地方上級・市役所大卒・国家一般職大卒

今回は、地方上級、市役所大卒、国家一般職大卒の試験内容・試験対策・参考書を取り上げます。その上で、必ずこなすべきメイン教材や、分からなかったところが出てきたときに助けとなる参考書、演習量の上積みとなる演習書を紹介します。

(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)

地上・市役所大卒・国一大卒の出題分析について

ここで解説する地方上級の出題タイプや、地上・市役所大卒・国一大卒の出題内容(科目別出題数)は、公的なものではありませんし、受験案内(募集要項)に明記されない場合のほうが一般的です。

地上の出題タイプや地上・市役所・国一の出題内容の分類・分析は、実務教育出版やLEC東京リーガルマインドなど、公務員試験に関する出版社や受験スクールの間で、過去の実施実績に基づく、長期間の分析を通じて、幅広く使われているものです。

公務員試験では、全ての受験案内(募集要項)で科目別出題数まで記載されるとは限らないため、こうした民間企業による試験分析が、試験勉強を進めるにあたって、幅広く使われています。独学の場合も、これを活用することが必須だといえます。

(受験案内や募集要項には、試験時間・問題数・出題科目が掲載されることが一般的であり、出題タイプや出題内容について、過年度からの変更の有無も含め、ある程度までは推測できると思います)

今回の記事では、地方上級・市役所大卒・国一大卒の出題タイプや出題内容を、過年度の実施実績に基づいて説明した上で、直近の試験分析の入手方法や、実際の試験勉強に使える参考書・問題集を、独学を前提に一通り説明します。

地方上級とは

地方上級(地上)とは、都道府県と政令指定都市の大卒程度の事務系(一般行政系)の採用試験を指します(東京都特別区を含む場合もありますし、当サイトでは東京都特別区を含んで説明します)。

地方上級は、1次試験が統一実施日に行われます。ただし、過去の実施実績では、東京都、東京都特別区、大阪府、北海道、愛知県など、統一日とは異なる日程で1次試験を行う自治体もあります。

地方上級の出題タイプと難易度

地上は、全国型、関東型、中部北陸型、その他の出題タイプ、独自型の出題タイプに分類できます。自治体ごとに、教養・専門試験それぞれにおいて、どれかの試験を課します。さらに専門試験ではこれらに加えて、法律専門タイプ、経済専門タイプという自治体もあります。

このうち独自型は、出題構成および出題内容とも、全く独自の試験を課す自治体です。過去の実施実績では、東京都1類Bの教養試験、東京都特別区の教養試験および専門試験は独自型ですし、北海道、大阪府、大阪市など、他の公務員試験とは全く異なる試験を課す自治体があります。

その一方、独自型を除けば、同じ出題タイプの間では、いくつかの自治体で独自の問題や科目を加えたり、選択解答制を採用している自治体もありますが、出題構成や出題内容がほぼ同じで、ほとんどは共通問題となっています。

地方上級の問題自体の難易度は、どこの都道府県・政令指定都市でも、ほぼ同じです。大卒程度公務員試験の標準レベルであり、1つの目安といえます。地上対策を行えば、他の公務員試験、特に国一大卒や一般的な市役所も併願しやすいといえます。

ただし、独自型を課す地方上級の場合は、その自治体に沿った試験対策が必要です。他の出題タイプの自治体とは異なり、国一大卒や一般的な市役所など、他の公務員試験と併願する場合は、それぞれの試験勉強を並行する必要が出てくる場合もあります。

地上(教養試験)の科目別出題数

地方上級で教養試験(基礎能力試験)の択一式試験が課される場合、全国型、関東型、中部・北陸型の場合、50問必須解答または50問中40問選択解答という自治体が一般的です。

これら3タイプの科目別出題数は、社会科学10~14(政治1、法律2~3、経済3~4、社会・社会事情4~6)、人文科学6~9(日本史2~3、世界史2~3、地理2~3)、自然科学7(化学2、生物2、数学1、物理1、地学1)、文章理解8(英文5、現代文3)、判断推理7~9、数的推理4~7、資料解釈1となっています。

ただし、東京都1類B(一般方式)は40問必須解答で、独自型です。社会科学3(法律1、政治1、経済1)、人文科学4(歴史2、地理1、文化1)、自然科学4(化学1、生物1、物理1、地学1)、文章理解8(英文4、現代文4)、判断推理5、数的推理7、資料解釈4となっています。

