今回は、航空管制官の参考書を取り上げます。航空管制官で課される、基礎能力試験(教養試験)、適性試験、外国語試験(英語)、人物試験(面接試験)の参考書を紹介します。
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基礎能力試験(教養試験)必ず取り組むべき教材
航空管制官の基礎能力試験は、一般的な公務員試験の基礎能力試験(教養試験)です。例年同日に実施される国税専門官、財務専門官、労働基準監督官などと同じ共通問題が課されます。国家一般職大卒・地方上級レベルの標準的な参考書で対応できます。
公務員試験の基礎能力試験(教養試験)は、短期間で十数科目をこなす必要があります。このため、知識や解法をインプットしながら、本格的な過去問演習ができる「過去問集」と呼ばれるメイン用途向けの教材が各社から出ており、まずはこれに取り組むことが定石といえます。
過去問集は学習経験が全く無い科目でも、試験勉強の初めから本試験まで一貫して使えるよう工夫されたメイン教材です。公務員試験において何から着手されたら良いかわからないという方も、まずは過去問集に取り組むことをおすすめします。
スー過去
実務教育出版の「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」は、大卒程度の公務員試験を幅広く想定し、基礎能力試験(教養試験)や法律・行政・経済系の科目ごとに出ている過去問集です。航空管制官の方なら、基礎能力試験(教養試験)のメイン教材としておすすめです。
本書は、問題を解くのに必要な重要事項のインプット部分と、本試験にも対応できるだけの過去問演習が一体となった、「過去問集」と言われるオールラウンド型教材です。全く知識が無い初学者でも、知識を習得しながら本試験まで問題演習をこなすことができます。
基礎能力試験(教養試験)は十数科目が一度に課され、これを短期間でクリアする必要があります。このため、インプットとアウトプットが一体となって項目別に整理された「過去問集」を使うことで、科目別に効率よく試験範囲に取り組むことが定石といえます。
過去問集は各社から優れた教材が出ていますが、どれにするか迷う方には、まずは真っ先にこの「スー過去」がおすすめです。教養科目と法律/行政/経済系の専門科目が合わせて20冊以上出ている科目別教材ですが、航空管制官の方は当然ながら基礎能力試験(教養試験)だけで十分です。
なお、過去問集は、全ての科目を同じシリーズで揃える必要はありません。このスー過去が合わなかった科目は、後述通り他社のものに切り替えても構いません。ただ、まずどれから始めようか?と考えている方には、まずは真っ先に「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」をおすすめします。
「解きまくり」
一方、LEC東京リーガルマインドの「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」も、先ほどの「スー過去」と同じコンセプトで作られた一体型教材(過去問集)としておすすめできます。
本書も「スー過去」と同じように、初学者でもわかりやすい重要事項のインプット部分と、難易度や頻出度別に整理された過去問演習が項目別に一体となり、科目別に出版されているメイン用途の教材(過去問集)です。
こちらの「解きまくり」も、地上、市役所大卒、国一(大卒)はもちろん、航空管制官にも使える標準的な過去問集です。全く初めて学ぶ科目でも本試験まで一貫して使えますし、航空管制官の方は基礎能力試験(教養試験)だけ揃えればよく、専門科目は不要です。
「解きまくり」と「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」を比べると、スー過去のほうが試験範囲の網羅性が高く、収録問題も厳選されており、より無駄が無く、各分野・科目をまんべんなく学べると思います。
その一方、「解きまくり」はインプット部分がより丁寧で、図表やイラストを交え、読みやすく見やすい教材といえます。このため、スー過去では挫折した科目があった場合には、スー過去に代わるメイン教材として、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」に切り替えることが十分おすすめできる良書だといえます。
知能分野(一般知能)の補強用参考書
公務員試験では、メイン教材である過去問集を各科目こなすだけで、合格に必要な実力は十分身につきます。過去問集は全くの初学者でも、試験勉強の初めから本試験まで、知識や解法のインプットと過去問演習のアウトプットを一貫して出来るよう編集されたメイン教材です。
公務員試験では、まずは過去問集(「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」や「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」など)を科目別にこなすだけでも、多くの方は公務員試験に合格しています。ただし、科目によっては参考書を追加して、過去問集だけでは足りない知識や解法の補充を行う場合も出てきます。
公務員試験において、参考書は必ず必要なものではありません。ただし、過去問集だけでは一向に進まないという科目や、過去問の解説を何度読んでも解けないという科目の場合は、参考書を追加してその理解不足の部分を補う必要があります。
文章理解の英単語集
航空管制官の文章理解の場合、他の標準的な大卒程度の公務員試験と同じく、基礎能力試験(教養試験)の英文は、高校の教科書~共通テストレベルが中心です。受験勉強や資格試験(TOEIC、英検など)でしっかりした学習経験のある方であれば、いきなり過去問集から進めても難なく解けると思います。
