今回は国家総合職レベルの専門記述対策(裁事、衆参事務局、外専、防専も該当します)のうち、憲法を取り上げます。
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憲法の参考書としては、以下のものをおすすめします。1~3が基本書であり、どれか1冊に必ず取り組むことをおすすめします。4は絶対用意して取り組むべき判例集であり、5~7は演習本として要点整理や答案練習におすすめします。
1.憲法の基本書としては「芦部信喜 憲法 岩波書店」(芦部憲法)が圧倒的な定番として知られています。本書は専門書の割には内容に偏りが無く、標準的な記述への配慮がされた良書です。過去問を一巡しながら使ううちに、択一式・記述式どちらにも使える本書の良さがわかると思います。
2.「高橋和之 立憲主義と日本国憲法 有斐閣」は、芦部氏の死去後に「芦部憲法」の補訂を手がけている高橋和之氏自身が著した専門書です。専門家による教科書という意味で芦部憲法と競合していますが、芦部憲法が合わなかった方にはこちらをおすすめできます。
3.伊藤塾の「公務員試験対策1冊で合格シリーズ 憲法 伊藤塾」も、よくまとまった基本書としておすすめできます。芦部憲法ほどオールラウンド的に使える参考書とまではいきませんが、適度にバランス良い内容で、択一対策や基礎~標準的な論点固めには十分なテキストといえます。
4.「憲法判例百選 有斐閣」は、判例集として必ず勉強すべき公務員試験の定番です。例えば、外専の平成26年度試験問題の3題中2題は、宗教法人法の解散命令請求の合憲性と郵便法免責規定訴訟という、本書の1巻目と2巻目に掲載された判例の知識を問うものでした。
5.「憲法の争点 ジュリスト増刊」は網羅性の高い論点集として、憲法に必要な知識の整理をひと通りできる良書です。公務員試験に特化した教材ではありませんが、初めての演習書として最もおすすめできる良書です。
6.「長谷部恭男 Interactive 憲法 有斐閣」および「長谷部恭男 続Interactive憲法 有斐閣
」は、重要論点を解説した演習本的な専門書です。公務員試験にはややオーバーワークな印象も受けますが、学問的な面白さに富んだ本で高度な難問にも対応できます。
7.「憲法学説に聞く ロースクール・憲法講義 日本評論社」は、ロースクール向けの本ですが、外専の試験委員経験がある井上典之氏が関わった演習書です。
これらの演習書は、過去問を見て本試験で出そうにない部分や理解に時間がかかりすぎるような難しい部分は飛ばして読んでもかまいませんし、論述問題に必要な論理的展開の練習になる演習書としておすすめします。