(東京都1類B・一般方式の空間概念は、判断推理に含みます)

また、東京都特別区1類は、48問中40問の選択解答という独自試験です。知能分野(一般知能)は28問必須解答で、知識分野(一般知識)は20問中12問選択解答です。社会科学4(法律2、政治1、経済1)、人文科学4(倫理・哲学1、歴史2、地理1)、自然科学8(化学2、生物2、物理2、地学2)、文章理解9(英文4、現代文5)、判断推理9、数的推理6、資料解釈4となっています。

(東京都特別区1類の空間把握は、判断推理に含みます)

地上(専門試験)の科目別出題数

地方上級の専門試験は、全国型、関東型、中部・北陸型の場合、40問必須解答または50問中40問選択解答という自治体がほとんどです。

この3タイプでは、政治学2、行政学2、社会政策2~3、社会学0~2、国際関係2~3、憲法4~5、行政法5~8、民法4~7、刑法2、労働法2、経済原論(経済学のこと)8~12、財政学2~3、経済史0~1、経済政策0~3、経済事情0~3、経営学0~2が出ています。

ただし、東京都1類B(一般方式・行政区分)の専門試験は、全くの独自型試験です。択一式試験は課されず、記述式試験が課されます。10題中3題の選択解答で、出題される10問は、憲法、民法、行政法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学が各1問となっています。

また、東京都特別区1類は、55問中40問の選択解答で、こちらも独自型試験です。政治学5、行政学5、社会学5、憲法5、行政法5、民法10、経済原論(経済学のこと)10、財政学5、経営学5が出ています。

国家一般職(大卒)とは

国家一般職とは、「主として事務処理等の定型的な業務に従事する職員」と定義されており、大卒、高卒、社会人試験(係員級)の3つの採用試験があります。ここでは、大卒程度のうち、事務系・一般行政系に該当する行政区分の採用試験を説明します。

国家一般職大卒では、行政区分は北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の各地域別の採用です(技術系の区分は、全国採用です)。本府省への採用は、関東甲信越からの採用が中心ですが、それ以外の地域の採用も、無いわけではありません。

1次試験は受験に便利な受験地を選べますが、2次試験は採用を希望する地域で受けることになります。行政区分は、1次試験で、ともに択一式で基礎能力試験(教養試験)と専門試験が課され、これとは別に一般論文試験も課されます。

2次試験は、人物試験(個別面接)です。参考として、性格検査も行います。最終合格者は、区分ごとに作成される採用候補者名簿(大卒は3年間有効)に記載されます。そして、各府省等は、名簿記載者の中から、面接などを行って採用者を決めます。

ここで、合格=採用では無い点に要注意です。国家一般職大卒の場合は、1次合格発表後の「官庁訪問」を経て、内定者を決めるという仕組みです。1次発表の前に、人事院イベント情報を細かく確認して説明会等に参加し、各府省の情報を入手しましょう。

国一大卒の採用試験は、公務員試験の中でもごく標準的なレベルです。地方上級と同等か、それよりも少し易しいという声も少なくありません。国一大卒・地方上級・市役所の併願は、公務員試験では定番の併願パターンといえます。

国一大卒(行政)の科目別出題数

国一大卒の基礎能力試験(教養試験)は、40問必須解答です。社会科学3(政治、経済、法律が各1)、人文科学4(日本史、世界史、地理、思想が各1)、自然科学3(物理、化学、生物が各1)、文章理解11(英文5、現代文6)、判断推理8、数的推理5、資料解釈3となっています。なお、基礎能力試験は、全区分共通問題です。

国一大卒・行政区分の専門試験は、「政治学、行政学、憲法、行政法、民法(総則・物権)、民法(債権・親族・相続)、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学・経済事情、経営学、国際関係、社会学、心理学、教育学、英語(基礎)、英語(一般)」という、5問づつに区切られた16科目80問から、科目ごとに選んで8科目40問を解答する選択解答です。

国一大卒(行政区分)では、「ある科目から3問、別の科目から1問、、、」という選び方はできません。科目毎に8科目を選び、各科目5問づつ(8×5=40問)をすべて解答する必要があります。

市役所とは

ここでいう「市役所」とは、政令指定都市を除く一般的な市役所のことです(政令指定都市は、「地方上級」に該当します)。

(政令指定都市は、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市です)

