今回は、公務員試験の教養試験(基礎能力試験とも言います)とは何か?、について取り上げます。
(教養試験の参考書について、手っ取り早く知りたい方は、大卒なら大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)、高卒なら高卒公務員の教養試験(基礎能力試験)の記事を参考になさってください)
ここでは、教養試験の概要と課される試験科目を説明した上で、公務員試験の程度や区分・職種を踏まえ、併願も加味した試験勉強を考えます。
また、今回は、教養試験が課される公務員試験に関して、大卒・短大卒・高卒を問わず、行政事務系、理系公務員(技術職)、福祉系・心理系、警察官、消防官、保育士など、幅広い方々を対象に、教養試験の一般的な概要を説明します。
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教養試験(基礎能力試験)とは何か
教養試験(基礎能力試験)とは、中学から高校・大学受験レベル(教科書~共通テストレベル)の知識や思考力を要する試験種目です。思考力を問う問題では、論理的、数的、図形概念、読解力、資料解釈などの問題解決能力が問われます。
教養試験は、公務員試験に特有の試験種目であり、公務員試験では幅広く課される試験種目でもあります。
教養試験で課される内容は、一般知能(知能分野)と一般知識(知識分野)に分かれます。
一般知能(知能分野)とは
一般知能は、計算能力が問われる「数的推理」、論理的な思考が問われる「判断推理」、グラフや図表などのデータを読み解く「資料解釈」、現代文・英文・古文を読んでその内容・要旨が問われる「文章理解」の4科目が課されます。
一般知能は4科目でOK
公務員試験に関する大手受験予備校の中には、数的推理と判断推理(あるいは資料解釈も加えて)を、一括して「数的処理」と呼ぶところがあります。また、高卒程度の国家公務員試験では、数的推理を数的処理、判断推理を課題処理とも呼びます。
また、数的推理では計算問題で、判断推理では展開図や軌跡などで、平面図形や立体図形も出題されます。東京都特別区など一部の公務員試験では、これら数的推理や判断推理の図形問題を、「空間概念」「空間把握」という科目として課すこともあります。
文章理解に関しては、長めの問題文を読んでその内容に沿った選択肢を選んだり、複数の文章の適切な順序を選ぶという問題が見られます。大半は現代文か英文で、古文・漢文が出ることは稀です。
基本的に一般知能は、様々な分類や名称の違いがありますが、どんな分類・名称や、図形を独立した科目で課す公務員試験でも、数的推理、判断推理、資料解釈、文章理解の4科目の学習で、一般的な試験対策は十分に可能です。
公務員試験特有の勉強で対応しよう
公務員試験の一般知能は、民間企業の就職試験で見られる知能テストに近いものです。ただし、SPIなど民間企業の知能試験とは、問題レベルや難易度という点で、全くの別物です。一般知能には、それなりに結構な労力と時間がかかる点には留意が必要です。
一般知能は、計算や図形処理、論理的な思考プロセスといった、問題発見・処理能力が問われる分野です。単純な暗記は通用しませんが、問題演習を通じて出題パターンを身に付け、問題を解く力を身に付けることで、独学でも十分に対応できる分野です。
一般知識(知識分野)とは
一般知識(知識分野)は、社会科学、人文科学、自然科学の3分野に分かれており、高校で学習する内容に相当します。国家総合職など難関と言われる公務員試験を除き、一般的な公務員試験は、基礎~標準問題が中心で、未習科目でも十分に対応できます。
- 社会科学
- 政治、経済、法律、時事問題
- 人文科学
- 日本史、世界史、地理、思想(倫理)、文学・芸術
- 自然科学
- 物理、化学、生物、地学、数学
一般知識の試験勉強
一般知識は、高校の科目が一通り出ると聞いて驚く方もおられるかと思いますが、公務員試験は毎年一定の人材を安定的に確保するのが目的です。そのため、その採用試験も、頻出項目や難易度が年度によって大きくブレることはほとんどありません。
一般知識の各科目においても、どこから出るかはほとんど偏っており、頻出項目を中心に効率よくこなすことで、短期間でも十分に対応できます。過年度に出た問題が少し形を変えて出るということも珍しくないため、過去問攻略が定石でもあります。
特に社会科学や人文科学は、過去問演習と単純な暗記で済ませることができます。自然科学も、教科書レベルの基本的な法則や原理を、そのまま当てはめて解ける問題が多く、他の受験生と点差がつけやすいため、敬遠するのは、もったいない分野です。
あとは、時事問題も差がつけやすい問題です。時事対策は教養試験に限らず、論文(作文)試験や面接試験の対策にも効果があるため、必ず取り組んでおきましょう。
教養試験と「程度」
教養試験は、大卒・短大卒・高卒という「程度」によって、難易度が違ってきます。大卒程度はそれなりに難しく、高卒程度は易しいといえます。また、大卒程度の試験勉強をしていれば、短大卒や高卒程度の教養試験に、対応することも可能です。
ご自身が受験する公務員試験の「程度」を、受験案内(募集要項)でしっかり確認して、それぞれに見合った参考書・問題集を使って、試験勉強を進めましょう。
(公務員試験の「程度」とは何か知りたい方や、一般的に注意すべき点は、公務員試験の程度と区分とは?にまとめていますので、参考になさってください)
教養試験と区分・職種
その一方、教養試験は、大卒どうし、高卒どうしなど、程度が同じ公務員試験の間では、区分や職種を問わず、同じ試験内容なのが一般的です。このため、大卒なら大卒、高卒なら高卒で、どの区分・職種の方も、同じ試験勉強で対応できます。
特に、筆記試験が教養試験のみ(専門試験が課されない)という公務員試験は、大卒程度どうし、高卒程度どうしなど、程度が同じ公務員試験どうしなら、区分や職種が違っていても、併願がしやすいと思います。
もちろん、公務員試験どうしで、試験種目、試験科目、試験形式など、異なる点があれば、それぞれの試験に応じた試験勉強を考慮して、併願戦略を考えましょう。
教養試験は何を勉強すればよいのか?
当サイトでは、教養試験に関して、程度が同じ採用試験どうしなら、あらゆる一般的な公務員試験に対応できるという前提で、大卒程度、高卒程度をそれぞれ一括して、一通り完結できる参考書と試験対策の記事にまとめました。是非とも参考になさってください。