地方上級・市役所大卒・国家一般職大卒の参考書

今回は、地方上級、市役所大卒、国家一般職大卒の参考書を取り上げます。

この記事は、一般事務・行政系の職種・区分が対象ですが、共通問題を課すことが一般的に多く見られる教養試験(基礎能力試験)、および、時事対策、論文(作文)試験、面接試験に関しては、理系(技術系)、福祉系・心理系など、他の職種・区分の方も、今回の記事をぜひ参考になさってください。

(国一・地上・市役所大卒の理系・技術系の専門試験の参考書は理系公務員の参考書、地上・市役所大卒の福祉職や心理職の専門試験の参考書は地方公務員福祉職または地方公務員心理職を参考になさってください)

また、町村役場の採用試験は、市役所に準じます。町村役場でも、大卒程度の採用試験が課される方は、今回の記事を参考にしてください。

さらに、今回の記事は、国一大卒、および、地上・市役所大卒のうち、大半の自治体が該当する、従来型の公務員試験を対象にしています。地方公務員では、既存の公務員試験とは全く異なる採用試験を行う自治体もありますが、そうした自治体は、全国的にはごくまれです。

地方上級、市役所大卒、国家一般職大卒を志望する方は、志望先の受験案内(募集要項)を見て、出題科目、形式、試験時間などの試験内容を、必ず各自で確認しておきましょう。

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地上・市役所大卒・国一大卒の教養試験(基礎能力試験)

大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず、共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。

専門試験は何から始めるべきか

ここで、地上・市役所大卒・国一大卒の専門試験の参考書を取り上げます。基本的には、出題数が多い(出題比率が高い)科目や、他の科目が理解しやすくなる科目、単純な暗記では通用しない科目から先に取り組むべきです。

一般事務・行政系の職種・区分では、専門試験の出題科目(専門科目)は、一般的に、法律(系)・経済(系)・行政(系)科目が課されます。このうち、行政科目は、比較的単純な暗記で通用する部分も多いといえます。

専門科目で最優先すべきなのは、一般的には、経済学(経済原論)と憲法、民法、行政法といえます。そのうち、経済学と憲法は、先にやっておくと、それぞれ他の経済・法律科目が理解しやすくなる基本科目といえます。

経済学(経済原論)

特に経済学は、出題数が多いだけでなく、体系的な理解が必要ですし、単純な暗記が通用しない問題が多く見られます。時間がかかる科目ですが、先にクリアしておくと、財政学など他の経済科目が理解しやすくなります。

経済学は、ミクロ経済学とマクロ経済学に分かれており、どちらから先に学ぶべきか、学問的には様々な意見があります。ただし、学問的追究ではなく、知識を競う採用試験である公務員試験では、どちらから始めても構いません。両者を並行して学習を進めても構いません。

経済学の参考書(入門書・導入本)

まず、経済学をやってみたが、さっぱりわからない、解説を読んでも問題が解けないという方には、後述するメイン教材(「過去問集」)に取り組む前の入門書(導入本)として、以下の3つのシリーズから1つ選んで取り組むことをおすすめします。

1.「速習!経済学 2nd edition 石川秀樹 中央経済社」(マクロ、ミクロの2分冊)は、3つのなかで最も網羅性が高く、踏み込んだ内容を含んでいます。時間的余裕があり、経済学が苦ではなく、経済学を得点源にしたい方におすすめです。

2.「新・らくらく経済学入門 茂木喜久雄 KS専門書(講談社)」(マクロ、ミクロ、計算問題編の3分冊)は、3つのなかで最も標準的な内容といえます。地方上級や国家一般職大卒が第一志望で、経済学の攻略に悩む方なら、最もおすすめできる良書です。

3.「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)は、経済学がとても苦手な方におすすめです。3つのなかで最も基本的な内容を重視しており、経済学で最低限の得点を確保したい方に向いています。

