航空管制官の適性試験2部(航空管制業務シミュレーション)

※航空管制官の参考書については、航空管制官の参考書で一括して更新しています。

航空管制官の適性試験2部は、平成27年度に導入されました。このため、過去問やネット上の情報なども少ないため、今回はこの試験を詳しく紹介します。

航空管制官の適性試験2部とは、航空管制官として必要な記憶力、空間把握力についての航空管制業務シミュレーションによる試験です。3次試験で課され、試験時間の目安は約12分とされています。

適性試験2部は、実際に航空管制官役となり、レーダー画面に現れる2機の航空機に指示を与え、誘導コースを飛行させる試験です。途中、簡単な作業(=ペーパーワーク)を行いますが、管制業務を冷静に処理することが要求されます。

1.誘導指示はヘッドセットを使います。ヘッドセットはボタンを押して話し、離して聞く「片方通信」です。航空機の操縦者役(試験係官)に指示を与えるときはマイクのボタンを押しながら、話を聞くときはボタンを離します。

2.画面上の航空機の名前は、アルファベット部分をそのまま英語で、数字部分は一文字ずつ区切って英語で読みます。BLUE001なら「Blue, zero, zero, one」です。

3.航空機の進行方向は、「ヘディング(Heading)」と呼ぶ10度刻みの数字で表します。ヘディングは一文字ずつ区切って英語で読みます。例えば東の方位は090なので、読み方は「zero, nine, zero」、北の方位は360なので、「three, six, zero」です。

4.航空機への指示は、航空機の名前を告げたあと、指示する内容を伝えます。指示する内容は、進行方向(Fly heading 方位)か、旋回方向と進行方向(Turn left/right heading方位)の2種類のみです。

※3.4.については、いまの説明でもわかりにくいかと思います。当サイトで紹介している航空管制官向けの参考書や過去問にしっかり取り組んで理解することをおすすめします。

5.実際の管制業務は、複数の航空機に指示を出しながら、他の処理を並行して行っても、管制業務を継続して行うことが求められます。この試験においても、シミュレーションの途中で簡単な事務的作業が課されます。

これがペーパーワークです。ペーパーワークは、試験官の指示に従って事務作業を行います。この前後で航空機の位置関係を忘れること無く、管制業務を円滑に進めましょう。

6.画面上の航空機は、ゆっくりした動きをしています。しかし、実際の航空機は、非常に高速で移動します。そのため、指示を与えても、指示どおりの方位が反映されるまで時間がかかることに留意しましょう。

7.2機目は、シミュレーションが開始されてから、数分後に現れます。誘導するのを忘れないようにしてください。ここで失敗する受験生も見られたようです。

ここまで、航空管制官の適正試験2部を取り上げてきました。特に注意すべき点は以下のとおりです。

  • 誘導コースから外れても慌てる必要はなく、航空機2機を最後まで誘導しましょう。冷静さが問われる試験です。
  • 航空機の操縦者役の復唱を確実に聞きましょう。自分の指示が的確に伝わっているか確認しましょう。
  • 試験官の指示には必ず従いましょう。指示に従わない場合は、受験を拒否されることがあります。
  • 3次試験は、航空管制業務シミュレーションで用いる機材を使うため、航空保安大学校(大阪府泉佐野市)で行われます。

航空管制官の過去問を入手する方法ですが、アビエィション社は2015年に営業終了を発表し、市販の教材で航空管制官に特化した過去問集などを手がけるのはイカロス出版のみとなっています。

イカロス出版は「航空管制官 採用試験問題集 イカロス出版」(Amazon.co.jp)を2年おき(奇数年)の3月に販売しており、直近2年分の過去問を収録しています。

本書は詳しい解説は無く非常に高額な本ですが、航空管制官の過去問を入手できる貴重な必須教材としておすすめします。市販では唯一の過去問集ですし、まずは航空管制官で攻略すべき内容を把握する初めての1冊としておすすめします。

その一方、過去問は人事院に請求して5~10年分に取り組み、本格的な適性試験対策の中心と位置づけて徹底的に攻略することをおすすめします。人事院への請求方法については、航空管制官の過去問の請求方法で説明しています。