今回の記事は、文部科学省文教団体職員採用試験を取り上げます。ここでは、過去の実際の実施例に基づいて説明しますが、必ずしも受験年度に該当するとは限らないことに留意してください。
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文部科学省文教団体職員採用試験とは
文部科学省文教団体職員採用試験とは、文部科学省が所管する公的団体のうち、「文部科学省文教団体」に該当する、以下の9団体が合同で実施する職員採用試験です。
- 独立行政法人日本学生支援機構:国の奨学金事業、留学支援事業を運営します。
- 日本私立学校振興・共済事業団:私立学校の補助金の交付などを行います。
- 公立学校共済組合:公立学校の教職員の福利厚生に関する業務を行います。
- 独立行政法人日本芸術文化振興会(国立劇場):国立劇場、国立能楽堂などの運営や、文化芸術・伝統芸能・舞台芸術などの支援を行います。
- 独立行政法人日本学術振興会:学術研究や研究者育成に関する助成・支援、学術に関する国際交流の促進や研究を担います。
- 放送大学学園:放送大学学園を運営します。
- 独立行政法人日本スポーツ振興センター:サッカーくじの運営と助成金によるスポーツ振興、国立代々木競技場や秩父宮ラグビー場などの管理運営を担います。
- 公益財団法人日本国際教育支援協会:留学生に対する福祉・支援事業を担います。
- 公益財団法人新国立劇場運営財団:新国立劇場は、現代舞台芸術(オペラ、バレエ、ダンス、演劇など)の唯一の国立劇場です。この新国立劇場の運営を担います。
文部科学省文教団体職員採用試験の試験内容
文部科学省文教団体職員採用試験は、文部科学省文教団体職員採用試験委員会が実施します。例年通りなら、3月1日付で試験要項が発表されます。実際は、各団体が、採用試験情報や受験案内などの形で発表するので、年明け以降、志望先の公式サイトをこまめに確認しましょう。
文部科学省文教団体職員採用試験では、受験できる団体は1つだけです。複数の団体の受験は、認められません。また、採用予定人数や受験資格は、各団体で異なるため、志望先の公式サイトで、しっかり確認しましょう。
文部科学省文教団体職員採用試験の申込手続は、各団体の公式サイトの指示に従って、各団体所定の受験申込書、および、履歴書・自己紹介書をダウンロードして記入し、その他に指定の提出書類があれば、それらも揃えて、志望先の団体に提出します。
文部科学省文教団体職員採用試験は、1次試験の会場も、志望先ごとに分かれて、各団体が指示した会場となります。これも、志望先の公式サイトで告知されるため、事前に確認しましょう。
文部科学省文教団体職員採用試験の1次試験は、全ての団体が、統一日に実施します。例年通りなら、6月の第4日曜日です。1次試験は、教養試験と作文試験です。教養試験は、全団体共通問題です。作文試験の問題は、各団体によって異なります。
2次試験は、各団体独自の個別試験であり、1次試験合格者だけが受験できます。2次試験の試験日、試験会場、試験内容は、公式サイトで事前に告知する団体もありますし、1次試験合格者にだけ通知する場合もあります。
ほとんどの団体では、2次試験は面接試験のみを実施します(団体によって異なります)。
文教団体職員採用試験:教養試験の科目別出題数
文部科学省文教団体職員採用試験の教養試験は、例年通りなら、2時間15分で、40問・全問解答制です。
知識分野は、社会科学8(法律2、経済2、政治2、社会2)、人文科学6(日本史2、世界史2、地理1、思想1)、自然科学5(数学1、生物1、地学1、物理1、化学1)の19問です。
知能分野は、文章理解6(英文3、古文1、現代文2)、判断推理4、空間把握3、数的推理2、資料解釈1の16問です。
残る5問は、例年通りなら、時事問題が出ます。この中には、知識分野や知能分野に分類できる問題も含まれますが、当サイトではあえて、独立した「時事問題」として分類します。
とはいえ、文部科学省文教団体職員採用試験の教養試験は、時事対策さえしっかりしていれば、標準的な大卒公務員試験(地方上級レベル)の勉強を行えば、十分に通用できると思います。
大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。
文部科学省文教団体職員採用試験の作文試験
文部科学省文教団体職員採用試験の作文試験は、例年通りなら、試験時間は90分で1問を解くことになりますが、問題自体は各団体によって異なります。
実際に出た作文試験の問題(要旨)では、例えば、日本学生支援機構なら「学生支援」そのもの、私立学校振興・共済事業団なら「学校教育」や「高等教育」など、各団体が扱う業務に直結したテーマに関して、意義、特色、課題、メリット・デメリットなどを問う問題が頻出といえます。