これら3つの参考書は、経済学の全体像やアウトライン(概要)を掴むつもりで、読み物的に通読したり、後述する「過去問集」で問題を解いているときに、解説を読んでも分からない箇所の該当部分を調べ物的に読んで、知識や解法の補充を行う用途におすすめします。

3つの経済学の参考書それぞれについて、同じ項目でも解法へのアプローチが異なっており、難しいからといって合わないとか、易しい内容だから自分に合うということはありません。このため、1つのシリーズが合わなかったら、他のシリーズを検討することもおすすめできます。

3つの参考書は、あくまでも基礎知識の定着を目的とする入門書(導入本)であり、必須ではありません。公務員試験で「解く力」をつけるには、本書をこなした後に、後述する「過去問集」と言われる教材を使った、本試験レベルの問題演習が必須です。

過去問集だけでは経済学がどうしても分からない、理解できないという方は、先に挙げた3つの参考書から1つ選び、通読したり補助的な参考書として活用しつつ、本格的なメイン教材である過去問集に何度も取り組んでください。

経済学のメイン教材(過去問集)

経済学のメイン教材としては、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 ミクロ経済学」および「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 マクロ経済学」をおすすめします。本書は「スー過去」と呼ばれることが多く、「過去問集」と言われるメイン教材です。

過去問集とは、本試験に必要な知識や解法の参考書部分(インプット)と、難易度別・頻出度別に整理された過去問演習(アウトプット)が一体となった、オールラウンド型教材です。

過去問集は、知識ゼロの初学者でも、知識や解法を習得しながら、過去問演習で解く力を身につけ、本試験まで1冊で済ませることができる、メイン用途の教材です。過去問集は科目別・分野別に出版され、各社から良いシリーズが出ています。

公務員試験は、十数科目を短い期間で習得する必要があります。そのため、過去問集を使って、必要な知識や解き方を吸収しながら、実際の過去問で問題演習を繰り返し、効率よく学ぶことが、公務員試験の定石となっています。

過去問集の中でも、特に「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7」シリーズは、教養・専門合わせて科目別に20冊以上出ており、地上・国一・市役所に限らず、大卒程度の公務員試験に幅広く対応できます。初学者でも、知識ゼロから本試験レベルの問題を解けるようになる、メイン教材の定番です。

公務員試験では、入門書や導入本抜きで、いきなり過去問集から始めても構いません。1回目はきつくて時間もかかると思いますが、何度も何度も繰り返すうちに、公務員試験の問題を解くのに必要な解法や知識が身につく定番教材です。

短期間で多くの科目の習得が必要な公務員試験では、入門書で一から学んだあと、問題演習に取り組むというのは、あまりに非効率です。本試験問題が解けないと合格できないのが同じなら、試験勉強の初めから過去問に取り組むのは理にかなっています。

さらに、公務員試験は、毎年一定の人材を安定して確保することが目的であるため、その採用試験も、難易度や頻出項目が大きく変わることがありません。このため、過去問をベースにした教材でインプットとアウトプットを連動することが、最も効率良い試験勉強だといえます。

憲法

憲法は、法律科目の中で最も基本的な科目です。経済学よりはとっつきやすい科目であり、先に憲法をクリアしておくと、他の法律科目の理解がしやすくなるといえます。

憲法の参考書(入門書・導入本)

憲法の場合も、過去問集を進めても全く出来ない、問題を解いてみて解説を読んでもさっぱりわからないという方向けに、入門書(導入本)として「郷原豊茂の憲法 新・まるごと講義生中継」をおすすめします。

本シリーズは、TACが人気講師の講義を再現した文体で非常に読みやすく、授業を受けているかのようなライブ感で、学習経験が無い科目でも基本から噛み砕いて理解できる良書です。

まるごと講義生中継」シリーズは、二色刷りでイラストや図表を多用して非常に分かりやすく、細部を気にせず何度か一気に読む(通読する)ことで、各科目のアウトライン(概要)を頭にいれることもできます。

