法務教官、保護観察官

法務教官、保護観察官は、法務省専門職員(人間科学)として実施される国家専門職です。法務教官はA(男子)、B(女子)という性別による区分で分けて採用試験が実施されますが、試験内容は性別を問わず同じです。

法務教官、保護観察官、および、法務教官に設定された社会人枠(社会人試験。こちらも性別でA・Bに分かれますが、試験内容は同じです)の試験内容は同一であり、共通問題が導入されています。法務教官(一般枠、社会人枠)、保護観察官の試験内容、および、全体を10とした配点比率は以下の通りです(*は合否の判定のみを行います)。

  • 1次試験:基礎能力試験(択一式)2/10、専門試験(択一式)3/10、専門試験(記述式)3/10
  • 2次試験:人物試験[個別面接※参考として性格検査を実施]2/10、身体検査*(法務教官のみ)、身体測定*(法務教官のみ)

基礎能力試験は以下のように、法務教官・保護観察官も含む国家専門職で共通問題が導入されています。

基礎能力試験(合計40問)は、同日実施の国家専門職(大卒)(国税専門官、財務専門官、労働基準監督官など)の間では、全く同じ共通問題です。国家一般職大卒・地方上級レベルの標準的な大卒公務員の試験勉強で対応できます。

  • 知能分野 27題→文章理解 11題、判断推理 8題、数的推理(一部の国家専門職や防専では「数的処理」)5題、資料解釈 3題
  • 知識分野 13題→自然・人文・社会(時事を含む) 13題
  • 数的処理(判断推理、数的推理、図形、空間)→判断推理8、数的推理5出ます。この2科目だけで基礎能力試験の3割以上を占め、真っ先に取り組むべき最重要科目です。
  • なお、国家専門職の一部や防専では、数的推理を「数的処理」と呼びます。
  • 文章理解→現代文6、英文5で古文は出ません。やはり出題数が多く、必ず勉強すべき科目です。
  • 資料解釈→3問出ます。コツコツとしっかり取り組むことで学習効果の高い科目です。
  • 社会科学(時事対策を含む)→時事が3問、法律、政治、経済が各1問出ます。一般知識(知識分野)では最もウェイトの高い重要分野です。
  • 人文科学→日本史、世界史、地理、倫理思想が各1問出ます。ここを落とす受験生は少なく、やはり勉強すべき分野といえます。
  • 自然科学→生物(または地学)、物理、化学が各1問出ます。優先度は低いものの、典型問題・基礎問題だけでも勉強すると点が取りやすい分野です。

大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。

専門試験(択一式)は40題・全問解答で、試験範囲は「心理学、教育学、福祉及び社会学に関する基礎」です。心理学、教育学、福祉、社会学が各10題づつと告知されています。

専門試験(記述式)は、心理学に関連する領域、教育学に関連する領域、福祉に関連する領域、社会学に関連する領域から1題づつ計4題が出題され、1題を選択解答します。

法務教官、保護観察官の傾向と対策

法務教官、保護観察官は同一日程のため併願不可ですが、試験内容は同じであり、どちらか迷っている方でも同様の試験勉強で対応できます。

専門試験は択一・記述とも心理学、教育学、福祉(社会福祉)、社会学を勉強します。心理学全般の参考書教育学福祉系公務員:専門試験の参考書社会学で対応できます。

また、専門試験のうち心理学に関しては、認知心理学臨床心理学社会心理学で取り上げた「グラフィック認知心理学」「よくわかる臨床心理学」「臨床心理学キーワード」「グラフィック社会心理学」「社会心理学キーワード」まで踏み込んで取り組むことをおすすめします。

専門試験は各科目とも上記リンク先の記事を参照し、参考書と併用問題集・過去問を繰り返したうえで、演習書で実際に解ける力を身につける、という流れが基本かと思います。記述式対策も参考書を中心に、用語説明や重要項目の説明ができるだけの論点整理や問題演習を行います。

専門試験には半年~1年かけて、インプットと問題演習を半々の配分でこなせたら理想です。もちろん、大学などで学習経験のある方なら、改めてインプットを行う必要が無く、問題演習中心の学習で良いと思いますし、このような形で数カ月未満の学習で合格できる方も少なくありません。

なお、法務教官、保護観察官ともに人事院に過去問を請求し、何度も繰り返し取り組むことをおすすめします。独学なら5~10年分は入手して取り組むことをおすすめします。

このほか、人物試験は個別面接ですので、面接試験、官庁訪問の参考書(大卒程度公務員)をおすすめします。