一般的な市役所では、大卒・高卒の程度によって採用試験を分ける市役所もあれば、大卒・高卒の程度を分けずに採用試験を行う市役所もあります。また、教養試験・専門試験とも課す市役所もあれば、教養試験のみという市役所もあります。

市役所の採用試験は、択一式試験(教養試験、専門試験)、論文(作文)試験、面接試験を課す自治体が、全国的に多く見られます。問題の難易度は、地上よりは易しいといえますし、地上・国一大卒・市役所は、公務員試験の併願の定番です。

市役所の教養試験

市役所の教養試験の出題タイプは、公益財団法人・日本人事試験研究センターが明らかにしている、公的な分類です(これに対して、この記事の冒頭で述べた通り、地上の出題タイプは、公務員試験に関わる出版社や受験スクールの試験分析に基づく、私的な分類です)。

(※公益財団法人・日本人事試験研究センターとは、道府県と政令指定都市が賛助会員という公益法人であり、東京都と東京都特別区を除く全ての地方上級、および、全国の市町村の約90%の採用試験の問題作成と提供、採点処理を取り扱っています)

なお、市役所の教養試験の出題タイプは、日本人事試験研究センターが明らかにしている公的な分類ですが、市役所においても出題内容(科目別出題数)に関しては、(この記事の冒頭で述べた通り)公務員試験に関係する出版社や受験スクールの分析に基づくものです。

日本人事試験研究センターが提供する、政令指定都市を除く市役所の教養試験では、平成30年度(2018年度)以降、スタンダード(標準タイプ)、ロジカル(知能重視タイプ)、ライト(基礎力タイプ)のうち、いずれかのタイプを採用して実施されます。

さらに、スタンダードとロジカルは、それぞれ1と2があります。スタンダード1、ロジカル1は、大卒程度の採用試験です。スタンダード2、ロジカル2は、大卒・短大卒・高卒程度の試験であり、高卒以上なら誰でも受けられる採用試験です。

その一方ライトは、1~2などの分類が無く、高卒程度以上の方なら、誰でも受験できる試験です。ライトを導入している市役所は、全国的には珍しく、経験者採用試験で利用している市役所もあります。

スタンダードは時事問題が多めで、ロジカルは知能分野(一般知能)が多めで自然科学が無い点を除くと、問題も難易度も従来の市役所採用試験と同じです。今まで通りの公務員試験の勉強で通用しますし、地上・国一との併願もしやすいといえます。

ライトは、日本人事試験研究センターによれば、試験内容は高卒程度であり、民間企業志望者でも誰でも受けやすく、従来の公務員試験よりも難易度が低い試験です。

一般的にライトは、従来の公務員試験とは全く異なる試験であるとか、ライト型の市役所と他の公務員試験を併願する場合は、それぞれの試験勉強を並行する必要があると言われます。実際にライト型は、公務員試験で一般的な五肢択一式ではなく、四肢択一式の試験です。

しかし、ライト型の市役所の実際の実施実績を見ると、判断推理、数的推理、資料解釈、文章理解、国語、社会科学が課されており、従来の公務員試験の試験勉強で対応できることがわかります。

なおライト型は、人文科学と自然科学が無く(ただし時事問題で自然科学分野から出ることがあります)、社会科学が4割を占めつつ、時事問題が非常に数多く出ます。また、判断推理と数的推理が2割、文章理解が2割づつ出ており、文章理解は現代文と英文が同数です(古文は出ません)。

また、ライト型は、他の公務員試験ではあまり見かけない国語が出ていますが、1割未満の出題数です。全体的にライト型は、従来の公務員試験に比べて、問題文が短く、難易度は易しいのですが、問題数が多くなり、試験時間は短くなっています。

こうした点から、ライト型の市役所では、難問にこだわる必要は無いのですが、基礎~標準問題を「早く正確に」解く力が、より強く要求されます。さらに、時事問題に関しては、過去の出題例を見ると、政治/経済/国際から文化・科学技術に至るまで、徹底して取り組むべきでしょう。

このように、ライト型の市役所は、独特の傾向に留意して取り組む必要がありますが、基本的には、既存の公務員試験の教材を使って試験勉強すれば十分に通用すると思います。

なお、全国に800近くある市役所のうち、事務系でライトを導入している市役所は、経験者採用試験を含めても約60です。大部分の市役所は、従来通りの試験勉強で通用する、スタンダードまたはロジカルです。

