今回は国家総合職レベルの専門記述対策(裁事、衆参事務局、外専、防専も該当します)のうち、経済学(経済理論、経済原論)を取り上げます。
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経済学はマクロ経済学とミクロ経済学それぞれ1冊ずつ、メインの基本書として読み込むことをおすすめします。
この記事(ページ)の目次です。
マクロ経済学の参考書
1.「中谷巌 入門マクロ経済学 日本評論社」は圧倒的な定番基本書として知られています。偏りが無く標準的な内容で、実によくバランスの取れた教科書といえます。本書の演習書「大竹文雄 スタディガイド入門マクロ経済学 日本評論社
」(著者は経済政策の試験委員経験者である大竹文雄氏)と併用する方も多く、この組み合わせもおすすめできます。
これが合わないとなると、やはり歴代の経済理論試験委員の著作のうち定評のあるものをおすすめします。
2.福田・照山両氏による基本書「福田・照山 マクロ経済学・入門 有斐閣アルマ」および演習書「福田・照山 演習式マクロ経済学・入門 有斐閣
」からは、実際に平成19~24年度の記述式試験が出題されていることが知られています。有斐閣アルマのほうは内容的にやや物足りない印象があり、この本を使う場合は他の基本書との併用をおすすめします。
なお、1の「大竹文雄 スタディガイド入門マクロ経済学 日本評論社」も2の「福田・照山 演習式マクロ経済学・入門 有斐閣
」も、対象分野は幅広いものの問題自体は基礎~標準レベルです。これらで標準レベルを固めたら、過去問演習に本格的に取り組むことをおすすめします。
3.「斉藤・岩本・太田・柴田 マクロ経済学 (New Liberal Arts Selection) 有斐閣」の齊藤誠氏も、経済政策試験委員の経験者です。他書よりも相当なボリュームがあり、多くの方による共著のため章によって読みにくいのが難点ですが、多肢選択式・記述式ともに使える基本書です。
4.「マンキュー マクロ経済学 東洋経済新報社」も定番の経済学教科書です。図表を多用して優しい記述で分かりやすい本ですが、そのぶん容量も大きいテキストです。オリジナル版は1冊で日本語版は2分冊になっており、本書を使う場合は2分冊とも読まれることをおすすめします。
ミクロ経済学の参考書
1.「西村和雄 ミクロ経済学入門 岩波書店」は、ミクロ経済学のテキストでは最も人気があり、定評ある基本書としておすすめできます。
ちなみに、西村氏の基本書に関しては、同じ著者の「ミクロ経済学」(東洋経済新報社)を使う方もおられます。こちらはより数学的な知識を要求する大学院受験~大学院初級レベルの参考書といえます。
ひょっとしたら混同されている受験生もおられると思いますが、国家総合職には岩波書店のミクロ入門のほうで十分だと思います。
一方、西村氏の基本書があわないという方は、やはり試験委員経験者の著書のうち幅広く読まれている教科書をおすすめします。
2.経済理論経験者の武隈愼一氏による「武隈愼一 ミクロ経済学 新世社」および4の「武隈 慎一 演習ミクロ経済学 新世社
」も高い人気を誇る基本書です。両書の練習問題から択一式試験に多数出題されています。
武隈氏の基本書および演習書は、比較的新しい論点が含まれていない点が残念ですが、数式を多用して精緻に証明しており、数学が得意な方にはおすすめできます。
3.「奥野正寛 ミクロ経済学 東京大学出版会」は、ミクロ経済学の伝統的な分野と新しい分野を同じようなウェイトで扱っています。こちらも人気が高い定番基本書といえる良書です。
5.「猪野弘明他 ミクロ経済学演習 東京大学出版会」は、3.の「奥野正寛 ミクロ経済学 東京大学出版会
」の演習書です。こちらはとてもポイントがわかりやすく択一式・記述式ともに使える問題集といえます。他の基本書との併用もしやすいと思います。