今回は、国家一般職大卒(国般)の業務説明会や官庁訪問において、業務説明や質疑応答が行われる場合の対策を取り上げます。
業務説明とは、職員の方が、実際の業務内容や仕事の進め方などを説明することです。質疑応答とは、参加者に対して、何か質問は無いかと、聞きたいことを求められることです。これらは、通常は業務説明会において、多くの官庁・機関で見られます。
その一方、国般では、官庁訪問でも、業務説明や質疑応答を行う官庁・機関があります。この中には、実際に業務中の部署で行ったり(職場訪問または職場見学)、人事担当の部署との面接や面談(人事面接または人事面談)で行う官庁・機関もあります。
国家一般職大卒では、官庁訪問での業務説明や質疑応答は、国家総合職ほど多くは行われていないかもしれません。国般では、全ての官庁・機関で行うわけではありませんが、志望先で業務説明や質疑応答が行われる場合に備えた対策は、行っておいても良いと思います。
この記事(ページ)の目次です。
国般・大卒の官庁訪問:まずは調べて自分の考えをまとめる
国家一般職大卒では、業務説明会や官庁訪問において、業務説明や質疑応答が設けられる場合に備えて、数々の公式情報でも、ネット上の検索を駆使してでも、志望先の仕事面や業務内容について、たくさん調べておくことが、とても重要です。
まずは志望先について、自分がよく知ること。徹底的に調べて、調べた中で残った着眼点=たくさんの疑問を、自分なりの考えと併せて準備して、疑問に思ったことは、本番でどんどん質問しましょう。
もちろん、「調べれば分かることくらいは知っておけ(質問するな)」という点は要注意です。公式サイト、パンフレット、SNS等の掲載内容は、知ってて当然。業務説明会など各種イベントで入手したパンフや配布資料も、しっかり読み込みましょう。
志望先が広く発している情報について不勉強のまま、本番で質問するのは、愚の骨頂です。質問すべきことは、「見ればわかること」ではなく、その記述を踏まえて、「これはどういうことだろう?」と疑問に感じた事柄です。
志望先の業務や取り組みを勉強していく中で、「これはどういうことだろう?」「ここを詳しく聞いたほうがいいだろうか?」などの疑問が浮かんだら、そこを突破口に、納得行くまで、どんどん調べると同時に、自分なりの考えをまとめておきましょう。
こうした公式情報を一通り把握した上で、「(出典元)の~という記述は、…という理解で良いんだろうか?」「(出典元)の~という点について、もっと詳しく知りたい」など、知識の習得を踏まえた上で、疑問点を整理しておきましょう。
国家一般職大卒:業務説明時はメモを取ろう
国家一般職大卒の業務説明会や官庁訪問で、職員の方が説明する機会に備えて、メモ帳なりノートなり、その場で書き残せる物で、自分に合った物を持参しましょう。そして、できる限りその場で、話の要点や疑問に感じた点を、メモに取りましょう。
業務説明でメモを取る時は、「これを詳しく知りたい」「これはどういう意味があるのか」「なぜこうなるのか」など、話の要点だけでなく、そこから自分が疑問に感じたり、もっと知りたいと思った点を特に意識して書き出しましょう。
もちろん、職員の方が話している時は、時には職員の方に顔を向けたり、頷くなど、話を熱心に聞いている態度を示す必要があります。メモを取るのは大事ですが、ずっと下ばかり向いているのは、良くない印象を与えてしまいます。
業務説明の後で、質疑応答が必ずあるとは限りませんが、ここでメモを取っておいたことは、どんどん質問していくと良いでしょう。詳しくは後述しますが、質問自体に意義があり、志望先への意欲や関心をアピールできる質問をしてください。
また、国家一般職大卒の官庁訪問では、その場でなくても、業務説明の内容や感想、質疑応答で質問した事柄を、別の機会に聞かれることもあります。いつどのタイミングで聞かれるか分かりませんので、自作ノートに整理しておきましょう。
一般に官庁訪問は、面接時間よりも待ち時間が長いと言われます。業務説明会でも官庁訪問でも、それぞれの内容や、反省点・改善点、参加した前後の感想や印象の違いなど、自作ノートを持参しておいて、覚えているうちに書き残しましょう。
これを後回しにすると、その時思った(感じた)事柄を、その時の気持ちの持ちようで伝えることが難しくなります。日程的に間があくこともあり、「どうだったかな」などと、その時に受けたイメージを忘れてしまうこともあります。
国般・大卒の官庁訪問:質疑応答のポイント