この参考書は、一般知能(知能分野)と法律・行政・経済の各科目が出ており、問題演習を通じて実力をつけていく一般知能は不要と思いますが、特に体系的な理解が助けになる憲法、民法、行政法、マクロ経済学・ミクロ経済学がおすすめです。

もちろん、「まるごと講義生中継」は、あくまでも入門書的なテキストです。これだけで本試験の問題が解けるわけではなく、メイン教材として「過去問集」で徹底した重要事項の確認と過去問演習が不可欠です。

先述通り、入門書は必須ではありませんし、まずは過去問集から取り組んでみて、過去問集だけでどうにか行けそうだと思った科目は、そのまま過去問集だけで試験勉強を完結して構いません。

まるごと講義生中継」シリーズも、過去問集だけでは理解できない方が過去問集と併用し、メイン教材はあくまでも過去問集と位置づけます。参考書は、過去問集でわからないところがあったとき、その都度、調べ物的に当該箇所を参照して読み込む使い方がおすすめです。

憲法のメイン教材(過去問集)

憲法の場合も、メイン教材(過去問集)として、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 憲法」がおすすめできます。

憲法は、専門科目の中では、とっつきやすい科目だといえます。入門書抜きで、いきなり「スー過去」から始めても、挫折する方はそう多くないと思います。なお、憲法と経済学を一通りこなしたら、他の科目に着手して良い時期です。

民法、行政法、財政学

民法、行政法、財政学は、憲法や経済学が一巡して、おおまかな理解が得られた時点で着手してよい科目です。3科目とも、それなりに出題数が多く、憲法や経済学をクリアした後のほうが、理解しやすい科目だといえます。

民法、行政法、財政学の参考書(入門書・導入本)

民法や行政法の場合も、参考書として「郷原豊茂の民法 (1) 新・まるごと講義生中継」(総則・物権)および「郷原豊茂の民法 (2) 新・まるごと講義生中継」(債権)、「新谷一郎の行政法 新・まるごと講義生中継」をおすすめします。なお、民法のほうは、家族法をカバーしていない点に留意してください。

「まるごと講義生中継」は比較的改訂が頻繁になされており、購入の際は最新版をおすすめします。また、民法の姉妹本として、「民法過去問まるごと講義生中継」もありますが、こちらは必要とは限りません。

民法と行政法は、憲法よりもとっつきにくく、出題数が多い割に時間がかかる、やっかいな科目です。過去問集だけでは挫折する方も多く、「まるごと講義生中継」をサッと通読して、各科目の全体像を軽く頭に入れてみましょう。

一方、財政学を学ぶ前提として、経済学の理解が必須だといえます。財政学を過去問集だけで挫折しそうな方は、経済学の理解が欠けていると思います。その場合、経済学に立ち返り、経済学を徹底攻略した後、再び財政学に取り組みましょう。

財政学では、特に参考書は推薦しません。多くの受験生は、経済学さえクリアすれば、財政学を過去問集だけで乗り切ることができると思います。なお、後述する時事対策の参考書は、財政学が課される公務員試験の方は必須だといえます。

民法、行政法、財政学の3科目も、先に過去問集だけでやってみて、理解できそうなら本試験まで過去問集だけで完結して構いません。ただ、参考書は、過去問集の記述では分からない知識や考え方を補充するための、調べ物的な利用もおすすめです。

民法、行政法、財政学のメイン教材(過去問集)

民法、行政法、財政学のメイン教材(過去問集)としても、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 民法1 総則・物権・担保物権」および「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 民法2 債権総論・各論・家族法」、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 行政法」、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 財政学」をおすすめします。

「スー過去」は、テーマごとにインプット部分(要点整理部分)と、代表的な例題(典型問題)および過去問演習で構成されています。最初のうちは考えても分からない問題はサッと解説を見て、科目ごとに固有の考え方や解法を理解しましょう。

解説・解答は、単に眺めているだけでなく、一通り見て理解したら本を閉じて、暗記事項が必要なら暗唱してみる、計算が必要な問題は実際に紙に書き殴って、途中の計算を省略せず、自力で解答を導けるまで書き出します。