また、「舞台に興味が無いひとに、新国立劇場の公演にどう誘うか?」(要旨。新国立劇場運営財団)といった問題が出たこともあります。文教団体職員採用試験の作文試験は、各団体の業務そのものに絡めた問題が最頻出です。まずは、志望先の公式サイトや刊行物を、徹底研究しましょう。
文教団体職員採用試験の作文試験は、どの団体も、それぞれの業務に関連する問題が最も多いといえます。ただし、作文試験は各団体が独自に課すものであり、団体や年度によっては、例年と違った問題を出すこともありえます。
当然ながら、あまりテーマを絞って作文対策を行うのは、それなりにリスクがつきものです。各団体の業務や隣接分野が最優先事項ではありますが、ある程度は時事対策など、一般的な論文(作文)試験対策も行っておきましょう。
文部科学省文教団体職員採用試験の難易度
文部科学省文教団体職員採用試験の難易度は、教養試験では地方上級と同等か少し易しく、一般の市役所よりは難しいと思います。知識・知能とも、各科目まんべんなく出る一方、多めに出ている時事問題が難しいという傾向があります。
一方、作文試験の難易度は、問題自体はさほどひねった課題が出ることは少ないですが、志望先の各団体が取り扱う業務と、それに対応する分野・ジャンルを、公式サイトや公式刊行物などで、徹底的に調べておくべきです。
なお、教養試験は文教団体共通の試験問題ですが、作文試験は各団体の個別問題です。作文試験は、ほとんどが各団体の業務そのものに絡めた問題ですが、団体や年度によっては、例年通りの傾向を外した問題を出してくる場合に備えましょう。
文部科学省文教団体職員採用試験の2次試験は、各団体が独自に実施します。例えば、事前の告知で単に「面接試験」としか書かれていなくても、実際には集団面接とか、集団討論とか、グループワークだったりする団体も珍しくありません。
文部科学省文教団体職員採用試験の対策
文部科学省文教団体職員採用試験の対策としては、教養試験や作文試験に対応する筆記試験対策や、新聞・TV・アプリ等を活用した時事対策はもちろんですが、文教団体固有の対策もあります。
先ほどは作文試験対策として、各団体の公式サイトや公式刊行物をこまめにチェックすることを取り上げましたが、これは面接対策にもおおいに役立つと思います。文教団体職員の面接試験は、団体によっては複数回行う所もあります。
また、文部科学省文教団体職員採用試験の2次対策としては、マイナビ、リクナビ、キャリタス、みんしゅうなど、就活サイトの活用が挙げられます。
文部科学省文教団体では、マイナビなどで、エントリーを受け付けている所もあります。もちろん、採用試験の受験手続はこれとは別に、公式に従って別途行う必要がありますが、就活サイトのエントリーも、行っておくと良いでしょう。
文部科学省文教団体の中には、3~4月にかけて、採用説明会や各種セミナーを実施する団体もあります(オンラインの場合もあります)。志望度が高い団体が実施していれば、有益な情報が得られるかもしれませんし、ぜひとも参加をおすすめします。
また、文教団体職員採用試験の2次試験は、公式サイトで単に「面接試験」と書いてあっても、必ずしも個別面接とは限りません。
団体によっては、マイナビやリクナビなどに、適性検査、集団面接、集団討論(グループディスカッション)、グループワークなど、2次試験の内容を、公式より先に明記することもあります。
受験生からの口コミ情報も含めて、就活サイトは文教団体職員の試験対策として、非常に有効だと思います。筆記試験や時事対策、公式サイト・刊行物のチェックを続ける一方で、採用説明会・各種セミナーやイベント、就活サイトの活用まで、一貫した試験対策に取り組みましょう。
放送大学学園について
放送大学学園とは、国が特定の法律(放送大学学園法)に基づいて設置した、放送による通信制大学・大学院「放送大学」の設置者です。
放送大学学園は、2003年の新法により、「特殊法人」から「特別な学校法人」となったため、放送大学も、種別上は私立大学になりました。ただし実際は、文科省と総務省が支援する公設民営大学であり、国立大学と同等の扱いを受けることが一般的です。
放送大学学園の採用試験においても、文部科学省文教団体職員採用試験と、国立大学法人等職員採用試験という、2つの採用試験で職員を採用しています。
それぞれの採用試験は、受験資格や試験内容に違いがありますが、2つの試験を併願することもできます。また、どちらの採用試験で合格しても、採用後の処遇に違いはありません。
今回の記事は、文部科学省文教団体職員採用試験を取り上げていますが、国立大学法人等職員採用試験については、国立大学法人等職員採用試験で詳しく説明していますので、参考になさってください。