国般でも、質疑応答は、職員の方の話を聞いた後だけでなく、何の予告や前触れもなく、受験者からの質問を受け付けたり、特定の受験者を指名したりして、質問が無いかと聞かれることもあります。
事前に調べたことを踏まえて、国家一般職大卒の業務説明会や官庁訪問に臨み、質疑応答の機会があった場合に、単に疑問をぶつけるだけというのは、「君はどう思う?」「先にあなたの考えを聞かせて」と、聞き返されるリスクもあります。
ここでは、表面的な知識だけ仕入れた人と、その知識の上で、自分の考えを整理してきた人では、差が出てくると思います。一通りの知識を覚えるだけなら、誰でも出来ます。知識だけなら、現に取り組んでいる現役職員に、勝てるはずがありません。
そこで、同じ質問をするなら、出典元を明らかにして、~という記述について、「私は~と思うのですが、どう思われますか?」という所まで、踏み込んで言及して質問すべきです。業務分野への向学心と関心・意欲を表すことは、必ず評価されます。
念の為言いますが、自分の考えを添えて質問するとはいえ、自分の価値観や物事の見方を一方的に語るような、偏りのある内容であってはいけません。後述する「政策ヲタク」にも繋がりますが、極端な考えやバイアスの掛かった質問は、評価を下げます。
普段から、業務に関する様々な課題に対して、「自分がその組織の一員なら、どう取り組むか」という、「自分の考え」を持ちましょう。それは必ずしも、人と違う考え方だとか、奇をてらったものである必要はありません。
質問しない人は評価が下がる
国般でも、官庁訪問や業務説明会で、受験者からの質問を要求する、質疑応答の機会が、割と幅広く見られます。ここで本当に、何も聞きたいことが思い浮かばないなら、その官庁・機関を志望すること自体を、再検討したほうが良いと思います。
国般でも、業務説明会や官庁訪問で1番良くないのは、「何も質問しないこと」です。これは、その受験者の評価を、確実に下げます。官庁にもよりますが、まず質問をしなかった人から切られる(足切りに利用される)可能性があります。
官庁訪問は、意欲の無い人から切る側面もあります。「なにか質問はありませんか?」と問われて、「特に何もありません」、あるいは、自分だけ何も発言しようとしないのは、自分から不採用にしてくださいと言っているようなものです。
もちろん、職員の方や他の受験者の話を遮ったり、自分のためだけに強引に時間を費やすなど、空気を読まない言動は論外です。その場の雰囲気に迷惑を掛けない範囲で、名前と顔をチェックしてもらえるくらい、何回でも質問しましょう。
周りに合わせる必要は無い
業務説明会や官庁訪問で、職員の方が話している間に、あまり反応を示さなかったり、緊張のためか無表情だったり、固まって動かない受験者の方も多く見られます。
他の受験者の方々と一緒に選考を受ける機会があった場合に、他の人達がこうだったからといって、周囲に合わせる必要はありません。これこそ、自分というものをしっかりと持つべき時だといえます。
質疑応答を設ける官庁・機関の場合、たとえ周囲がそうでなくても、積極的に何度でも質問を行い、穏やかで気さくな表情を心がけ、職員の話にはメモを取ったり、時には頷いたり、熱心に聞いている態度や反応は、確実に評価してもらえます。
政策ヲタクはどうなの?
国家一般職大卒(国般)においても、業務説明会や官庁訪問で、質問が無いかと問われたときに、業務分野や政策課題について、かなり深く詳しい質問をする受験者、いわゆる「政策ヲタク」を、結構な割合で見かけます。
質問内容にもよりますが、国総ならともかく、国家一般職大卒において、あまりに高度で難解な政策課題や、非常にマニアックな質問をするのは、どうかと思います。そもそもここは、新人職員を発掘する場であり、深い政策議論を行う場ではありません。
ここで、「この者をうちの組織の一員として受け入れるのは難しい」と思われることだけは、避けたいものです。マニアックな質問をする場合でも、バイアスが掛からず、採用志望者として質問をする意味がある内容で無ければなりません。
質問をすることで、自分自身が志望先の仕事内容や業務の進め方などを理解できる事柄を聞くべきですし、志望先に対しても、ここで働きたいという熱意や、自分自身の意欲と謙虚さが伝わる質問を行うべきです。
政策課題に触れるのであれば、こういう政策課題も(その志望先の)業務分野だと思いますが、それに関して、どんな業務に従事することがありますか?など、「自分がそこで働く一員」となることを前提にした質問なら、良い印象を与えると思います。