公務員試験ガイド

警察官採用試験の参考書

今回は、警察官採用試験の参考書を取り上げます。ここでは、大卒・短大卒・高卒の全ての程度の採用試験を対象に説明します。

(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)

大卒警察官で、試験まで時間的な余裕のある方は

実務教育出版の「大卒程度 警察官・消防官 新スーパー過去問ゼミ」シリーズは、実務教育出版の定番「スー過去」の警察官・消防官バージョンです。社会科学、人文科学、自然科学、判断推理、数的推理、文章理解・資料解釈の6冊が出ています。

本シリーズは、大卒・短大卒程度の警察官・消防官に加えて、都道府県・政令市・東京都特別区・市役所の短大卒・高卒程度の教養試験に対応しています。このため、これらの公務員試験を志望する方や、幅広く併願する方にも最適な教材です。

大卒程度 警察官・消防官 新スーパー過去問ゼミ」シリーズは、分野ごとに6分冊になっており、各テーマは、必修問題(代表的な例題)→重要ポイント(要点整理部分)→実戦問題(問題演習)で構成されています。参考書部分と過去問演習が一体となった、過去問集と呼ばれる教材です。

このシリーズは、初学者でも基礎から要点や解法を理解しつつ、直近の傾向を踏まえた過去問による問題演習をこなすことで、本試験に必要な実力を一貫して身に着けることができる、メイン用途の定番です。

大卒程度 警察官・消防官 新スーパー過去問ゼミ」シリーズは、最低でも6か月前には試験勉強が始められる方には、十分におすすめできます。もちろん、1年近く、あるいはそれ以上の学習期間がある方には、申し分ない教材だと思います。

大卒程度の警察官志望で、本試験まで十分な期間のある方は、「スー過去」を何度も繰り返して習得したら、「過去問350」で早く正確に解く力をつけるための問題演習を行い、「直前必勝ゼミ」で時事対策と教養の総チェックで本試験に備える、というのが定番パターンだと思います(これらの教材も、詳しくは後述します)。

大卒程度 警察官・消防官 新スーパー過去問ゼミ」シリーズは、十分が学習期間が取れる方なら、本試験に必要な範囲を漏れなく習得できる定番教材としておすすめです。その一方、本試験まで半年未満とか数か月も無いという方向けの教材も、この記事内で紹介していきます。

初めに取り組むべき参考書(大卒・高卒とも)

成美堂出版 警察官 合格テキスト」シリーズは、教養試験の重要なポイントを、図表やイラストを交えて一通りカバーした、非常に分かりやすいテキストです。後述通り、大卒向けと高卒向けに分かれているため、自分に合ったほうを選びましょう。

なお、本書の掲載問題は、質・量ともに足りません。本書は、問題を解くのに必要な基礎の習得がメインです。本書だけでは問題は解けませんし、実際の問題が解ける力を身に付けるには、本書とは別に、本格的な問題集が必要だと思います。

(もちろん、問題集に関しても、この記事の中で紹介していきます)

成美堂出版 警察官 合格テキスト」シリーズは、1冊まるまるこなす余裕が無くても、スキマ時間を活用して、特定の科目や項目について知識の補充を行ったり、何度も見返すといった使い方が可能ですし、「無いよりはあったほうが確実に良い」良書といえます。

少なくとも、高校教科書レベルの知識や法則・原理などに自信が無い方は、まずは本書で、基礎部分を習得するのがおすすめです。教養試験の頻出事項を1冊にまとめており、問題を解くのに必要な基礎部分を、どんどん理解するのに最適な参考書です。

成美堂出版 警察官 合格テキスト」シリーズは、同種の参考書の中でも、最もコンパクトな部類です。二色刷りで見やすく、暗記の確認にも使える赤シートが付属しています。本試験まで数か月も無いという方でも、これだけは知っておくべき最低限の知識や解法を習得するには、是非とも使うべき参考書といえます。

この参考書は、法改正や統計データなど時事的な動向を踏まえ、毎年最新版が出ています。もちろん、購入する場合は、最新年度版をおすすめします。

成美堂出版の「合格テキスト」は、大卒と高卒に分かれており、ともに毎年10月半ば~下旬に最新年度版が出ています。大卒程度の方は「成美堂出版 警察官I類・A 合格テキスト」、高卒程度の方は「成美堂出版 警察官III類・B 合格テキスト」がおすすめです。

必須の問題集(大卒・高卒とも)

参考書で基礎的な知識や解法を理解しても、実際にその基礎を駆使して、早く正確に解ける力を付けるためには、本格的な問題集に繰り返し取り組む必要があります。ここでは、大卒程度と高卒程度に分けて、定番の総合問題集を取り上げます。

必須の問題集(大卒)

