福祉系・心理系公務員

福祉系・心理系公務員の一覧

地方公務員の福祉系・心理系区分(職種)

福祉系・心理系公務員の参考書

福祉系・心理系公務員の教養試験(基礎能力試験)

福祉系・心理系公務員の専門科目対策

地方公務員(福祉系/心理系)や法務省専門職員(人間科学)では以下の全般的な学習が試験勉強の中心ですし、国総・家裁の方も基礎固めとして必須です。

国家公務員や地方上級の心理系科目では、以下の通り個別の科目にも取り組みましょう。これらは出題科目に応じて取り組むべきですし、特に国家総合職(人間科学)・家庭裁判所調査官補の方は必ず取り組むべきです。

このほか、以下の科目は行政系・事務系科目ですが、福祉系・心理系公務員の中には出題される試験があります。これらが課される方は、しっかり取り組むべき科目です。

  • 一部の福祉系・心理系公務員で出題されます→統計学

福祉系・心理系公務員になるには

福祉系・心理系公務員になるには、志望先の受験案内(募集要項など)に従って出願し、それぞれの志望先の採用試験に合格することが必要です。

ただし、国家公務員や東京都特別区では、採用試験の最終合格=採用ではありません。まず、国家総合職では、官庁訪問という採用プロセスが必要であり、採用されるのは、最終合格者の4割程度です。

家庭裁判所調査官補では、合格者は採用候補者名簿に高得点順に記載され、最高裁が全国の家裁に推薦します。そこで例年通りなら、欠員状況や辞退者数等の事情により、学部卒・院卒それぞれにおいて、最終合格者の2~3割程度は採用されません。

法務省専門職員(人間科学)は、全国にそれぞれ8つある管区または委員会の面接を受けた上で、希望する機関や施設から内定を得る必要があります。管区は矯正局、委員会は保護局の管轄です。

このため、矯正心理専門職・法務教官は「管区面接」、保護観察官は「委員会面接」を受ける必要があります。なお、管区面接は、日時の重複がない限り、複数の管区が受験可能ですが、委員会面接は、保護局が指定した1つの委員会しか受験できません。

東京都特別区(東京23区)は、各区それぞれが採用試験を行うのでは無く、23区合同で一斉に東京都特別区の採用試験を実施します。受験生は、希望する区を第1~第3志望まで書いて出願します。

東京都特別区の採用試験の最終合格者は、成績順と希望順に基づいて、各区の面接などを受けて、内定(採用)を得る必要があります。採用後は各区の職員ですから、出向などの例を除けば、基本的に他の区に移籍するということはありません。

福祉系・心理系公務員の受験資格

福祉系・心理系公務員の受験資格は、福祉系や心理系の資格とか、福祉系や心理系の大学や大学院を出ていることが、必須とは限りません。福祉系・心理系公務員は、専門外の方も受験できる採用試験が少なくありません。

公務員試験の受験資格は、受験年度の受験案内(募集要項など)が発表されたら、すぐに確認しましょう。まだ未発表のうちは、試験勉強や出願・併願を考える上で、過年度のものを参考に見ておきましょう。

福祉系・心理系公務員の場合も、受験資格では、資格要件のほか、年齢制限、学歴要件、国籍条項、その他の事柄について、志望先ごとに確認しましょう。

例えば、大卒「程度」の公務員試験であっても、受験資格に大学卒の学歴が必須では無い公務員試験もあります。一般に公務員試験では、院卒・大卒・短大卒・高卒などの「程度」とは、その採用試験の試験内容を表すものです。

このため、大卒程度の公務員試験であっても、受験資格に大学卒であることを要求する公務員試験もあれば、大学卒以外の方でも受験できる公務員試験もあります。この場合、試験勉強自体は、大卒程度の公務員試験に合わせて行う必要はあります。

地方公務員(福祉系・心理系)の受験資格

地方公務員(福祉系・心理系)の受験資格は、先に述べた点に加え、以下の点に注意してください。

まず、福祉系の地方公務員の受験資格のうち、都道府県や政令指定都市の大半は、「社会福祉主事任用資格」があれば、受験を認める自治体が多く見られます。

心理系公務員の受験資格も、都道府県や政令指定都市の場合は、資格要件が無い自治体が少なくありません。さらに、大卒・院卒の間で、採用に差が無い自治体も見られます。都道府県・政令市なら、福祉系・心理系が専攻では無い受験生も多いです。

その一方、都道府県・政令指定都市を除く地方公務員(一般の市役所や町村役場)の受験資格は、大半の場合、社会福祉士(福祉系)、臨床心理士(心理系)、精神保健福祉士等の資格や、実務経験を要件に求める自治体が見られます。