目標は、問題を見て自力で解答を導き出すことです。計算や論理的な解法などは手抜きせず、しっかり自力で答えを出す練習を行います。1回目、2回目は相当しんどいと思いますが、何度も繰り返すうちに、自力で解ける問題が増えてくるはずです。

その他の専門科目

地上、国一、市役所大卒の専門試験は、まずは憲法・民法・行政法と経済学について、時間をかけて攻略するのが一般的な定石です。あとは、志望先の出題数や自分の学習しやすさに応じて、順次同じようなやり方で、1科目づつクリアしましょう。

一般的には、法律科目は刑法、労働法、行政科目は政治学、行政学、社会学、国際関係、社会政策、経済科目は経済政策、経済事情、経営学をこなせば十分だと思います。もちろん、志望先で課されない科目は、勉強する必要はありません。

特に、刑法、労働法、政治学、行政学、社会学、国際関係、経営学は、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7」シリーズの該当科目だけで十分だと思います。これらは、比較的入りやすい科目ですし、出題数がそう多くないことを考慮すれば、過去問集だけでクリアしておくべき科目だといえます。

なお、国家一般職大卒で経営学を選択するつもりの方は、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7 経営学」は当然取り組むべき必須教材ですが、それに加えて、大学の経営学の授業でメインテキストとして使われている基本書を1冊、読み込んで理解することをおすすめします。

その一方、社会政策、経済政策、経済事情は、過去問集が出ていません。このうち、経済政策、経済事情は、経済学、財政学、時事対策をしっかり行えば対応できる科目です。時事対策の参考書については、後ほど詳しく取り上げます。

社会政策をどうするか

社会政策(労働経済、労働事情、社会保障)は、地方上級のうち、全国型、関東型、中部北陸型に該当する自治体で、毎年2~3問出ています。この場合、労働経済・労働事情と社会保障が、それぞれ1問あるいは2問出ています。

地上以外の公務員試験で、社会政策が数多く出る公務員試験は、労基しかありません。「スー過去」などの過去問集や、「まるごと講義生中継」などの参考書でも、市販の教材の多くは、社会政策を出していません。

そこで、他書から選ぶとなると、「公務員Vテキスト 社会政策 (地方上級・労働基準監督官) TAC出版」がおすすめです。2色刷りで読みやすく、地上と労基A(法文系)を対象にしたテキストです。

社会政策は、時事問題が反映されやすい科目です。本書も比較的よく改訂されており、購入する場合は最新版の購入をおすすめします。また、労働問題や労働分野に関するニュースの確認を、こまめに行いましょう。

社会政策は、「労働経済白書」や「厚生労働白書」が元ネタになった問題が多く見られます。

これらの白書は、地上で必須とまでは言いませんが、購入して一通り読むのが望ましいと思います。時間の無い方は、厚労省の公式サイトでそれぞれの白書の概要版が公開されています(PDFファイル)ので、入手して読んでおくと良いでしょう。

公務員Vテキスト 社会政策 (地方上級・労働基準監督官) TAC出版」は演習問題もついていますが、基本はあくまでもテキストです。おすすめできる市販教材が無い中では、本書を徹底的に読み込むのが最善だと思います。

スー過去が合わなかった科目は?

過去問集は、すべての科目を同じシリーズで揃える必要はありません。スー過去が合わなかった科目は、他社のものに切り替えて構いません。ただ、「まずはどれから?」という場合、真っ先におすすめできるのがこの「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7」だと思います。

「解きまくり」

一方、LEC東京リーガルマインドの「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」シリーズも、「スー過去」と同じコンセプトで作られた、オールラウンドタイプの一体型教材(過去問集)としておすすめです。本書は、かつてLECが出していた「クイマス」(クイックマスター)シリーズを、大幅にリニューアルしたものです。