以下、市役所(大卒)で大部分の採用試験で導入されている、従来型の場合の科目別出題数を取り上げます。

市役所(教養試験)の科目別出題数(従来型)

市役所の採用試験は、大半が6月、7月、9月に実施され、それぞれの日程では共通の出題内容が見られます(10月実施の市役所もあります)。どの日程も、教養試験は40問全問必須解答が最も一般的なパターンです。ここでは、最も多く見られる出題内容(科目別出題数)を取り上げます。

6月実施の市役所は、どの場合でも、社会科学8(政治1、法律1、経済1、社会5)、人文科学6(日本史2、世界史2、地理2)、自然科学6(数学1、物理1、化学1、生物2、地学1)、文章理解6(現代文3、英文3)、判断推理8、数的推理5、資料解釈1となっています。

7月日程のスタンダード1は、社会科学10(政治1、法律2、経済2、社会5)、人文科学4(日本史1、世界史2、地理1)、自然科学6(数学1、物理1、化学1、生物2、地学1)、文章理解6(現代文3、英文3)、判断推理8、数的推理4、資料解釈2となっています。

7月日程のロジカル1は、社会科学8(政治2、法律2、経済3、社会1)、人文科学5(日本史1、世界史2、地理2)、文章理解9(現代文5、英文4)、判断推理12、数的推理3、資料解釈3となっています。

9月日程のスタンダード1は、社会科学9(政治1、法律1、経済2、社会5)、人文科学5(日本史2、世界史2、地理1)、自然科学6(数学1、物理1、化学1、生物2、地学1)、文章理解6(現代文3、英文3)、判断推理7、数的推理5、資料解釈2となっています。

9月日程のロジカル1は、社会科学9(政治0、法律2、経済2、社会5)、人文科学4(日本史2、世界史1、地理1)、文章理解9(現代文5、英文4)、判断推理10、数的推理5、資料解釈3となっています。

市役所(教養試験)の科目別出題数(ライト)

市役所で新たに導入されたライト型の科目別出題数は、最も典型的な7月実施のライト型を参考に挙げると、「論理的な思考力」9問(判断推理と数的推理で6、資料解釈3)→「言語的な能力」9問(国語2、文章理解7=現代文3と英文4)→「社会への関心と理解」12問(全て政治/経済/社会/時事問題)→「論理的な思考力」9問(判断推理と数的推理で7、資料解釈2)→「言語的な能力」9問(国語2、文章理解7=現代文4と英文3)→「社会への関心と理解」12問(全て政治/経済/社会/時事問題)を2回繰り返す形で出題されてきました。

つまり、従来の公務員試験の科目で分けると、判断推理と数的推理(ほぼ同数)で13問、資料解釈5、国語4、文章理解14(現代文7、英文7)、社会科学24(政治/経済/社会/時事)の60問ということになります。

社会科学では、ふるさと納税、政務活動費、国会の権能、ミャンマーのロヒンギャ問題、完全失業率、所得税の性質、クーリングオフの成立要件、パリ協定、小学校における特別の教科(道徳科)、ネット上のキュレーションサービス、法定受託事務、東京一極集中の是正(京都へ移転される機関)、在日米軍基地のうち沖縄の占める割合、衆院選挙、裁判員制度、日米中のGDP、マイナス金利、日本人の死因(ガン、心疾患、脳血管疾患、肺炎)、家庭への電力小売自由化、近年の人口増加率、ノーベル文学賞の日本人受賞者、気象庁の出す警報の種類などを問う問題が出ています。

ライト型の社会科学は、オーソドックスな政治、経済、社会からの出題と、政治・経済・社会から文化・科学技術に至る時事問題がバランス良く出ており、まんべんなく学習する必要があるといえます。

市役所(専門試験)の科目別出題数

専門試験(択一式)を課す市役所も、40問・全問必須解答が一般的です。ただし、7月および9月の市役所の中には、10分野50問から6分野30問を選択解答させる市役所もあります。ここでは、全国的に最も典型的なパターンの出題内容(科目別出題数)を取り上げます。

市役所の専門試験(択一式)で40問・全問必須解答の場合は、日程を問わず、政治学2、行政学2、社会政策3、国際関係4、憲法5、行政法6、民法5、経済学(または経済原論)10、財政学3となっています。

