今回は、東京都特別区の保育士採用試験について取り上げます。
東京都特別区の保育士採用試験は例年、8月第4日曜日に実施されるのが慣例となっています(平成29年度は8月27日(日))。都道府県や政令指定都市の保育士採用試験の集中実施日とは異なるため、併願が可能です。
一般に東京都特別区(東京23区)の職員採用試験は、特別区人事・厚生事務組合が設置した特別区人事委員会が実施します。事務系や技術系職員の多くは、この採用試験の合格が必要です。
このように、特別区の採用試験は各区が個別に行わず、特別区職員採用試験という形で一括して合同で行うのが原則です。この一斉試験の合格者は、試験の成績と本人の希望が考慮され、実際に採用される区が決まります。
ただし、これとは別に、福祉(保育士・児童指導等)・栄養士・看護師・技能系(作業・用務・調理等)・任期付等など、各区が必要に応じて独自に個別の採用試験(採用選考)を行う区分・職種があります。
つまり、特別区の職員になるには、多くの場合は特別区が合同で行う採用試験が必要ですが、保育士の場合は各区が実施する採用試験(採用選考)を受験することになります。
この記事(ページ)の目次です。
特別区保育士の採用試験実施状況
東京都特別区では、すべての区が毎年保育士の採用試験を実施するわけではありません。例年、6月~7月に告知されるため、特別区人事・厚生事務組合の保育士選考情報一覧や、希望する区の公式サイトをこまめにチェックしましょう。
保育士を採用する特別区は、どの区も2類/福祉/保育士という区分(職種)で採用試験を実施するのが一般的です。
東京都特別区の保育士採用試験の場合、どの区でも年齢制限がある一方、学歴要件は要求しない区が多く見られます。当然、保育士の資格(取得見込みも含む)は必要ですし、その他の受験資格もしっかり確認しましょう。
特別区保育士の試験内容
東京都特別区の保育士採用試験の試験内容は、1次試験で筆記試験、作文試験、2次試験で面接試験(個別面接)という区が一般的です。
ただし、一部の区では、「適性検査を加える」「3次試験まで行い、2次試験は実技試験、3次試験は面接試験を行う」など、独自の試験種目を加える区もあります。
このように、東京都特別区の保育士採用試験は、年度によって区独自の試験内容や選考方法を行う場合もあります。
また、東京都特別区の保育士採用試験では、一般的な公務員試験や他の市町村の保育士採用試験とは異なり、筆記試験で教養試験と専門試験を分けずに一括して行うことが一般的です。
東京都特別区で教養・専門を一括して実施する筆記試験の場合、人文科学や社会科学が課されず、75~90分で30~40問という出題パターンの場合、以下の出題比率が予想されます。
- 教養の一般知識(知識分野):30問なら5~6問、40問なら6~8問(法律、経済、時事問題)
- 教養の一般知能(知能分野):30問なら10~12問、40問なら13~16問(内訳は文章理解4割、判断推理4割、数的推理2割。資料解釈は課されないことが多い)
- 専門試験分野(社会福祉、児童家庭福祉(社会的養護を含む)、保育の心理学、保育原理、保育内容、子どもの保健(精神保健を含む)。ただし、子どもの保健(精神保健を含む)を課さない区がある):30問なら12~15問、40問なら16~20問
おおむね教養が5割強、専門が5割弱で、教養のうち知識と知能=1:2という区が多く見られます。ただし、出題科目・出題数や科目別出題数も、区によって変わってくる点に注意が必要です。
筆記試験は、東京都特別区なら教養・専門が一括となった択一式試験であり、区によって「90分・40問」「80分・問題数非公開」「75分・30問」などの試験時間・問題数で課しています。
それに加え特別区の保育士採用試験では、教養試験では人文科学、自然科学、資料解釈、専門試験では子どもの保健(精神保健を含む)を出題範囲に加えるか除外するか、各区によって異なるため、しっかり確認しましょう。
東京都特別区の場合も、一般的な択一式試験の対策は、保育士採用試験の参考書1 筆記試験(教養/専門試験)が参考になります。
作文試験は東京都特別区の場合、保育士採用試験なら60~80分で800~1000字という範囲から指定する区が一般的です。課題に対して記述する課題式作文が主流といえます(保育士採用試験の参考書2 論文(作文)対策)。
「適性検査」を課す区の場合も、実際には「適性試験」を課す可能性があります。両者の見分け方は、保育士採用試験の参考書5 適性試験/適性検査で触れています。
東京都特別区では、一部の区で、保育士採用試験の実技試験を課す場合があります(保育士採用試験の参考書4 実技試験対策)。面接試験はほぼ全ての区で実施しており、大半が個別面接です(保育士採用試験の参考書3 面接対策)。