市町村の保育士採用試験

今回は、一般的な市町村の保育士採用試験を取り上げます。政令指定都市の保育士を希望する方は、政令指定都市の保育士採用試験をご覧ください。

(※政令市とは、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の20市のことです)

ここでは、政令指定都市を除く一般的な市役所・町村役場の保育士採用試験を取り上げます。

市町村の保育士採用試験の日程

保育士採用試験のうち、市町村の1次試験は例年、9月の第3日曜日に集中して実施されます(平成29年度は9/17(日))。こちらは中級(短大卒程度)や初級(高卒程度)の採用試験を行う自治体が多く見られます。

その一方、6月第4日曜日に、県庁所在地や中核市など、比較的規模の大きな市役所を中心にした集中実施日が見られます。この日程では、上級(大卒程度)の採用試験を実施する場合が多く見られます(平成29年度は6/25(日))。

このほか、7月第4日曜日に実施する市町村も多く(平成29年度は7/23(日))、関西以西の西日本を中心にした一部の市役所では10月の第3日曜日にも集中しています(平成29年度は10/15(日))。

もちろん、これとは別に、独自に試験日程を設定している市町村も少なくありません。各自が志望する自治体の公式サイトなどで過去の実施実績を確認し、例年いつごろ試験案内(受験案内)が出ているか確かめておきましょう。

市町村の保育士採用試験の内容

市町村の保育士採用試験は、中級(短大卒程度)または初級(高卒程度)が一般的です。その一方、上級(大卒程度)を実施する自治体も見られます。なかには、上級と中級・初級をそれぞれ採用する自治体もあります。

市町村の保育士採用試験の場合、教養試験(択一式)、専門試験(択一式)、論文(作文)試験、面接試験、実技試験、適性試験または適性検査を1次試験と2次試験に分けて課す場合が一般的です。

筆記試験は教養・専門とも、同日実施で択一式試験なら、全国的に幅広く共通問題が見られます。その一方、市町村のなかには、記述式試験を導入したり、教養試験と専門試験を分けずに一括して実施する自治体も一部に見られます。

教養試験は多くの場合、120~150分、40問~50問が一般的です。例えば120分・40問の場合、最も多く見られる出題パターンは以下の通りです。

  • 一般知能(知能分野)20題:文章理解7(現代文3、英文3、古文1)、判断推理6、数的推理5~6、資料解釈1~2
  • 一般知識(知識分野)20題:社会科学7(政治3、経済2、社会・時事問題2)、人文科学6~7(日本史2、世界史2、地理2、文学・芸術0~1)、自然科学6~7(生物2、化学1~2、物理1、地学1、数学1)、国語0~2

これは最も一般的で科目別の出題比率の参考になるケースですが、自治体によっては出題科目の一部を除外したり、出題数を変える市町村もあります。

専門試験の試験内容は、保育士資格の国家試験に準じていることが一般的です。最も多くの市役所が採用している出題パターンは択一式、30題・90分が一般的で、出題科目は概ね以下の通りです。

  • 社会福祉
  • 児童家庭福祉(社会的養護を含む)
  • 教育原理
  • 保育の心理学
  • 保育原理
  • 子どもの保健(精神保健を含む)

このほか、「子どもの食と栄養」や「保育実習理論」を含む自治体もあります。

専門試験も、出題科目や出題数を変更する自治体が見られます。ただし専門試験の場合は、どの自治体でも、どの科目もほぼ同じ出題数という傾向が見られます。

教養試験も専門試験も、一般的な択一式試験であれば、保育士採用試験の参考書1 筆記試験(教養/専門試験)で対応できます。

論文(作文)試験は、多くの市町村では50~80分で800~1200字という範囲内から指定しています(中には、独自の出題内容という自治体もあります)。課題に対して記述させる課題式論文(作文)が一般的です。

保育士採用試験で論文(作文)が課される場合、「他人に対する配慮について思うこと」「私が考える行政サービス」「仕事をする上で、大事だと思うこと」などの出題例があります(保育士採用試験の参考書2 論文(作文)対策)。

面接試験は保育士採用試験の場合、個別面接が一般的です。ただし、自治体によっては、面接試験を複数回実施したり、異なる試験形式(集団面接、集団討論など)を行う市町村もあります(保育士採用試験の参考書3 面接対策)。

実技試験を課す自治体の場合、その内容はさまざまです。ピアノの演奏や歌唱、読み聞かせ、造形実技など、課題は市町村によって異なります。

実技試験は指定課題をこなす場合もあれば、いくつかの課題から選ぶという自治体もあります(保育士採用試験の参考書4 実技試験対策)。

保育士採用試験では、市町村によっては、適性検査(性格検査)または適性試験(事務適性検査)を課すところもあります。適性検査は性格や職業適性、適性試験は事務処理能力を測る検査です。

自治体によっては、「適性検査」という名称で「適性試験」を課すところもあります。両者の違いは保育士採用試験の参考書5 適性試験/適性検査でも触れています。