(念の為申し上げますが、市役所の採用試験は、同一日程なら共通問題が全国的に幅広く見られますが、日程が異なる公務員試験の間では、問題自体は違います。科目別出題数が同じというだけです)

7月および9月の市役所の中には、「政治学・行政学」「社会政策」「社会学・教育学」「国際関係」「憲法」「行政法」「民法」「経済理論」(経済学のこと)「経済政策・経済事情」「財政学・金融論」の10分野50問(5問づつ)から6分野30問を選択解答させる市役所もあります。

この場合、「ある分野から3問、別の分野から2問、、、」などと、自由に選ぶことはできません。分野ごとに5問づつを選択し、6分野30問を解答する必要があります。

地上/市役所/国一大卒の直近の出題内容を調べるには(令和5年度対応)

地上で志望先の出題タイプや、各タイプの出題内容を知りたい方は、「受験ジャーナル Vol.4 5年度試験対応」(令和5年1月末に発売)に、「地方上級の試験分析&出題予想」があります。例年通りの内容なら、直近の実施実績を分析した上で、全国の出題タイプの一覧や、タイプ別の出題内容が掲載されます。

また、「受験ジャーナル Vol.1 5年度試験対応」(令和4年9月下旬に発売)では、「徹底分析 国家総合職、東京都、特別区」が掲載されており、東京都と東京都特別区の直近5年間の過去問を徹底分析し、出題内容、科目別の対策、攻略のポイントを解説しています。

市役所については、「受験ジャーナル Vol.6 5年度試験対応」(令和5年3月下旬に発売)で、それぞれの試験の出題内容や徹底分析が掲載されます。

さらに、国家一般職大卒についても、「受験ジャーナル Vol.2 5年度試験対応」(令和4年10月末に発売)で、出題内容や徹底分析があります。

「受験ジャーナル」は、市販では唯一の、公務員試験の受験対策誌です。実務教育出版では、令和5年度試験向けに、年間の発行予定を公開しています(参考URL:https://jitsumu.hondana.jp/files/j_5yotei.pdf)。

これらは、直近年度の実施実績です。各自の試験勉強に反映させましょう。もちろん、志望先で受験年度の受験案内(募集要項)が発表されたら、変更点の有無をしっかりと確かめ、試験勉強で足りない点は補い、無駄な点はなくすことに留意しましょう。

地上・市役所大卒・国一大卒の教養試験(基礎能力試験)

大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。

必ずこなすべきメイン教材

公務員試験は、教養試験(基礎能力試験)・専門試験合わせて十数科目を短い期間で習得する必要があります。このため、基礎知識や解き方を理解しながら過去問演習を行うことができる「過去問集」と呼ばれるメイン用途の教材が各社から出ており、まずは真っ先にこれに取り組むことが定石といえます。

スー過去

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」は、大卒程度の公務員試験に最も幅広く対応できる科目別教材です。初学者でも知識ゼロから本試験直前まで使えるメイン教材の定番といえます。

本書は、試験に必要な知識のインプット部分と、難易度別・頻出度別に整理された過去問演習が一体となった、「過去問集」と言われるオールラウンド型教材です。全く学習経験の無い科目でも、知識を習得しながら本試験の問題演習を1冊で済ませることができます。

公務員試験では、教養試験(基礎能力試験)・専門試験合わせて十数科目を短期間でこなす必要があります。このためインプットとアウトプットが一緒になった「過去問集」と呼ばれる一体型教材で、科目別に一通り効率良くこなすことが定石といえます。

過去問集は各社から良い教材が出ていますが、どれか迷うようであれば、まずはこの「スー過去」がおすすめです。教養・専門合わせて科目別に20冊以上出ており、地方上級・市役所大卒や国家一般職大卒はもちろん、非常に幅広い公務員試験に対応できます。

過去問集はすべての科目を同じシリーズで揃える必要はありません。スー過去が合わなかった科目は後述する他社のものに切り替えて構いません。ただ、「まずはどれから?」という場合、真っ先におすすめできるのがこの「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」といえます。

「解きまくり」

一方、LEC東京リーガルマインドから出ている「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」も、先ほどの「スー過去」と同じコンセプトで作られた一体型教材(過去問集)としておすすめできます。

こちらも必要な知識をインプットしながら本試験の過去問演習をこなすことで、初学者が短期間で合格に必要な実力を身につけることができる科目別教材となっています。やはり地方上級、市役所大卒や国家一般職大卒を中心に、大卒程度の公務員試験に幅広く対応します。