このシリーズも、知識や解法のインプットと過去問演習をこなすことで、初学者が合格に必要な実力を身につけられる科目別教材です。やはり、地方上級、市役所大卒、国家一般職大卒を中心に、大卒程度の公務員試験に幅広く対応します。

「解きまくり」と「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7」を比べると、収録問題の網羅性や厳選した過去問の精度は、スー過去が上だと思います。また、「解きまくり」も主要科目は漏れなくおさえていますが、スー過去が出している国際関係、経営学、会計学などは出ていません。

その一方、「解きまくり」は、インプット部分はより優しく、ビジュアル的に見やすくて読みやすい工夫がされています。このため、スー過去では挫折した科目があった場合、これに代わるメイン教材として、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」は十分おすすめできる良書だといえます。

総じて言えば、国家総合職や国税・財務・労基・裁判所などの国家公務員試験まで視野にいれるなら、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7」がおすすめです。地上・国一が第一志望という方も、どちらかといえばスー過去だと思います。

ただし、一般の市役所大卒が第一志望なら、「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7」と「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」のどちらでも良いと思います。また、科目数がそう多くない科目や、基礎~標準問題に絞るつもりの科目では、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」でも構わないと思います。

当サイトとしては、まずは「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ7」をおすすめします。それで、参考書の助けを借りてもどうしても分からない科目は、「公務員試験 本気で合格! 過去問解きまくり!」に変えることを検討しても良いと思います。

時事対策の参考書

時事対策は公務員試験では絶対に必要な試験勉強といえます。公務員試験の時事対策に特化した定番中の定番として、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」に必ず取り組むことをおすすめします。

「速攻の時事」は、政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題を幅広くカバーしており、毎年最新版に改訂される参考書です。特に、公務員受験生が敬遠しがちな、経済や財政に関するデータも、本書で整理することができます。

とりわけ、財政学、経済政策、経済事情、社会政策(労働経済、労働事情、社会保障)が課される方は、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」を徹底攻略しましょう。なお、本書の姉妹本にトレーニング編がありますが、そちらは必須とは限りません。

過去問演習書(過去問500/350)

メイン教材で試験勉強をしっかりこなした後は、「過去問演習書」と呼ばれる、直近の年度別・科目別に厳選され、公務員試験別に出版された問題集で、最新傾向や難易度を把握するとともに、「早く正確に」解く力を鍛える問題演習に取り組みましょう。

過去問演習書には、実務教育出版の「過去問500」(大卒程度)/「過去問350」(高卒程度/警察官と消防官は大卒程度もこちら)シリーズをおすすめします。

さらに、当サイトでは、「過去問500/過去問350(過去問演習書)」という記事でも、本書の賢い活用法や注意点など、特に詳しく説明しています。過去問演習書は、メイン教材で鍛えた解く力を確実なものにするために、必須の補強教材だといえます。

TACの過去問+予想問題集シリーズ

大手受験予備校TACの「TAC公務員講座 過去問+予想問題集」シリーズは、東京都(1類B/行政・一般方式)、特別区(1類/事務)、裁判所(一般職大卒)、国税、国家一般職大卒(行政)、警視庁警察官1類が出ています。

試験ごとに分かれた本シリーズは、最低でも過去問3年分とTAC予想問題で構成され、年度ごとに再現された取り外し式です。このため、試験勉強を一通りこなした直前期に、時間を測って本試験のように取り組むことができる問題集です。

同種の本試験や模試・予想問題の再現問題集は、各社から出ています。その中でも特に、TACから出ている本書がおすすめです。メイン教材や過去問演習書をこなしたら、試験勉強の補強に必ず取り組んでほしい問題集といえます。

TAC公務員講座 過去問+予想問題集」シリーズは、試験本番の予行演習として、どこから優先的に取り組み、何を捨てるかといった、到達度のチェックや時間配分の確認に最適な教材といえます。