福祉系・心理系公務員の試験日程

福祉系・心理系公務員の試験日程(1次試験)は、例年通りなら、以下の通りと予想されます。

  • 4月第4週:国家総合職(人間科学)
  • 5月第1週:東京都Ⅰ類 B(心理・福祉)、東京都特別区(心理・福祉)
  • 5月第2週:裁判所職員総合職(家庭裁判所調査官補)
  • 6月第1週:法務省専門職(人間科学)
  • 6月第3週:道府県・政令指定都市職員(心理・福祉)、市町村職員 A 日程
  • 7月第2週:市町村職員 B 日程
  • 9月第3週:市町村職員 C 日程

ただし、自治体によっては、福祉系・心理系の採用試験に関して、独自日程を組む所も少なくありません。国家・地方公務員問わず、志望先の公式情報を、こまめに確認しましょう。

福祉系・心理系公務員の難易度

福祉系・心理系公務員の難易度は、総じて言えば、国家総合職(人間科学)が特に難しく、その他は、都市部を中心にした地方上級レベルの問題が、標準的な難易度だといえます。社会福祉士など国家資格の試験に近い問題が多く見られます。

国家公務員の難易度

このうち、国家総合職(人間科学)は、教養試験(基礎能力試験)の難易度が高く、特に知能分野(一般知能)は、きっちりと問題演習を行っておく必要があります。

一方、国家総合職(人間科学)の専門試験は、難易度で言うと、極端な難問はありませんが、試験範囲をキッチリと勉強しておかないと解けないような、標準レベルはクリアすべき良問が揃っているという印象があります。

裁判所職員総合職(家庭裁判所調査官補) の難易度は、国総に比べると、明らかに易しく、基本~標準的な問題が多いといえます。ただし、国総も家庭裁判所調査官補も、時間配分を大事にして解き進めるべきだと思います。

法務省専門職(人間科学)の難易度は、3区分(法務教官、保護観察官、矯正心理専門職)とも、家裁よりは難しいと思いますが、教養・専門とも標準レベルをクリアすれば十分解ける、易しめの問題が多いといえます。

地方公務員の難易度

地方上級の難易度は、全体的には、国総ほどは難しくありませんが、基本から標準的な問題まで、バランス良く受験者を評価しようとする良問が揃っています。しっかりと勉強した成果が、そのまま結果に反映されそうな問題構成です。

このうち、東京都や東京都特別区の難易度は、易しかったという方と、難しかったという方で、見方が分かれます。どちらかというと、福祉系の方は難しかったという方が少し多く、心理系の方は易しかったという方がやや多めです。

この他の地方上級(道府県、政令指定都市)の難易度は、都市部の自治体ほど難しく、社会福祉士など国家資格の試験に近い問題も、多く見られます。とはいえ、どの自治体でも、基本から標準レベルの正確な知識を問う問題が主流といえます。

中核市など、地方上級以外の地方公務員(福祉系・心理系)の難易度は、地方上級と同等またはそれよりも易しい問題といえます。全国の警察本部(心理系)の教養試験の難易度は、地方上級よりも易しく、標準問題をクリアすれば、十分に解ける問題だと思います。

福祉系公務員と社会福祉士国試の試験内容の違い

福祉系公務員と社会福祉士国試は、試験内容に違いがあるものの、基本的には、社会福祉士国試の勉強が、福祉系公務員にも十分通用します。試験内容における、福祉系公務員と社会福祉士国試の違いを知っておくと、試験勉強の効率が上がります。

例えば、福祉系公務員と社会福祉士国試では、科目ごとの重要度に違いが見られます。社会福祉士国試の教材を使う際は、社会福祉士国試の頻出分野に関わらず、福祉系公務員の頻出分野を知った上で、そこから優先的に勉強すると良いでしょう。

なお、社会福祉士国試は、五肢択一式と五肢複択式の問題がありますが、公務員試験で択一式といえば、全て五肢択一式の問題であることが一般的です。社会福祉士国試の教材を使う際は、この点にも留意しましょう。

社会福祉士国試の基本と福祉系公務員

社会福祉士国試は、毎年2月上旬に実施されます。150問・240分で、19科目ですが、「就労支援サービス」と「更生保護制度」で1つの科目群とみなすため、18科目群とも言います。

社会福祉士国試の19科目・18科目群は、同じく国家資格の精神保健福祉士と共通の試験内容が課される「共通科目」(11科目・11科目群)と、社会福祉士のみ課される「専門科目」(8科目・7科目群)に分かれます。