「解きまくり」と「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」を比べると、収録問題の網羅性や厳選した過去問の精度の高さはスー過去が上だと思います。また、「解きまくり」も主要科目は漏れなくおさえていますが、スー過去からは出ている国際関係、経営学、会計学などが出ていません。

その一方、「解きまくり」のほうがインプット部分はより優しく、ビジュアル的には見やすくて読みやすい工夫がされています。このため、スー過去では挫折した科目があった場合、これに代わるメイン教材として、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」は十分おすすめできる良書だといえます。

社会政策(地上)

地方上級では、社会政策(労働経済、労働事情、社会保障)が出る自治体があります。地上のうち、全国型、関東型、中部北陸型に該当する自治体で、毎年2~3問出ており、労働経済・労働事情と社会保障がそれぞれ1問あるいは2問出ています。

地上以外の公務員試験で、社会政策が数多く出る公務員試験は、労基しかありません。「スー過去」「解きまくり」、後述する「まるごと講義生中継」シリーズなど、市販の教材の多くは社会政策を出していません。

そこで他書から選ぶとなると、「公務員Vテキスト 社会政策 (地方上級・労働基準監督官) TAC出版」がおすすめです。2色刷りで読みやすく、地上と労基A(法文系)を対象にしたテキストです。

社会政策は、時事問題が反映されやすい科目です。本書も比較的よく改訂されており、購入する場合は最新版の購入をおすすめします。また、労働問題や労働分野に関するニュースの確認を、こまめに行いましょう。

社会政策は、「労働経済白書」や「厚生労働白書」が元ネタになった問題が多く見られます。購入して一通り読むのが望ましいと思います。時間の無い方は、厚労省の公式サイトでそれぞれの白書の概要版が公開されています(PDFファイル)ので、入手して読んでおきましょう。

公務員Vテキスト 社会政策 (地方上級・労働基準監督官) TAC出版」は演習問題もついていますが、基本はあくまでもテキストです。社会政策に特化した市販の問題集・演習書でおすすめできるものが無いため、本書を徹底的に読み込んでおくのが最善だと思います。

参考書

公務員試験では、メイン教材である過去問集を各科目こなすだけで、合格に必要な実力は十分身につきます。ただし、過去問集だけでは理解しにくかったり、解説を何度読んでも過去問が解けない科目の場合には、参考書で補充することを検討すべきです。

参考書は必ず必要なものではありません。まずは過去問集(「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」や「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」など)だけ進めることで、公務員試験の合格は十分可能です。しかし、科目によっては参考書を追加して、知識や解き方の理解を補充することも頭に入れておきましょう。

まるごと講義生中継

スー過去も「解きまくり」もメイン教材の定番教材であり、各科目どちらかをこなすことで、本試験の問題を解くことができる実力を身につけることができます。初学者でも効率よく攻略できる良書ですが、これだけでは分からないという場合、テキストを補助的に使うこともおすすめできます。

こうした入門書としては、TACの「まるごと講義生中継」をおすすめします。TACの人気講師の公務員講義を再現した文体で、知識ゼロの初学者でも非常に分かり易い参考書といえます。

本書は講義調の文体で非常に読みやすく、授業を受けているかのようなライブ感で学習経験が無い科目でも基本から噛み砕いて理解できる良書です。二色刷りでイラストや図表を多用して非常に分かりやすく、一気に読んで各科目のおおまかな概要を頭にいれることもできます。

「まるごと講義生中継」は入門書的なテキストですからこれだけで本試験の問題が解けるわけではなく、メイン教材としてはやはり過去問集(「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」や「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」など)で徹底した重要事項の確認と過去問演習が不可欠です。

本書は絶対に必要な教材ではありませんが、まずは過去問集をやってみて、科目によってはついていけないという場合、解説を読んでも分からなかった問題に関して調べてみたり、知識が足りないと感じたら該当箇所を読み込むといった補助的な使い方がおすすめです。

この参考書は一般知能(知能分野)と法律・行政・経済系の各科目が出ており、問題を解く中で実力をつけていく一般知能は不要かと思いますが、特に出題数が多く体系的な理解が実力向上の助けになる憲法、民法、行政法、マクロ経済学・ミクロ経済学がおすすめです。

