今回は防衛省専門職員の参考書のうち、英語試験の対策(記述式の専門試験)を取り上げます。ここでは、語学、国際関係の各区分とも同じです。
英語の試験形式は、英文解釈②、語彙問題①、英文法①、英作文①の計5題となっており、これは形式だけ見ると、難関~上位の国公立大学2次試験の英語に似ています。ただし、難易度は英検準1級やTOEIC700点台前半といった出題内容だと思います。
英文解釈が2題出ますが、The Economist、Financial Times、Foreign Affairsからそのまま英文記事が出ており、アメリカ、中国、中東、インド、ロシア、欧州といった地域情勢が頻出ですし、国際的な政治・経済・安全保障などの枠組みに関する記事も出ることがあります。
また、英文解釈の設問は、内容把握、英文の並べ替え、語法、英訳などが出ます。
こうした英語対策には、The Economist、Financial Times、Foreign Affairsなどの国際面を読み、「辞書なしで通読して早く内容把握する練習」「分からなかった単語をチェックしてひと通り辞書で調べて精読」を行います。早く読む練習と語彙力の強化をはかりましょう。
また、英語試験全般の対策としては、過去問を人事院に請求して徹底的にこなすことです。人事院の過去問は問題と正答番号だけですから、過去問に該当する項目をひとつひとつ調べ、知識を蓄積することで、それ自体が十分な試験勉強となります。
なお、過去問は人事院への請求から入手まで1ヶ月、時期によってはそれ以上かかることに留意してください。また、過去問の請求は有料でCD-Rまたは紙が選べますが、紙の場合は手数料が格段に高くなります。
さらに人事院は、過去問の公開対象を平成10年度以降の分からとしていますが、実際の保存状況は防衛省専門職員など試験によって異なります。希望通り入手できない可能性があることには留意してください。
防衛省専門職員なら、過去問は10年以上は取り組むことが望ましいといえます。10年分を徹底的に調べながら出題項目を理解していくと、3~6ヶ月はかかると思います。
公務員試験は何度も何度も頻出分野が問題に使われる試験ですし、過去問の攻略はそれ自体が試験勉強として十分通用するものになります。
防衛省専門職員の参考書:TOEIC・英検など
防衛省専門職員の英語試験では、過去問で得た情報をもとに、TOEICや英検準1級の過去問や教材を手にして、出題形式や題材(国際的な時事英文)が同じ問題からどんどん潰していきます。
TOEICや英検向けの教材は、防衛省専門職員の過去問をやった経験から自分の弱点補強に合いそうなものを各自が選んで構いません。自分が勉強したことのある教材でも良いでしょう。
このほか、単語に自信の無い方は、「速読速聴・英単語 Core 1900」のような、英文を読みながら語彙力を高めるタイプで、防衛省専門職員に見合った上位レベルの参考書をおすすめします。
英文法は大学受験の参考書で対応できますが、目安としては国立大学2次試験の上位~標準レベル(偏差値60台半ば)といえます(共通テストよりは明らかに難しいです)。
一方、英文法の問題集としては、「Next Stage英文法・語法問題」をおすすめします。防衛省専門職員にはとても最適な収録内容であり、Forestと併用してNext Stageでアウトプットを行うことで、ガッチリと文法が固められます。
なお、「Next Stage」が合わなかった方には、「UPGRADE英文法・語法問題文法・語法・語い・熟語・会話・発音/アクセント」に替えることもおすすめできます。こちらもほぼ同じレベルを網羅した、精度の高い問題集です。
また、英作文が苦手な方には「英作文のストラテジー 河合塾」をおすすめします。これは基本例文集と英作文問題を収録し、語法・文法からしっかりと学べます。東大京大以外の旧帝国大学といった上位大学受験向けの参考書です。
一方、ストラテジーでは物足りない、という方には、最難関大学も対象にした参考書・問題集を考慮していいかもしれません。ただし、受験するのは大学受験では無いですし、当然ながら難易度や出題傾向は志望する公務員試験に沿ったものを考えるべきです。
防衛省専門職員に関しても、やはり過去問の攻略が最優先で、大学受験向けの教材は必須ではなく、あくまでも補強用に使うといった勉強がおすすめです。補助的教材という意味では、「英作文のストラテジー 河合塾」程度が妥当なのかなという気がします。
また、英検1級や準1級では英作文も課されます。過去問を済ませたら、なるべく防衛省専門職員の傾向に近いテーマを扱った問題を選んでこなしていきましょう。
防衛省専門職員の英語試験対策は、過去問の徹底攻略と英字新聞・雑誌の国際面の通読・精読に尽きます。あとは、各自が不足だと感じた分野(語彙、文法、英作文)に応じて、今回の記事で取り上げてきた他の参考書・教材で補強していきましょう。