官庁訪問(国家総合職)の面接カード(訪問カード、ES)

今回は、国家総合職の官庁訪問における面接カードを説明します。官庁訪問の面接カードは、訪問カード、エントリーシート(ES)など、省庁によって、名称が異なります。ここでは、官庁訪問で使われるカード(シート)について、まとめて説明します。

(以下、名称に関しては、「面接カード」で統一します)

面接カードに書く内容と想定問答を徹底検討しよう

面接カードに対して、事前に考えられる記入事項と自分の記述内容を検討し、官庁訪問における面接の想定問答を考える時には、その面接カードから想定される質疑応答も盛り込んで、徹底的に検討して、整理した内容は自作ノートに集約しましょう。

面接カードは、文字が判別しにくいほど無茶に記入する必要はありませんが、記入後も余白が目立つ、スカスカなのも避けるべきです。誰からも見やすく、読みやすい大きさの文字で、適度に余白を残しつつ、分かりやすく中身のある記述にしましょう。

面接カードに書いたことは、「どんな事柄でも質問される」、そして、「どの事柄でも詳しく説明できる」、という所まで、あらかじめ準備しましょう。そのためには、事前に時間をかけて、徹底的に想定した内容を、書き留めて整理しましょう。

官庁訪問の面接カードは、事前に公式サイトからダウンロードして記入した上で持参するのか、任意のもので良いのか、その場で配布されて記入するのかなど、省庁によって異なります。各省庁が発している情報を確認しましょう。

省庁の中には、過年度に配布した面接カードの見本を、公式サイトで公開している所もあります。また、志望省庁が公開していない場合は、過去の受験者のブログや、他に訪問予定の省庁の例を検索して調べ、記入事項や質疑応答の検討に反映させます。

もちろん、自分の訪問年度になって、過年度の例から変更されることもあります。これに備えて、想定される記入事項や面接での質問項目は、考えうる限り、どんどん加えて検討しましょう。

面接カードと面接の言動に一貫性を持たせる

面接カードに書いた内容と、面接での言動は、矛盾が無く、一貫性のあるものでなければなりません。面接カードの内容と、想定問答で話す内容に整合性をもたせる意味でも、それぞれを別々に扱わず、一連の流れとして、事前に徹底的に整理すべきです。

そして、面接カードで書く内容と想定問答は、徹底的に暗唱し、頭に叩き込んで本番に臨みます。もちろん、想定外のこともたくさんあるのが、官庁訪問です。その場合でも、考えてきたこととは矛盾が生じず、一貫性を保つことだけは意識してください。

大事なことは、面接カードに書いたことは、絶対に忘れないことです。そのためにも、事前に自作ノートで面接カードの記入内容を想定し、面接の想定問答と連動させる必要があります。

もしも、面接カードをその場の思いつきで書いてしまうと、書いた内容と面接で話した内容が違っていたり、辻褄が合わないことを突っ込まれ、評価を下げられる可能性があります。

面接カードに書いて良いこと・悪いこと

面接カードの記入内容、および、そこから質問されたときに説明する内容について、それが当該省庁にどう繋がるのか、採用においてどう有利に働くのかを念頭に置いてください。これは、面接の質疑応答を想定する際にも、同じことがいえます。

念の為言いますが、面接カードに書く内容は、政治的なものや、特定の考えに偏ったものは避けるのが無難です。また、自分という人間を知ってもらうために、その省庁に採用してもらえるような、人間性や適性のアピールにつながる事柄を書きましょう。

もちろん、面白くもない話をした所で、評価は高まりません。採用側に、こいつは面白いやつだ、こいつと一緒に仕事をしたい、などと思わせる、良い意味で(採用につながる意味で)適度に(ふざけすぎない程度に)楽しい話を盛り込みましょう。

面接カードの記入事項対策

官庁訪問の面接カード対策では、最低でも、志望動機、自己PR、自己紹介、趣味、特技、資格、性格(長所、短所)、部活やサークル、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は整理すべきです。

志望動機

特に志望動機は、官庁訪問では何度ということなく、徹底的に聞かれますし、深堀りされます。志望動機は、公務員を志望した理由と、訪問予定の省庁を志望した理由のそれぞれについて、こう突っ込まれたらこう答えるというところまで準備しましょう。