こうしたことから「まるごと講義生中継」は、過去問集だけでは分からないという科目が出た場合に、知識の補充や解法の理解のために追加的に投入する補助的なインプット教材としておすすめです。

経済学の参考書

公務員試験の経済学は、ある程度体系的な理解が必要ですし、単純な暗記では通用しない問題が含まれます。こうした問題も、過去問集(「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」や「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」など)だけで解けるようになりますが、時間的な余裕があれば、参考書を併用するとスムーズに理解できます。

こうした用途の参考書は、過去問集が自力でこなせる方には不要です。しかし、過去問演習で躓くことが多い場合は、インプットの補充として「まるごと講義生中継」ではなく、以下の3つのシリーズから1つ選んで追加することをおすすめします。

1.「速習!経済学 2nd edition 石川秀樹 中央経済社」(マクロ、ミクロの2分冊)は、3つのなかで最も網羅性が高く、踏み込んだ内容を含んでいます。時間的余裕があり、経済学を得点源にしたい方におすすめです。

2.「新・らくらく経済学入門 茂木喜久雄 KS専門書(講談社)」(マクロ、ミクロ、計算問題編の3分冊)は、3つのなかで最も標準的な内容といえます。地方上級や国家一般職大卒が第一志望で、経済学の攻略に悩む方に幅広くおすすめできます。

3.「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)は、経済学がとても苦手な方におすすめです。3つのなかで最も基本的な内容を重視しており、最低限の得点は確保したい方に向いています。

3つの経済学の参考書それぞれについて、同じ項目でも解法へのアプローチが異なっており、難しいからといって合わないとか、易しい内容だから自分に合うということはありません。このため、1つのシリーズが合わなかったら、他のシリーズを検討することもおすすめできます。

もちろん、これら経済学の参考書も「知識の習得」が中心のインプット本であって、必ずしも必要な教材ではありません。公務員試験の基本は過去問演習であり、最終的には必ず過去問集(「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」や「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」など)に取り組むべきです。

文章理解の英単語集

地方上級・市役所大卒・国家一般職大卒の文章理解の場合、英文は高校の教科書~共通テストレベルが中心です。高校・大学受験や英語の資格試験(TOEIC、英検など)でしっかりした学習経験のある方であれば、いきなり過去問集から進めても難なく解けると思います。

その一方、まずは過去問集を解いてみて、語彙・速読・文法など英語力に不安を感じた方には、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。

この参考書は、比較的長めで良質の英文を多数掲載し、単語力だけでなく速読力も含めた英語力を身につけることができる良書です。英単語集ではありますが、公務員試験に必要な英語力を固めるのに最適な参考書といえます。

公務員試験の英文は長めの課題文ですが、文法や構文的にはさほど高度で難解な内容が盛り込まれず、早く正確に読む速読力と、標準的な語彙さえ理解できていれば、さほど難しい英文ではありません。

このため、大学受験や英検、TOEICなどの学習経験があれば、過去問集(「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6」や「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」など)だけでも十分に公務員試験に対応できる実力が身につきます。ただし、過去問の英文がうまく読み取れないという方は、こうした英単語集を追加して基礎固めを並行することをおすすめします。

過去問演習書(過去問500/350)

メイン教材で試験勉強をしっかりこなした後は、「過去問演習書」と呼ばれる、直近の年度別・科目別に厳選され、公務員試験別に出版された問題集で、最新傾向や難易度を把握するとともに、「早く正確に」解く力を鍛える問題演習に取り組みましょう。

過去問演習書には、実務教育出版の「過去問500」(大卒程度)/「過去問350」(高卒程度/警察官と消防官は大卒程度もこちら)シリーズをおすすめします。当サイト内の「過去問500/過去問350(過去問演習書)」という記事でも、本書の賢い活用法や注意点など、特に詳しく説明しています。

時事対策の参考書

時事対策は公務員試験では絶対に必要な試験勉強といえます。公務員試験の時事対策に特化した定番中の定番として、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」に必ず取り組むことをおすすめします。

「速攻の時事」は、政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題を幅広くカバーしており、毎年最新版に改訂される参考書です。特に、公務員受験生が敬遠しがちな経済や財政に関するデータも本書で整理することができます。

論文試験・作文試験(教養論文)の参考書

※論文試験・作文試験(教養論文)の参考書に関しては、地方上級・国家一般職大卒・市役所大卒、国家総合職の政策論文試験、国家専門職/特別職、理系公務員、福祉系・心理系公務員など、大卒程度の公務員試験に幅広く対応できる参考書を、論文(作文)試験/政策論文対策(大卒程度)で一括してまとめていますので、そちらの記事を参照なさってください。

