官庁訪問(国家総合職)の人事面接と原課面接

今回は、国家総合職の官庁訪問のうち、人事面接と原課面接を取り上げます。

人事面接と原課面接とは

人事面接とは、人事課面接、秘書課面接、ブース面接とも言われ、その省庁の採用担当職員との面接を指します。人事面接は、採用担当者が、その人の適性を直接判断する面接といえます。なお、人事面接をほとんど、または、全くやらない省庁も、一部ですが存在します。

原課面接とは、実際の業務中の職員との面接です。業務説明を受けた後、質疑応答を行うパターンが多く見られます。原課面接は、その省庁が抱える業務分野や政策課題を通じて、受験者の適性や意欲を試す面接といえます。

官庁訪問とクール制(国家総合職)で説明した通り、国家総合職の官庁訪問は「拘束」がありますし、1日に訪問できる省庁は1つだけです。官庁訪問とは、丸1日、同じ省庁で、人事面接と原課面接を、繰り返し、何回も受け続けるものだといえます。

官庁訪問では、1日のうち最初の面接と最後の面接を、それぞれ入口面接と出口面接といいます(詳しくは、官庁訪問(国家総合職)の入口面接と出口面接で説明しています)。どちらも、採用担当者との面接(人事面接)という場合が一般的です。

その後、多くの方は、原課面接と人事面接を繰り返します。ただし、受験者全員がそうだとは限りません。受験者の中には、原課面接を繰り返し受ける人もいれば、人事面接を多く受けたり、時間もかかったという方もおられます。

官庁訪問の面接時間・形式・場所

官庁訪問で1回あたりの面接時間は、人事面接は15~20分程度、原課面接は30~60分程度で、原課面接のほうが長くなる傾向があります。ただし、これはあくまでも一般論で、中には、あっけなく終わる面接もあれば、相当長い時間をかけて試される面接もあります。

面接の形式は、オーソドックスな個別面接のほか、集団面接、集団討論、座談会・懇談会のような形式だったり、面接というより面談のようなものもあります。なお、原課面接では、業務説明と質疑応答という場合が多く見られます。

官庁訪問の面接場所も、いかにも面接会場らしい場合もあれば、会議室とか、普段は使ってなさそうなスペースとか、職員が仕事中の職場というのも多いです。どんな場所や雰囲気でも、その場に飲み込まれないように、平常心で臨めば大丈夫です。

人事面接と原課面接の違いはあるのか

人事面接は、一般的な採用試験の面接試験に近い形式が多く、原課面接では、業務説明を受けた後、質疑応答を行うパターンが多いです。しかし、これもあくまで一般論です。形式による区別も、ほとんど無いと言えます。

官庁訪問は、面接の回数や形式・内容など、受験者によって違うことが一般的です。受験者の側も、面接によっては、人事面接と原課面接のどっちなのか、分からないときもあります。しかし、どっちの面接かということは、気にしなくても大丈夫です。

そもそも人事面接と原課面接で、言動や振る舞いを変える必要は全くありません。むしろ、どんな面接でも、自分の軸を持った一貫性のある言動と、熱意は示すがムキにならず、冷静かつ謙虚に振る舞うことが重要です。

原課面接について

建前上は、原課面接は業務説明の一環だとか、採用の評価に影響しないと言われます。しかし、原課面接は人事面接より時間が長いことが多く、ときには、原課の面接担当者が元は人事課の職員だったということもあります。

原課面接の内容や印象は、原課から人事課に連絡・報告されています。また、そもそも人事面接をあまりやらない省庁もあります。これらの点から考えて、原課面接は、採用に影響すると考えるべきです。原課面接を甘く見ると、採用の望みが低下します。

原課面接の心構え

原課面接は、現役職員との面接です。「この人をうちに入れても良いか?」が問われており、「この人と一緒に仕事をしたい」と思わせるような言動や振る舞いなど、真摯な態度が必要です。

訪問官庁との関連で時事的なニュースを把握することや、実際の質疑応答でその省庁や部署に関する話を引き出すなど、「その省庁への興味・関心度の高さ」と、「その業務分野への意欲」を持つことに加えて、それをきちんと表すことに注意しましょう。

原課面接で行く部署はどう決まる?

原課面接は、採用担当の職員が、各受験者をどの部署に割り振るかを決めます。各受験者がどの部署に行くかは、その日その場で指示されることが一般的です。

省庁によっては、採用担当の職員から、どんな業務分野の話を聞きたいか?どんな職員に会ってみたいか?と聞かれることもあります。ただし、原課面接では、自分が希望した内容とは、全く違う課に回されることも、普通によくあります。

これは、多くの受験者が経験することです。その省庁に採用されても、関心のある部署ばかりで勤務するとは限りません。ここは、「うちの省庁は、こういう分野もやってるぞ。それでもうちに来るか?」と試されてるのだと思います。

原課面接では、あえて興味や関心の無い部署に回されることが多く、その課について勉強するつもりで面接に臨むべきです。その課で良い印象をもたれるように話を引き出すことや、どんな話を引き出すのか考えて面接に活かすことが重要です。

原課面接のポイント

原課面接では、指定された部署に行って、職員の方の業務説明を受けた上で、質疑応答を行うことが多いです。このポイントは、どれだけその業務分野や政策課題を理解し、より良い話を引き出し、次の面接に活かすかだといえます。

ここは、むしろ自分の関心が無い部署に行った場合こそ勝負だといえます。どれだけ知らなかった業務分野でも、それを知ろうとする意欲や、職員の話を聞いて噛み砕くだけの理解度と熱意、現役職員に対する言動や振る舞いが見られています。

業務説明で職員の話を聞いた上で、質疑応答では積極的に質問して、少しでもより良い話を聞き出すことが重要です。また、そうした一連の内容を、次の面接の職員から聞かれるかどうかに関係なく、次回以降の面接に活かすことも重要です。

こうした戦いは、すでに業務説明会の時点で始まっており、原課面接でも取り組むべき事柄に関しては、国家総合職の業務説明会で説明していますので、ぜひ参考になさってください。

原課面接のうち、業務説明では話を聞き取りながら突破口を模索し、質疑応答では無駄なく簡潔に、しかし自分なりの要点や問題意識はしっかり伝えつつ、より良い話を聞き出すことに傾注してください。

また、下ばかり向いてる(話を聞いてない)と思われない程度に、簡易で要所を押さえたメモを取り、後で面接内容と反省点を記録することや、次回以降の面接で聞かれたら、その面接内容に加え、どう感じ、どう考えたかを表現することも重要です。

人事面接について

人事面接は、ほとんど行わない省庁も一部にあるとはいえ、採用担当者が直接受験者と面接を行い、特定の業務分野とは別に、その人自身の適性や人物像を判断する、重要な面接です。また、入口面接と出口面接は、採用担当者が行う場合が一般的です。

(入口面接と出口面接については、官庁訪問(国家総合職)の入口面接と出口面接で説明しています)

原課面接の後に人事面接があると、原課面接でどんな話を聞いたか、何を感じたかを聞かれることが多いです。ここで、こんな話をしました、こんな課題があると感じました程度の回答では、評価は上がりません。

ここは、聞いた業務分野を話した上で、自分はどこが課題だと感じて、それに対して、こういう取り組みで御省に貢献していきたいまで話すべきです。これができるためには、その前に隙間時間があれば、原課面接の後すぐ、憶えているうちに、話の内容を記録・整理します。