大卒程度の警察官採用試験の問題集は、「成美堂出版 警察官I類・A過去問題集」、「大卒警察官 教養試験 過去問350 実務教育出版」、「公務員試験 警視庁 科目別・テーマ別過去問題集(警察官Ⅰ類) TAC」(旧:過去問+予想問題集)がおすすめです。

まず、「成美堂出版 警察官I類・A過去問題集」(毎年10月半ば~11月初めに出版)は、二色刷りで見やすく、300ページを切るコンパクトな分量です。このため、本試験まで数か月も無いような方でも、これだけはやってほしいという、最低限の問題演習を行いたい方に向いています。

また、「大卒警察官 教養試験 過去問350 実務教育出版」(毎年1月半ば~2月上旬に出版)は、B5判の大きくて見やすい定番問題集です。本書は、半年や1年程度、「スー過去」等でしっかり学習してきた方が、試験勉強の総仕上げ的に問題演習を行うのに最適です。

最後に、「公務員試験 警視庁 科目別・テーマ別過去問題集(警察官Ⅰ類) TAC」(毎年10月初め~11月下旬に出版)は、TACが年度別問題集だった旧・「過去問+予想問題集」を改訂し、科目別に編集しなおした総合問題集です。

公務員試験 警視庁 科目別・テーマ別過去問題集(警察官Ⅰ類) TAC」は、700ページ近い分量で、最も幅広く演習できる問題集です。このため、はじめから問題演習を試験勉強のメインにできるような、基礎部分の自信のある方や、採用試験の再挑戦組の方に向いていると思います。

これら3冊とも、過去問をベースに(「成美堂出版 警察官I類・A過去問題集」は一部予想問題含む)、1冊で教養試験の問題演習ができる総合問題集です。また、最新の法改正やデータなどに合わせて、毎年改訂されており、最新年度版の購入をおすすめします。

問題集は、どれか1冊で良いので、自分に合ったものを選び、実際の過去問演習を行うことで、本試験問題が早く正確に解ける力を身につけるために、必ず取り組んで、繰り返し攻略しましょう。

必須の問題集(高卒)

高卒程度の警察官採用試験の問題集としては、「高卒警察官 教養試験 過去問350 実務教育出版」をおすすめします。重い本ですが、解説も詳しめですし、どなたにもおすすめできる定番問題集です。

この問題集は、直近数年間の過去問から厳選した350問を掲載し、B5判の大きくて見やすい問題集です。毎年改訂され、法改正や統計データなどが反映されています。

その一方、「高卒程度 警察官採用試験問題集 実務教育出版」は、オリジナル問題290問で構成され、作文試験や面接試験も少しだけ触れられています。

こちらのほうは、解説がやや簡潔なのが難点ですが、基礎部分に自信のある方や、再挑戦組の方であれば、いきなり問題集から取り組んで、演習量をガンガン増やす用途であれば、最適な教材といえます。

問題集は、教養試験の試験範囲を一通りこなすことで、本試験レベルの問題を早く正確に解く力を身に着けるため、どれか1冊でよいので、必ず取り組んで、何度も繰り返すべき教材です。

なお、理解すべき基礎部分が身についていない、自信が無い方は、先ほどの「成美堂出版 警察官 合格テキスト」シリーズのような、参考書も併せて使うべきです。ただし、本試験まで数か月も無いという方は、問題集に絞って、何度も繰り返し、解説も読み込みながら、最低限の知識や解き方を習得するというやり方もありだと思います。

国語と漢字の対策(大卒・高卒とも)

警察官採用試験の国語・漢字対策は、「実務教育出版 警察官採用試験 漢字力7日間トレーニング」、または、「7日で完成! 警察官採用試験 漢字・国語 集中特訓! TAC」がおすすめです。どちらも、時間的な余裕が無くても使えますし、1冊あれば十分です。

2冊とも、7回分の特訓編(トレーニング編)と3回分の確認テストで構成され、教養試験(択一式)の国語問題にも、国語試験(記述式)にも対応します。さらに、両方とも、大卒・短大卒・高卒のどの程度にも、全国の警察官採用試験に対応します。

どちらかいえば、「実務教育出版 警察官採用試験 漢字力7日間トレーニング」は、基本→標準→発展とレベル別になっており、無理なく順序だてて、じっくりと勉強したい方におすすめです。

その一方、「7日で完成! 警察官採用試験 漢字・国語 集中特訓! TAC」は、1回目から本試験レベルの問題をガンガンこなせて、本試験までの時間が無くても、効率よく学習したい方におすすめです。

国語や漢字の対策は、これらの問題集から1冊やれば十分だと思います。1回やれば放置するのではなく、本試験までの間に、できるだけ何度でも繰り返しましょう。

面接試験(大卒・高卒とも)