面接試験の参考書

地上・国一・市役所大卒における面接試験の参考書としては、以下の2冊をおすすめします。ただし、以下の通り面接対策に活かせる目的を考慮して、できれば両方読むことをおすすめします。

1.「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は、国家総合職や国家一般職の面接試験、官庁訪問、集団討論を想定した面接本ですが、地上・市役所大卒の方にも大いにおすすめできる人気の定番参考書といえます。

本書は、公務員試験の面接官の本音=採用する側から見た「求められる回答」へのアプローチや、公務員特有のコンピテンシー面接に触れている点で、国家公務員だけでなく、地方上級や市役所といった地方公務員の方にも必見の参考書といえます。

もちろん、面接試験の準備・心構え、面接カード・個別面接・集団面接・集団討論・官庁訪問の進め方や極意について、基本から実践的な内容をカバーしています。「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は国家・地方問わず、あらゆる大卒程度の公務員受験生におすすめできる人気の面接本といえます。

2.「面接・官庁訪問の秘伝」は、TACの人気講師・山下純一氏による非常にわかりやすく読みやすい参考書です。

本書は毎年改訂されて最新版が出ており、国一、地上、市役所、町村役場、国税、裁判所一般職、国家専門職、国家特別職など、国家総合職を除く大卒程度の公務員試験を対象にした定番参考書です。個別面接はもちろん、集団面接、集団討論や官庁訪問にも対応しています。

こちらの本は自己分析を通じて「自分だけのコアな部分」を作り、面接カードやエントリシートの記述から実際の面接の応答に至るまで、一貫したブレない軸をベースに、あらゆる質問や場面に対応しようとする手法を解説した良書といえます。

また、想定問答集が25問掲載されており、回答例は複数のダメな回答と無難な回答が提示され、著者の指摘がポイントとしてまとめられています。このため、徹底した自己分析やセルフシミュレーションなど、より試験本番に近い面接対策本として使えます。

もちろん、面接試験の基本的なマナーや心構えから学べます。「面接・官庁訪問の秘伝」は二色刷りで豊富な図解やイラストを交え、非常に読みやすい面接・官庁訪問の人気参考書です。どんな質問にも対応できる自分のコアづくりというアプローチで、しっかりと備えることが出来る定番のメイン参考書としておすすめします。

TACの過去問+予想問題集シリーズ

大手受験予備校TACの「TAC公務員講座 過去問+予想問題集」シリーズは、東京都(1類B/行政・一般方式)、特別区(1類/事務)、裁判所(一般職大卒)、国税、国家一般職大卒(行政)、警視庁警察官1類が出ています。

試験ごとに分かれた本シリーズは、最低でも過去問3年分とTAC予想問題で構成され、年度ごとに再現された取り外し式です。このため、試験勉強を一通りこなした直前期に、時間を測って本試験のように取り組むことができる問題集です。

TAC公務員講座 過去問+予想問題集」シリーズは、試験本番の予行演習として、どこから優先的に取り組み、何を捨てるかといった、到達度のチェックや時間配分の確認に最適な教材といえます。

要点整理集(法律・行政科目)

公務員試験 法律5科目 まるごとエッセンス 実務教育出版」は、実務教育出版の公務員合格セミナー講師、九条正臣氏による要点整理集です。収録科目は、憲法、行政法、民法、刑法、労働法。

公務員試験 行政5科目まるごとパスワード neo2 実務教育出版」は、公務員試験の受験指導者としても知られる、高瀬淳一・名古屋外国語大学教授による要点整理集です。収録科目は、政治学、行政学、国際関係、社会学、社会政策。

どちらの参考書も、基礎知識を凝縮した2色刷りの要点整理集です。毎年改訂されているわけではない点に留意すべきですが、ハンディサイズで良くまとまっており、試験直前期の総復習に最適です。当然、最新版の購入をおすすめします。

なお、同じ高瀬氏による、「公務員試験 行政5科目まるごとインストール neo2 実務教育出版」も出ています。収録科目は「パスワード」と同じですが、キーワード重視の「公務員試験 行政5科目まるごとパスワード neo2 実務教育出版」だけでは物足りないという方は、この参考書も追加して良いと思います。