社会福祉士国試では、共通科目が午前の部(135分)、専門科目が午後の部(105分)に実施されます。また、共通科目(午前)は、精神保健福祉士を取得済みの方は、免除されます。

その一方、福祉系公務員では、社会福祉士国試でいうところの共通科目・専門科目という区別が無く、択一式試験であれば、すべて専門試験(専門科目)として課されることが一般的です。

とはいえ、福祉系公務員では、社会福祉士国試の科目のうち、まず出ることが無い科目もあり、全科目を勉強する必要はありません。また、福祉系公務員と社会福祉士国試では、頻出分野が重なる部分も多いですが、そうでは無い部分もあります。

なお、社会福祉士国試向け教材は、共通科目と専門科目の2分冊に分かれたタイプの教材と、1冊で社会福祉士国試の試験内容をまとめたタイプの教材があります。

福祉系公務員を目指すなら、どちらのタイプの教材でも構いません。そもそも福祉系公務員なら、共通科目と専門科目の区別を考える必要はありませんし、社会福祉士国試の全範囲をカバーするように、一通り揃えましょう。

社会福祉士国試の科目別出題数

ここで、社会福祉士国試の試験科目(18科目群・19科目)を紹介した上で、福祉系公務員で絶対に勉強すべき科目や、勉強する必要の無い科目を説明します。また、社会福祉士国試は、科目別出題数が公開されているため、ここであわせて紹介します。

共通科目は、1~11番目の11科目・11科目群です(全83問)。

  • 1 人体の構造と機能及び疾病(7問)
  • 2 心理学理論と心理的支援(7問)
  • 3 社会理論と社会システム(7問)
  • 4 現代社会と福祉(10問)
  • 5 地域福祉の理論と方法(10問)
  • 6 福祉行財政と福祉計画(7問)
  • 7 社会保障(7問)
  • 8 障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
  • 9 低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
  • 10 保健医療サービス(7問)
  • 11 権利擁護と成年後見制度(7問)

専門科目は、12~19番目の8科目・7科目群です(全67問)。

  • 12 社会調査の基礎(7問)
  • 13 相談援助の基盤と専門職(7問)
  • 14 相談援助の理論と方法(21問)
  • 15 福祉サービスの組織と経営(7問)
  • 16 高齢者に対する支援と介護保険制度(10問)
  • 17 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(7問)
  • 18 就労支援サービス(4問)19 更生保護制度(4問)

社会福祉士国試は、「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」「高齢者に対する支援と介護保険制度」が10問づつ、「就労支援サービス」と「更生保護制度」が4問づつ、「相談援助の理論と方法」が21問で、その他の科目は7問づつです。

福祉系公務員で勉強すべき科目は?

福祉系公務員で絶対に勉強すべき科目は、先ほどの社会福祉士国試の科目でいうと、以下の通りです(6科目45問)。これは、時間的な余裕が無い方でも、最低限かつ必須の最優先科目といえます。

  • 「福祉行財政と福祉計画(7問)」
  • 「社会保障(7問)」
  • 「障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)」
  • 「低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)」
  • 「高齢者に対する支援と介護保険制度(10問)」
  • 「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(7問)」

福祉系公務員だと、「福祉行財政と福祉計画」では福祉事務所、福祉六法、「社会保障」では年金、医療保険、労働者災害補償保険、雇用保険が特に頻出ですし、その他の、障害者福祉、生活保護、高齢者福祉、児童家庭福祉に該当する各科目まで含め、これらの科目は、どこから出てもおかしくない、最優先科目といえます。

また、福祉系公務員で、時間的に余裕があれば、勉強すべき科目は、以下の通りです(7科目52問)。これらの科目も、志望先の受験案内(募集要項など)に出題が明記されていれば、やはり必ず勉強すべき最優先科目といえます。

  • 「心理学理論と心理的支援(7問)」→心理学(一般心理学)に相当
  • 「社会理論と社会システム(7問)」→社会学(一般社会学)に相当
  • 「現代社会と福祉(10問)」
  • 「地域福祉の理論と方法(10問)」
  • 「社会調査の基礎(7問)」→社会調査に相当
  • 「福祉サービスの組織と経営(7問)」
  • 「就労支援サービス(4問)」

上記の通り、社会福祉士国試の「心理学理論と心理的支援(7問)」「社会理論と社会システム(7問)」「社会調査の基礎(7問)」はそれぞれ、公務員試験の「心理学(一般心理学)」「社会学(一般社会学)」「社会調査」に相当します。