論文試験・作文試験(教養論文)の参考書

※論文試験・作文試験(教養論文)の参考書に関しては、地方上級・国家一般職大卒・市役所大卒、国家総合職の政策論文試験、国家専門職/特別職、理系公務員、福祉系・心理系公務員など、大卒程度の公務員試験に幅広く対応できる参考書を、論文(作文)試験/政策論文対策(大卒程度)で一括してまとめていますので、そちらの記事を参照なさってください。

面接試験の参考書

地上・国一・市役所大卒における面接試験の参考書としては、以下の2冊をおすすめします。ただし、以下の通り面接対策に活かせる目的を考慮して、できれば両方読むことをおすすめします。

1.「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は、国家総合職や国家一般職の面接試験、官庁訪問、集団討論を想定した面接本ですが、地上・市役所大卒の方にも大いにおすすめできる人気の定番参考書といえます。

本書は、公務員試験の面接官の本音=採用する側から見た「求められる回答」へのアプローチや、公務員特有のコンピテンシー面接に触れている点で、国家公務員だけでなく、地方上級や市役所といった地方公務員の方にも必見の参考書といえます。

もちろん、面接試験の準備・心構え、面接カード・個別面接・集団面接・集団討論・官庁訪問の進め方や極意について、基本から実践的な内容をカバーしています。「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は国家・地方問わず、あらゆる大卒程度の公務員受験生におすすめできる人気の面接本といえます。

2.「面接・官庁訪問の秘伝」は、TACの人気講師・山下純一氏による非常にわかりやすく読みやすい参考書です。

本書は毎年改訂されて最新版が出ており、国一、地上、市役所、町村役場、国税、裁判所一般職、国家専門職、国家特別職など、国家総合職を除く大卒程度の公務員試験を対象にした定番参考書です。個別面接はもちろん、集団面接、集団討論や官庁訪問にも対応しています。

こちらの本は自己分析を通じて「自分だけのコアな部分」を作り、面接カードやエントリシートの記述から実際の面接の応答に至るまで、一貫したブレない軸をベースに、あらゆる質問や場面に対応しようとする手法を解説した良書といえます。

また、想定問答集が25問掲載されています。このうち、回答例は、複数のダメな回答と無難な回答が提示され、著者の指摘がポイントとしてまとめられています。このため、徹底した自己分析やセルフシミュレーションなど、より試験本番に近い面接対策本として使えます。

面接・官庁訪問の秘伝」は二色刷りで豊富な図解やイラストを交え、非常に読みやすい面接・官庁訪問の人気参考書です。もちろん、面接試験の基本的なマナーや心構えから学べますし、どんな質問にも対応できる自分のコアづくりというアプローチで、しっかりと備えることが出来る定番のメイン参考書としておすすめします。

要点整理集(法律・行政科目)

公務員試験 法律5科目 まるごとエッセンス 実務教育出版」は、実務教育出版の公務員合格セミナー講師、九条正臣氏による要点整理集です。収録科目は、憲法、行政法、民法、刑法、労働法です。

公務員試験 行政5科目まるごとパスワード neo2 実務教育出版」は、公務員試験の受験指導者としても知られる、高瀬淳一・名古屋外国語大学教授による要点整理集です。本書は、政治学、行政学、国際関係、社会学、社会政策をカバーしています。

どちらの参考書も、基礎知識を凝縮した2色刷りの要点整理集です。毎年改訂されているわけではない点に留意すべきですが、ハンディサイズで良くまとまっており、試験直前期の総復習に最適です。当然、最新版の購入をおすすめします。

なお、同じ高瀬氏による、「公務員試験 行政5科目まるごとインストール neo2 実務教育出版」も出ています。収録科目は「パスワード」と同じですが、キーワード重視の「公務員試験 行政5科目まるごとパスワード neo2 実務教育出版」だけでは物足りないという方は、この参考書も追加して良いと思います。

要点整理集は、必ずしも必要な教材ではありませんが、メイン教材(過去問集)で何度も繰り返してきた学習内容を、直前期に一通りおさらいするのに最適です。特に、暗記すべき事柄が多い、法律科目や行政科目で使うのが効果的といえます。