都道府県の保育士採用試験

今回は、都道府県庁が実施する保育士採用試験を取り上げます。

都道府県の保育士採用試験の1次試験は、地方中級および地方初級の集中実施日と重なった自治体が数多く見られます(平成29年度の場合、9月24日(日))。なお、平成29年度は、保育士採用試験を実施しなかった都道府県もあります(東京都など)。

その一方、地方上級の集中実施日と重なった自治体もいくつか見られます(平成29年度の場合、6月25日(日))。

(※都道府県や政令指定都市では、大卒・短大卒・高卒程度の職員採用試験のことを、それぞれ「地方上級」「地方中級」「地方初級」と呼びます。地方上級と地方中級・地方初級では、例年大半の自治体が同じ日に1次試験を実施する集中日が見られます)

このほか、ごく一部の自治体では、独自に日程を設けるところもあります。

都道府県の保育士の採用

都道府県の保育士の採用で最も多いのは、中級(短大卒程度)での採用です。その一方、なかには上級(大卒程度)や初級(高卒程度)などの採用試験を行う自治体もあります。

都道府県が保育士を採用する場合、知事部局の本庁または現地機関において、福祉施設での保育、または、生活支援、児童福祉等に関する相談・指導などに従事することが多く見られます。

現地機関での勤務は、都道府県が運営する児童相談所や児童福祉施設における保育や相談・指導が中心となります。このほか、都道府県が管轄する福祉施設(こども医療福祉センターなど)での保育にあたることがあります。

都道府県の保育士採用の試験内容

都道府県の保育士採用試験の試験内容は、教養試験(択一式)、専門試験(択一式)、論文(作文)試験、面接試験、適性検査を1次試験と2次試験に分けて実施する自治体が一般的です。

教養試験は短大卒程度の採用試験なら50問で2時間~2時間30分という自治体が数多く一般的です。その一方、大卒程度の採用試験なら、40問で2時間という自治体があります。

都道府県・政令指定都市の教養試験で最も多く見られる、短大卒程度または高卒程度で50問の出題パターンの場合、科目別出題数は以下の通りです。

  • 一般知識(知識分野)25問:社会科学7(政治3、経済2、社会2)、人文科学11(日本史2、世界史2、地理3、思想/倫理1、国語3)、自然科学7(数学1、物理1、化学2、生物2、地学1)
  • 一般知能(知能分野)25問:文章理解9(現代文5、英文3、古文1)、判断推理9、数的推理5、資料解釈2

大卒程度の場合は国語や数学が課されず、そのぶん社会科学や時事問題が多めとなり、思想/倫理の代わりに文学・芸術が課される場合が多く見られます。

教養試験は同日実施される他の職種との共通の試験内容ですし、全国的に同じ日に実施される自治体どうしで共通の試験問題が見られます。その一方、保育士の場合も、独自に試験日程や出題数などを設定する自治体もごく一部に存在します。

専門試験は、全国的に最も多いのは短大卒程度の場合で40問・2時間、出題科目は以下の通りという自治体が一般的です。

  • 社会福祉
  • 児童家庭福祉(社会的養護を含む。)
  • 保育の心理学
  • 保育原理
  • 保育内容
  • 子どもの保健(精神保健を含む。)

専門試験は市町村の場合は30問という自治体も多いのですが、都道府県の場合は40問という自治体が多く見られます。このほか、独自の問題数を課す自治体もあります。どの場合も、上記の各科目をほぼ同じ問題数ずつ課すことが一般的です。

一般的な択一式の筆記試験対策に関しては、保育士採用試験の参考書1 筆記試験(教養/専門試験)が参考になります。

なお、都道府県の保育士採用試験では、大卒程度で採用試験を行う自治体では、択一式ではなく記述式で専門試験を課す自治体もあります。

都道府県の保育士採用試験の場合、論文(作文)試験は60~80分で課題に対して記述を求める試験(保育士採用試験の参考書2 論文(作文)対策)、面接試験は個別面接が一般的です(保育士採用試験の参考書3 面接対策)。ただし、自治体によっては、独自の出題、面接形式、試験時間を設けるところもあります。

都道府県の保育士採用試験では、実技試験を課す自治体が多く見られます。課題は自治体によって異なるため、試験案内(募集要項)をしっかり確認しましょう(保育士採用試験の参考書4 実技試験対策)。

適性検査は、職員として職務遂行上必要な素質・性格についての検査です。質問紙法や作業検査法と呼ばれる検査が行われます。

都道府県のなかには、「適性検査」といっても、実質的には「適性試験」を課すところもあります。この見分け方については、保育士採用試験の参考書5 適性試験/適性検査で触れています。

都道府県の保育士採用試験における最新年度の受験案内(募集要項)は、早いところで1次試験の2~3ヶ月前には配布を行う自治体があります。その一方で、試験日の直前になって告知・配布を始める自治体もあります。

受験の申込期間に関しても、2週間程度の受付期間を設ける自治体もあれば、数日程度で申し込みを締め切る自治体もあります。申込期間を過ぎると絶対に受験できないため、志望先の自治体は最新情報をこまめにチェックして、必ず見逃さないようにしましょう。