裁判所事務官(大卒)は平成27年度から試験制度が改正されており、裁判所事務官・総合職の採用庁決定方法の変更、試験名称の変更などが行われています。
このうち、試験の名称は、以下のように旧名称→新名称となりました。試験の傾向と対策や過去問演習など、旧名称を確認して進める際の参考にしてください。
- 裁判所職員総合職(法律・経済区分)→裁判所職員総合職(裁判所事務官)
- 裁判所職員一般職大卒→裁判所職員一般職(裁判所事務官、大卒程度)
- 裁判所職員総合職(人間科学区分)→裁判所職員総合職(家庭裁判所調査官補)
裁判所事務官では、総合職と一般職大卒で重なる試験種目では、共通問題が課されると受験案内で明記されています。
また、裁判所事務官総合職の受験申し込み時に「特例」を希望すると、総合職で不合格となった場合に、一般職大卒の受験者としての取扱いを受けることができます。特例の有無が合否に影響することはありません。
特例受験の方は総合職の試験に加え、一般職大卒の試験種目である論文試験(小論文)を受験することが必要です。
なお、2次試験のうち、専門記述試験の憲法と論文試験(小論文)は、1次試験日に実施されます。
裁判所事務官は行政権から独立した国家公務員(国家特別職)ですが、司法に関する事務の権限を持った事務系公務員といえます。
なお、裁判所事務官の総合職大卒と一般職大卒について、受験案内でそれぞれの試験種目の配点比率が明記されます。必ず確認しましょう。
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裁判所事務官(大卒)の試験対策
裁事の基礎能力試験は地上・国一レベルの標準的な問題が多いのですが、1割程度は国総並みの難問が含まれる傾向だといえます。近年は難化傾向も見られており、地上・国一の問題を中心にしつつ、国総の標準的な問題まで見据えた試験勉強をおすすめします。
大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。
専門試験(択一式)は必須科目の憲法、民法は地上・国一レベルの問題が主流ですが、国総レベルの難問も2割程度は混じっています。
選択科目の刑法又は経済理論は、比較的高度な難問の割合が多いといえます。国総レベルの問題はもちろん、経済理論は演習書で経済政策や経済事情にも取り組みましょう。
使用教材は大卒公務員向けの一般的な教材で良いのですが、受験生のレベルや合格ラインを考えると、地方上級・国家一般職大卒の問題を中心にしつつ、国家総合職の問題にもしっかり取り組むことをおすすめします。
ここまで、裁判所事務官(大卒)の択一式試験では、国家総合職~地上/国一レベルの大卒公務員の試験勉強が必要といえます。
専門記述では憲法のみ総合職・一般職共通問題ということもあって、「労働基本権について論ぜよ。」(平成25年度)「国の唯一の立法機関」について論ぜよ」(平成26年度)「財産権の保障について論ぜよ。」(平成27年度)という、非常に基本的な一行問題・説明問題が続いています。
その一方、民法、刑法は非常に高度で難易度の高い事例問題が出ます。国家総合職レベルあるいは司法試験に近い試験勉強が必要です。
裁事では人物試験(面接試験)もあります。特に筆記試験では足りないという方は、面接試験、官庁訪問の参考書(大卒程度公務員)を読み込んだり、参考書を利用してシュミレーションを実践しましょう。
過去問+予想問題集(TAC)
大手受験予備校TACの「TAC公務員講座 過去問+予想問題集」シリーズは、裁判所(一般職大卒)も出ています。
本シリーズは、最低でも過去問3年分とTAC予想問題で構成され、年度ごとに再現された取り外し式です。このため、試験勉強を一通りこなした直前期に、時間を測って本試験のように取り組むことができる問題集です。
「TAC公務員講座 過去問+予想問題集」シリーズは、試験本番の予行演習として、どこから優先的に取り組み、何を捨てるかといった、到達度のチェックや時間配分の確認に最適な教材といえます。