その一方、過去問集を解いてみて、語彙・速読・文法など英語力に不安を感じた方には、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。
この参考書は、英単語集にしては比較的長めの例文や英文を多数掲載し、単語力に加えて速読力もある程度考慮して身につけることができる優れた参考書といえます。
公務員試験における文章理解の英文は、ボリューム自体は長めですが、文法や構文という面では高度で難解なレベルは要求されず、標準的な語彙力と早く正確に読む速読力さえ身についていれば、さほど難しい英文ではありません。
このため、文章理解の場合も、まずは過去問集(「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」や「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」に取り組むだけでも、十分に合格できる実力を身につける方が多いと思います。ただし、過去問の英文がうまく読み取れないという方は、英単語集を追加して基礎固めを並行することをおすすめします。
もちろん、当然ながら英単語集だけで公務員試験の本試験が解けるだけの実力が身につくわけではありません。参考書はあくまでも足りない部分の補充であり、英単語集を投入する場合でも、最終的には必ず過去問集にしっかり取り組むべきです。
時事対策の参考書
航空管制官では、時事問題が基礎能力試験(教養試験)で例年3問出題されています。また社会科学、人文科学、自然科学の各科目でも、タイムリーな話題にちなんだ出題も見られます。
公務員試験の時事対策に特化した参考書としては、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」が真っ先におすすめできます。地上、市役所大卒、国一など、大卒程度の公務員試験では幅広く読まれている定番中の定番です。
本書は、政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題を章ごとに分けて幅広くカバーしており、毎年最新版に改訂される参考書です。特に、公務員受験生が敬遠しがちな経済や財政に関するデータも本書で整理することができます。
航空管制官では時事対策が軽視されがちですが、全く取り組まないということは避けるべきだと思います。この「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」は、航空管制官はもちろん、公務員受験生ならどなたにもおすすめできるロングセラーの定番参考書といえます。
適性試験の参考書(過去問集)
適性試験の参考書ですが、とにかく過去問に当たることが重要です。理想的には、5~10年分出来れば良いかなと思います。まず、適性試験を独学でこなす場合のポイントを取り上げた上で、過去問を入手する2つの方法(人事院、市販の教材)を順番に説明します。
まず、航空管制官の適性試験は、1部(択一式)では記憶と空間関係が課されます。このうち記憶は、文字列・数字の簡易な暗記や語呂合わせをフルに活用することで、要領よく解くことができる試験です。
また、空間関係も出題パターンが一定の範囲に収まっており、こちらも過去問演習を積み重ねることで確実に点が取れる試験です。イカロスなど大手受験予備校の調査では、航空管制官に合格した方の大半は、適性試験1部で9割~満点という結果が出ています。
一方、適性試験2部は実践的なシュミレーションです。誘導コースから外れても慌てる必要はなく、航空機2機を最後まで誘導することに集中し、航空機の操縦者役の復唱や試験官の指示は、必ず確実に聞き取ることがポイントです。
航空管制官の適性試験は、勉強法自体は、1部試験の実際の解き方や暗記・語呂合わせのコツ、2部試験の体験談など、実際の受験者の情報が非常に頼りになります。ネットで検索して、沢山出てくるやり方を参考になさってください。
その一方、その参考書としては、数多くの過去問にあたって「習うより慣れろ」の解く勘を身につけることにつきます。ここで、人事院に請求する場合と、市販の教材の場合の、2つの過去問の入手方法を説明しますので、ご自分にあった方法で取り組んでください。
人事院への過去問の請求
航空管制官の過去問は、人事院に請求する方法があります。ただしこれは、受験者へのサービスというより国の情報公開制度の一環として行われています。このため、問題と正答番号だけで、解法など解説が付いているわけではありません。
過去問の請求は有料で、CD-Rまたは紙が選べますが、紙の場合は手数料が格段に高くなります。また人事院は、国家公務員試験の過去問の公開対象を平成10年度の分以降としていますが、実際の保存状況は航空管制官など試験によって異なります。
また、過去問の請求から入手まで、数週間~1ヶ月はかかります。請求時期によってはもっとかかった例もあり、気づいたらその時に請求することをおすすめします。請求は人事院の公式サイトから申し込めます。
このように、人事院の過去問請求は、制度上は何年分でも届きますが、場合によって高い費用がかかることや、いつごろ届くのかわからない点で、時間的に余裕が無い受験生にはあまりすすめられません。確実な入手を考慮すれば、後述の市販教材の購入をおすすめします。
航空管制官 採用試験問題集
航空管制官の過去問を確実に入手する方法としては、「航空管制官 採用試験問題集 イカロス出版」をおすすめします。2年おき(奇数年)の3月に販売され、直近2年分の過去問を収録した問題集です。もちろん2年分では全然足りませんし、バックナンバーも含めてなるべく多くの過去問に取り組むことをおすすめします。