特に心理学と社会学は、もちろん社会福祉士国試の教材で良いですし、公務員試験向けにも良い教材が出ているため、自分に合った教材を選んで良いと思います。

ここまで取り上げた、福祉系公務員で勉強すべき科目は、社会福祉士国試でいうと、13科目97問です。ここまで勉強すると、福祉系公務員なら、標準的な問題には、ほぼ対応できると思います。

一方、社会福祉士国試でいうと、残りの6科目53問は、以下の通りです。福祉系公務員で出題0では無いですが、出題頻度や科目別出題数を考えると、社会福祉士国試を目指している方以外は、公務員を目指す上で、無理に勉強する必要は無い科目です。

  • 「人体の構造と機能及び疾病(7問)」
  • 「保健医療サービス(7問)」
  • 「権利擁護と成年後見制度(7問)」
  • 「相談援助の基盤と専門職(7問)」
  • 「相談援助の理論と方法(21問)」
  • 「更生保護制度(4問)」

福祉系公務員の頻出科目・項目はどこか?

福祉系公務員の頻出科目・項目は、社会福祉士国試でいえば、社会保障制度、医療保険、年金保険、労災保険/労働関係法規、雇用保険、社会福祉、高齢者福祉、障害者福祉、児童・家庭福祉、公的扶助、行政計画、福祉財政に該当する部分は、必ず勉強すべき分野だといえます。

また、先ほども触れた通り、社会学、心理、社会調査、個人・家族、育児・介護休業、「組織と経営、法人」、現代社会と福祉、地域福祉も、志望先が受験案内などで明記していれば、必ず勉強すべきですし、そうでなくても、なるべく勉強すべきです。

福祉系公務員に必要な勉強時間は?

福祉系公務員に必要な勉強時間ですが、一般的には、教養試験(基礎能力試験)と専門試験で択一式がそれぞれ課される公務員試験の場合で、ほとんどの公務員試験は半年から1年、国家総合職など高度な公務員試験であれば、1年~2年と言われます。

ところで、参考までに、社会福祉士国試では、合格のための勉強時間は、300時間程度が目安だと言われています。これは、受験資格の取得のために要求される時間を除いた時間です。

その一方、先ほどは、福祉系公務員に必要な社会福祉士国試の科目は、13科目97問だと言いました。これは、科目ごとの難易度や出題頻度を考慮せず、単純計算でいうと、200時間弱で勉強できる分量になります。

仮に200時間の勉強時間を確保出来るなら、1日1時間の勉強で200日=半年と3分の2ヶ月、1日2時間の勉強で100日=3ヶ月と10日、1日3時間の勉強で67日=2ヶ月と1週間の勉強が必要となります。

これは、専門試験だけを考えた勉強時間です。これとは別に、教養試験、論文(作文)試験、面接試験などの勉強も必要でしょう。また、専門試験が択一式では無い公務員試験もあります。

こうした点を考慮すれば、一概には言えませんが、福祉系公務員の勉強時間は、毎日平均1~3時間、直前期はもっと勉強時間を増やすとして、やはり半年以上~1年、国家総合職なら1年~2年は確保するのが理想かと思います。

もちろん、福祉系公務員の場合、専門試験は学習経験のある方が有利ですし、半年未満の学習期間でも合格する方が、数多くおられます。むしろ、再挑戦組を除くと、ほぼ初めて勉強することになる、教養試験の勉強に手こずる方が多いと思います。

福祉系公務員の場合は、教養試験、論文(作文)試験、面接試験など、専門試験以外にどれだけの勉強時間がかかるかが、肝かもしれません。これをクリアできれば、半年未満の学習期間でも、合格できる可能性が十分あるのが、福祉系公務員といえます。

福祉系公務員の参考書は何が良いのか?

当サイトでは、福祉系公務員の参考書について、区分・職種を問わず、共通の試験内容が課されるのが一般的な教養試験(基礎能力試験)は大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)、区分・職種ごとに、課される試験内容が異なる専門試験は福祉系公務員:専門試験の参考書で、一括して紹介しています。是非とも参考になさってください。

福祉系・心理系公務員の科目別出題数

※注意:今回の記事における「科目別出題数」は、すべて社会福祉士国試での科目別出題数です。これが、福祉系公務員での科目別出題数にそのまま当てはまったり、公務員試験に反映されるものではありません。

福祉系・心理系公務員の科目別出題数に関しては、例えば地方公務員福祉職地方公務員心理職など、公務員試験別の記事で紹介していますので、ぜひ参考になさってください。