今回は保育士採用試験の参考書のうち、適性試験(事務適性検査)および適性検査(性格適性検査)を取り上げます。この2つは名称こそ異なるものの、全くの別物であり、その違いに注意が必要です。
一般に、適性試験はマークシート方式の択一式試験、適性検査は「はい」「どちらでもない」「いいえ」から解答したり、単純な計算など、択一式以外の形式で行うものです。
公務員試験によっては、適性試験のことを適性検査と呼ぶこともあります。違いを見分けるには、「択一式=適性試験」「それ以外=適性検査」または「事務能力、事務処理能力=適性試験」「性格、職務(職業)適性=適性検査」というのがひとつの目安といえます。
(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)
この記事(ページ)の目次です。
保育士採用試験の適性試験
適性試験(事務適性検査)とは、記録、集計、照合、分類、整理といった事務処理能力を測るための試験です。適性試験は公務員試験において、上級(大卒程度)で課すことは稀ですが、中級(短大卒程度)や初級(高卒程度)で課すことは幅広く見られます。
実際の適性試験は、「計算」「照合」「置換」「分類」「図形把握」という5つのパターンの問題から、3パターンずつのセットが繰り返し課される試験です。保育士採用試験の場合は、合計100問で10分間という自治体が多く見られます。
多くの自治体では、適性試験の成績を点数化して合否の評価に加えています。適性試験の問題集も市販されており、しっかりと練習することが重要です。暗記事項が無い科目ですので、いきなり問題集から始めて構いませんし、問題を解く勘に慣れることがポイントです。
なお、保育士採用試験に特化した市販の適性試験の問題集は皆無です。受験先の自治体に応じて、初級または中級の地方公務員対応の問題集を使いましょう。
ただし、適性試験は重要ではあるものの、試験全体に占める重要度を考えたら、他の試験種目(教養試験、専門試験、実技試験)の学習を削ってまで取り組む必要はありません。適性試験が課される直前期に、短期集中的にこなしても良いと思います。
受験先の自治体の保育士採用試験が、中級程度を含むものであれば「公務員試験 市役所上・中級 採用試験問題集 実務教育出版」、初級程度であれば「初級公務員 総合実戦問題集 実務教育出版
」の適性試験の部分だけをこなせば良いと思います。
中級の方は、このほかに市販の適性試験問題集で適切なものが無いかもしれません。
適性試験は、他の試験種目より優先度は低いものの、必ず取り組んでしっかり練習すべきです。容易に解けることができれば、最低限の練習でも構いません。不安な方は、別途問題集を追加しても良いでしょう。
保育士採用試験の適性検査
適性検査(性格適性検査)は、主に作業適性や性格を測る検査です。YG検査(矢田部ギルフォード性格検査)、クレペリン検査、ロールシャッハなどの職業適性検査・性格検査が実施されます。
適性検査はその性格上、点数化して採用試験の合否に加えるということはほとんどありません。大半の自治体では、適性検査を面接試験の際に公務員(保育士)としての適性を測る参考資料として実施しています。
適性検査は適性試験のように練習して向上するというようなものではなく、採用試験においても合否の対象になることはほとんどありません。このため、適性検査に関しては特別な試験勉強は必要ありません。
ただし、心の備えになるという面から、適性試験の内容を参考書で知っておくことはおすすめします。実技対策の記事でも取り上げた「スイスイわかる保育士採用 実技試験 一ツ橋書店」に適性検査に関する章があるため、ここを読んでおけば十分だと思います。