ある省庁に対する志望動機に関しても、貴省が行っている、これこれな分野や業務があるからといった、調べれば誰でも分かる事柄は、他の受験者と差が付きません。

そこは、自分が生まれ育った中で、こういう経験をしてきた、こういう環境を見てきた、そこでどういうことを感じ、それに対して、これこれな分野や業務を持つ貴省で取り組みたいと感じて志望したと、「自分にしか描けないこと」を書くべきです。

趣味、特技、活動歴

官庁訪問の採用側は、何も受験者の趣味や特技や活動歴が、読書や映画や旅行やボランティアなどの「それだけ」を知りたいわけではありません。

例えば、趣味の欄に読書なり映画を書くなら、単に「読書」「映画」ではなく、「読書(実際に読んだ本とそこで思ったこと)」「映画(作品名とそこで感じたこと)」をカッコ書きで簡潔に書き添えるのも良いでしょう。

感動的な伝記ものや、有名なスポ根ものでもいいですし、何かしらの感動や共感、人間性が高まったと思わせるような、「コイツは良いやつだ」「コイツと一緒に仕事がしたい」と思わせるような記述を心がけましょう。

少なくとも、学生時代の活動や、部活・スポーツでも、単に「野球」「サッカー」「ボランティア」と書くのでは無く、カッコ書きで(小学何年生から何年間続けた)とか(そこで多くの親友を得た)などを書いておきます。

ただし、これだけでも悪くないのですが、これだけだと、受験者の人物像や適性、あるいは、うちの省庁と何の関係があるのか?ということにもなります。

出来ることなら、その趣味や活動を始めたきっかけやそこで得たこと(学んだこと)あるいは、そこから感じたことが、社会一般や国としての問題意識、および、その省庁や志望動機につなげることができる(論理的に展開できる)と理想的だと思います。

面接カードにどう書くか、1つの考え方として

面接カードに書けることは、留学経験とか国際交流とか福祉・介護関係とか、多岐にわたると思います。とにかく、なんらかの体験があるとします。そこで終わるのではなく、どういうことを感じたというところまで、書いておきます。

ここで、簡潔かつ「その先が」あるような書き方をするのも、1つの方法です。ここを突っ込んでほしいのなら、「突っ込まれやすそうに」書くことです。もちろん、これはあくまでも、1つの考え方です。全ての方におすすめするわけではありません。

ただ、何かの経験や体験があって、何かの問題を感じたことを書き示して、「この問題に触れてるけど、それについて君はどう思うのか?」と、面接官が思わず質問したくなるような、誘発させるくらいの気持ちで書いてみるのも、1つの考え方です。

【参考】学生生活をどう過ごすか

最後に、この記事を読んでいる方の多くは、大学3~4年や既卒者の方が多く、採用試験もまだ先という方は少ないかもしれません。それでも、あえて書かせていただくと、やはり学生時代は、早くから興味・関心のアンテナを張ることをおすすめします。

官庁訪問で面接カードをいざ書こうとすると、それまでの学生生活で何をしてきたか、自分自身がどういう人間であるか、試されることになると思います。特にやってきたことが無いと、記入しようにも記入するネタが無いことに悩むかもしれません。

就活のためと肩を張る必要はありませんが、高校でも大学でも、入学して早いうちから、興味・関心のアンテナを張り、部活でもサークルでもボランティアでも何でも良いので、自分が楽しそうだ、有意義だと思った活動に参加することをおすすめします。

学生のうちに、自分はこれだと思った活動を見出した方は、やはり公務員試験でも強いと思います。その活動から、自分の適性やキャリアへと繋がる関連性を見い出し、自分の志望動機と結び付けられたら、それ自体が十分なアドバンテージとなります。

もちろん、採用する側も、本当に楽しんで夢中で取り組んだのか、それとも、就活のためだけに活動したのかを、見極めます。就活のための実績作りは、案外と簡単に見抜かれます。そこは、自分が本当に面白いと感じる活動に取り組んでください。

面接カードは、自分と志望先の省庁を結びつけ、この人はうちで採用して良さそうだと思わせる絶好のチャンスです。そのチャンスをものに出来るかどうかは、学生生活のスタートから始まっていると言っても、過言では無いと思います。