系や論理的思考力を問う問題
- 中高レベルの数学の問題…比・割合、損益算、濃度、速さ(速度算)、通過算、料金の割引、代金の精算、仕事算、整数、集合・ベン図、場合の数、確率、2次関数、グラフと方程式、図形、順列・組み合わせなど
- 論理的思考力の問題…命題、推論、位置関係、集合、資料の読み取りなど
- 性格検査
- 受験者の性格、人との接し方、仕事への取り組み方、適応しやすい職場や仕事などを測る。
- 職務適応性、組織適応性、性格特徴などの検査を行う。
公務員試験とSPIの共通点
公務員試験(教養試験)とSPIで共通する点は、以下の通りです。
- 文章理解の現代文は、SPIの言語分野の読解力を問う問題と重なります。
- 数的処理(数的推理、判断推理、資料解釈)は、SPIの非言語分野と重なる部分が数多くあります。
公務員試験とSPIの試験範囲は、重なる部分が多く、併願できないことはありません。ただし、公務員試験とSPIでは、違う部分=重ならない部分もあります。
公務員試験とSPIの違い
公務員試験とSPIの違いを比較した場合、次の点が言えると思います。
- 「公務員試験しか出ない範囲」「SPIしか出ない範囲」が、それぞれ存在します。
- 科目の数でいうと、公務員試験のほうが勉強すべき科目が多いです。
- 例えば国語の問題、数学の問題、、、など、各科目における出題範囲は、SPIのほうが広く薄く出ているといえます。
- 難易度は、明らかに公務員試験のほうが上です。
- 1問あたりの試験時間(解答時間)は、SPIのほうが明らかに短く、より「早く」解くことが重要です。
- SPIの性格検査は、公務員試験(教養試験、専門試験)では、出ることが無い試験です。
公務員試験の文章理解は、現代文と英文が中心で、ほぼ読解力を問われる問題ばかりといえます。これに対して、SPIの言語分野は、国語の問題であり、読解力を問う問題だけでなく、言葉(語彙力)を問う問題も出ます。
具体的には、SPIでは、同意語、反意語、二語関係(包含関係など)、語句の意味、ことわざ・慣用句など、国語の常識や語句の知識を問う問題がありますが、公務員試験の文章理解では、まず出ません。
公務員試験の数的処理(数的推理、判断推理、資料解釈)は、SPIの非言語分野と重なる部分が多いです。
ただし、SPIでは、代金の支払い、グラフの領域、物の流れ、比率など、公務員試験では全く出ない項目があります。特にグラフの領域は、1次関数、2次関数が試験範囲に含まれます。
公務員試験とSPIの難易度
公務員試験の難易度は、採用試験や職種によりますが、中高の教科書レベルと同等かそれ以上~大学共通テスト以下というレベルだと思います。
SPIの難易度は、公務員試験より明らかに易しいです。数学でも国語でも、中高の教科書レベルの問題だといえます。
1問あたりの試験時間
一般的な公務員試験(択一式)なら、教養試験・専門試験それぞれ、2~3時間で40~50問が標準的で、1問あたり2~3分だと思います。
SPI(ペーパーテスト形式)なら、非言語が40分/30問、言語が30分/40問で、1問あたり1分程度の解答時間です。なお、性格検査は、30~40分で約300問です。
SPIは、公務員試験に比べて明らかに易しい問題ですが、1問あたりの解答時間がとても短く、「早く」「正確に」解く練習が必要といえます。
ここまで、一般的な公務員試験とSPIの試験範囲や共通点・違いが分かったところで、公務員試験のSPI勉強法では、公務員試験におけるSPIの勉強法を取り上げています。