航空管制官の適性試験対策に使える参考書は、市販の教材では本書だけといえます。以前はアビエィション社から良い教材が出ていたのですが、この会社は2015年に営業終了を発表しています。
さて、このイカロス出版の問題集ですが、詳しい解説は無く非常に高額です。しかし市販では唯一、過去問を入手できる貴重な必須教材といえますし、航空管制官で攻略すべき内容を把握する初めての1冊としておすすめします。
「航空管制官 採用試験問題集 イカロス出版」は、適性試験に限らず、航空管制官の過去問を確実に入手できる方法としては最善の選択肢だと思います。特に適性試験に関しては、早く確実に解けるコツやシュミレーション対策に関して合格者から有益な情報がネット上にたくさんあるため、これを勉強法に活用しましょう。
外国語試験(英語試験)の参考書
やはり外国語試験(英語試験)の場合も、まずは「航空管制官 採用試験問題集 イカロス出版」に取り組んで、自分が出来ることや足りないことを検討し、それに沿って各自に見合った参考書の追加が望ましいといえます。
航空管制官の外国語試験(英語試験)で要求されるレベルとしては、英検準1級やTOEIC700点台といったレベルだと思います。国立大学の2次試験の、最難関まで行かなくても上位大学に近い内容(偏差値60台後半)だと思います。
航空管制官の外国語試験は、ヒアリング、筆記試験、2次試験では面接形式でも課されます。このうち筆記試験は、長文と文法・発音が5割づつ出ます。特に長文は、良質な英文をたくさん読み、語彙や英語特有の言い回しに慣れることも必要です。
特に語彙力が不安な方は、先ほど文章理解のところで紹介した「速読速聴・英単語 Core 1900」がおすすめできます。本書は、英単語集にしてはやや長めの英文を豊富に掲載し、語彙力と速読の練習が両立できます。
また、英文法の問題は、大学受験や他の公務員試験では見かけないような、とても細かい文法・語法を問う問題も見られます。特に大学受験の知識が抜けている方は、問題集は「UPGRADE英文法・語法問題文法・語法・語い・熟語・会話・発音/アクセント」に切り替える、で良いので、英語の基礎固めを学び直すことをおすすめします。
もちろん、特にどれがおすすめ、ということではなく、まずは航空管制官の過去問を解いてみて、そこから浮き上がった課題に沿って、単語、文法、語法、構文、長文読解など、各自で選んだ参考書や問題集に取り組むことをおすすめします。
また、「航空管制官 採用試験問題集 イカロス出版」最新版は、英語面接(英会話)とヒアリングの過去問も収録され、ヒアリングはCDも付いているため、受験生は必ず入手して取り組むべき貴重な過去問題集といえます。やはり過去問は5~10年分には取り組み、試験勉強の中心にすることがおすすめです。
面接試験の参考書
航空管制官の面接試験は個別面接です。航空管制官の面接試験に特化した参考書はありませんが、地上・国一・市役所大卒などを想定した参考書のなかでも、特に以下の2冊はおすすめできます。以下の通り公務員の面接試験を両面からアプローチする上で、できれば両方読むことをおすすめします。
1.「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は、国家総合職や国家一般職の面接試験、官庁訪問、集団討論を想定した面接本です。同じ国家公務員である航空管制官においても、個別面接の部分がおおいに役に立つと思います。
本書は、公務員試験において、採用する側が受験者のどこを見ているのかといった、面接官の立場を説明し、その上で、評価される態度や回答を導くアプローチを解説しています。また、公務員特有のコンピテンシー面接などに触れている点も、おすすめの参考書といえます。
もちろん、面接試験の基本的な準備やマナー、面接カード、実際の面接試験の進め方や極意について、基本から本試験までしっかりカバーしています。「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は航空管制官の個別面接にも使えますし、あらゆる大卒程度の公務員受験生におすすめできる人気の参考書といえます。
2.「面接・官庁訪問の秘伝」は、国家・地方公務員問わず、幅広く対応できる参考書です。TACの人気講師・山下純一氏により、毎年改訂されて最新版が出ています。
本書は、国一、地上、市役所、町村役場、国税、裁判所一般職、国家専門職、国家特別職など、国家総合職を除く大卒程度の公務員試験を対象にした定番参考書です。航空管制官でも大いに参考にできる優れた良書といえます。
こちらの本は、自己分析によって一貫して核となるコアな部分を作ることで、あらゆる質問や場面に対応しようとする手法を解説した良書といえます。志望動機や面接カードの書き方から徹底しており、とても分かりやすく読みやすい、親切な参考書といえます。
また、25問掲載した想定問答集がでも、複数のダメな回答と無難な回答が提示され、著者の指摘がポイントとしてまとめられています。二色刷りで図解やイラストを豊富に交えつつ、自分と向き合う確固たる面接対策が可能な参考書としておすすめです。
もちろん、面接試験の基本的なマナーや心構えから学べます。「面接・官庁訪問の秘伝」は、非常に読みやすい面接対策の人気参考書です。志望動機、自己アピール、面接カードなどの基本から、面接試験のマナー・心構えがしっかり出来る定番本といえます。
教養試験(基礎能力試験)をどうするか
大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。