警察官採用試験の面接対策は、「元面接官が教える!ホントの警察官面接対策 実務教育出版」、または、「つちや書店 面接指導のカリスマが教える! 警察官採用試験 面接試験攻略法」(これのマンガ版が「つちや書店 マンガでわかる 警察官採用試験 面接試験攻略法」です)をおすすめします。

元面接官が教える!ホントの警察官面接対策 実務教育出版」は、高卒程度の方には向きません。大卒程度の警察官採用試験を想定し、面接試験の基本、質問事例集、面接カード、志望動機、個別面接の対策に加え、集団討論、集団面接、適性検査や体力検査についても取り上げている良書です。

その一方、「つちや書店 面接指導のカリスマが教える! 警察官採用試験 面接試験攻略法」は、大卒の方には不十分かと思います。どちらかといえば、高卒程度の方におすすめします。

これのマンガ版が「つちや書店 マンガでわかる 警察官採用試験 面接試験攻略法」です。とはいえ、全編マンガではなく、説明を部分的に補充する程度ですし、「つちや書店 面接指導のカリスマが教える! 警察官採用試験 面接試験攻略法」があれば2冊も要りませんし、マンガ版は不要かと思います。

つちや書店 面接指導のカリスマが教える! 警察官採用試験 面接試験攻略法」も、面接当日までの心構えや準備、面接の基礎知識、質問事例集、面接カードの書き方や、集団面接、集団討論の対策も取り上げています。

面接対策の参考書は、どの参考書を使う場合でも、どうしても著者の主観が入ってきます。特に、想定問答や注意事項に関しては、これはおかしいと思ったことは各自でよく吟味して、自分なりによく考えた回答やスタンスで良いと思います。

あとは、大卒・高卒それぞれの程度に見合った参考書を選ぶことが必要ですし、取り扱っている内容から、自分に合ったものを1冊選べば、それで十分だと思います。

論文(作文)試験(大卒・高卒とも)

警察官採用試験の論文(作文)対策も、参考書は1冊あれば十分だと思います。大卒程度の方には「元警察人事が教える!ホントの警察官論文対策 実務教育出版」、高卒程度の方には「つちや書店 出題傾向と模範解答でよくわかる! 警察官試験のための論作文術」をおすすめします。

元警察人事が教える!ホントの警察官論文対策 実務教育出版」は、大卒程度向けに、論文(作文)試験の攻略法、句読点や文体など書き方の基本、20以上のテーマを代表的な過去問を取り上げてダメ答案→添削と解説→合格論文まで掲載し、10以上の主要な時事テーマの解説まで行っています。

つちや書店 出題傾向と模範解答でよくわかる! 警察官試験のための論作文術」も、高卒程度なら十分な内容で、過去問の分析、論文(作文)の書き方・組み立て方をスマートに解説し、模範解答がついた代表的な例題や、実践問題を掲載しています。

論文(作文)試験の参考書に関しても、どれだけ良い本であっても、どうしても著者の主観が入りがちです。特に著者の指摘や添削、模範答案も悪い答案も、これはおかしいと疑問に感じたことは、自分ならこう考えると、検討し直すのも良いと思います。

直前期の総チェック(高卒程度向け)

実務教育出版 高卒程度公務員 直前必勝ゼミ」は、警察官や消防官はもちろんですが、国家・地方公務員を問わず、高卒程度の公務員試験を志望する方なら、必ず入手してほしい定番参考書です。

この参考書は、国家公務員・地方初級と、警察官・消防官・市役所に分かれて、直前予想問題が掲載されます。この問題は、本試験より難しめです。このため、出来・不出来はあまり気にせず、この項目がこのように問われるのだと、頻出事項の理解が出来れば十分だと思います。

実務教育出版 高卒程度公務員 直前必勝ゼミ」の最大のおすすめポイントは、時事問題の総まとめと、教養試験の直前チェックです。法改正や統計データなど最新の動向と、直近の出題を反映して、毎年改訂されており、特に時事対策と教養の頻出事項の確認には、おおいに役立つはずです。

この参考書は、作文・面接対策の章も設けられますが、教養と同じく、必要最低限の概要(アウトライン)と攻略ポイントにとどまっています。それでも、本試験が迫った時期に総点検する内容としては、十分に役立つと思います。。

もちろん、「実務教育出版 高卒程度公務員 直前必勝ゼミ」だけでは、本試験には全く足りません。本来は、ここまで紹介したような他の教材で、試験勉強をしっかり行ってきた方が、直前期に1冊で試験範囲や時事対策を総チェックする用途におすすめです。

その一方、本試験まで全く時間が無い中で、試験勉強を全くやってこなかった方でも、あらゆる試験種目の最低限の内容を、1冊で習得するとすれば、この「実務教育出版 高卒程度公務員 直前必勝ゼミ」が、こういう使い方を推奨はしませんが、使えないことは無い対策本だと思います。

モバイルバージョンを終了